ボーナスストアPLUSの効果とは?ROAS低下でも売上が伸びた検証事例

ボーナスストアPLUSの効果検証

Writer伊東 瑞生

ECコンサルタント

前職は広告・SEO・SNSを網羅する全方位型マーケターとして活躍。自らもEC店舗のオーナーとして商品企画からアフターサポートまで全行程を実践する「現役セラー」としての顔も持つ。Yahoo!ショッピングにおけるアイテムリーチ広告の運用を得意とし、食品やサプリメントジャンルを中心に売上YoY1000%を達成するなど、爆発的な成長支援実績を多数持つ。外資系を含むナショナルクライアントの支援経験が豊富で、Yahooショッピング年間ベストストアの受賞実績あり。現場感覚を持った極めて再現性の高いグロース戦略を提唱している。

「ボーナスストアPLUSに参加すると広告費(PRオプション費用)が増えて、ROASが下がってしまう」。そう感じて参加に踏み切れない店舗様は少なくありません。実際のデータを見ると、ROASは確かに下がります。ですが、それを上回って売上が伸びるケースがあるのです。この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、Yahoo!ショッピングのボーナスストアPLUSの効果について、実際の店舗データをもとに解説します。ROASだけでは見えない本当の効果と、参加を判断するための考え方が分かります。

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ボーナスストアPLUSは参加した方がいい?売上への影響に悩む方へ

Yahoo!ショッピングを運営していると、ボーナスストアPLUSの案内を一度は目にしたことがあると思います。参加すれば購入者にポイントが上乗せされてお得感が増す。けれど、その分だけ販促費がかさんでROASが下がる。このお得感とコストのバランスをどう取ればいいのか、判断に迷う場面は多いのではないかと思います。

特に悩ましいのが、ROASという指標の扱い方です。ROASが下がる数字を見ると、つい「この施策は割に合わない」と感じてしまいます。しかし、ROASはあくまで広告費に対する売上の効率を示す指標であり、店舗全体の売上や利益がどう動いたかまでは教えてくれません。

ここを取り違えると、本来は売上を伸ばせる施策を失敗と誤判断し、機会を逃してしまうことがあります。この記事では、ある店舗の実データをもとに、ボーナスストアPLUS参加で売上とROASが実際にどう動いたのかを見ていきます。

そもそもボーナスストアPLUSとは?PRオプションとの切れない関係

そもそもボーナスストアPLUSとは?PRオプションとの切れない関係

事例を見る前に、ボーナスストアPLUSの仕組みを整理しておきます。ここを理解しておくと、後半のデータがぐっと読み解きやすくなります。

ボーナスストアPLUSは、対象ストアで買い物をした購入者に、PayPayポイントが上乗せで付与される販促企画です。購入者にとってはポイントが多くもらえるお店になるため、購入の後押しになります。

このとき重要なのが、PRオプションとの関係です。PRオプションとは、販売が成立したときだけ費用が発生する成果報酬型の検索優遇広告で、料率を高く設定するほど「おすすめ順」の検索結果で露出しやすくなります。ボーナスストアPLUS申請時にPRオプションの料率設定が必要となるので結果的に露出も増加する傾向にあります。

  • 購入者へのメリット:付与されるポイントが増え、お得感が高まる
  • 露出へのメリット:検索結果で上位に表示されやすくなり、表示回数・クリックが伸びやすい
  • コストの増加:販促費(PRオプション費用)が増え、その結果ROASは下がりやすい

ボーナスストアPLUSへの参加は、この3つがセットで動く施策だと捉えておくことが大切です。ROASが下がるのは失敗ではなく、露出と購入を取りに行った結果として起こる、いわば想定内の動きなのです。

【事例】ボーナスストアPLUS参加にる売上とROASの変化

ここからは実際の事例です。対象は、Yahoo!ショッピングで月商100万〜300万円規模で推移するある店舗(A社)。ボーナスストアPLUSに参加していなかった時期と、参加した時期の月次データを比較しました。なお、ここで紹介する数値は、店舗が特定されないよう傾向が変わらない範囲で加工しています。

参加前:ROASは高水準、でも売上と露出は頭打ちだった

ボーナスストアPLUSに参加していなかった月は、広告費(PRオプション費用)が売上の9%前後に抑えられており、ROASは1,000%台後半と非常に高い水準でした。広告効率という意味では理想的に見えます。

一方で、検索結果での露出は限定的で、表示回数やクリック数は伸び悩んでいました。効率は良いけれど売上の天井が見えている、という伸び悩み期によくある状態です。広告費を抑えれば効率は上がりますが、その分だけ新しいお客様との接点も減ってしまいます。

実施した施策:ボーナスストアPLUSへの参加と料率の引き上げ

そこで取り組んだのが、ボーナスストアPLUSへの参加です。PRオプションの料率を引き上げてボーナスストアPLUSの対象ストアとなることで、購入者へのポイント付与でお得感を高めつつ、検索結果での露出を伸ばすことを狙いました。

ポイントは、料率を上げれば販促費が増えてROASが下がることを、あらかじめ織り込んだうえで実施している点です。狙いは効率の最大化ではなく、売上総額の拡大に切り替えています。

参加後の変化:売上は伸び、ROASは下がった

参加後の変化:売上は伸び、ROASは下がった

参加月の平均を、不参加月の平均と比較したのが次の表です。

指標ボーナスストアPLUS不参加月ボーナスストアPLUS参加月
売上130万円240万円(1.8倍)
表示回数6.2万回11.6万回(1.9倍)
クリック数400回720回(1.8倍)
広告費率(広告費÷売上)売上の9%前後11〜13%
ROAS1,000%台後半700〜900%台

数字を整理すると、ボーナスストアPLUSに参加した月は、売上が1.8倍、表示回数が1.9倍、クリック数が1.8倍へと大きく伸びました。検索露出が増えたことで、より多くのお客様に商品が届いたことが分かります。

その一方で、PRオプションの料率が上がったため広告費率は売上の11〜13%に上昇し、ROASは700〜900%台へと低下しました。効率という一点だけを見れば下がっています。しかし、店舗全体の売上は大きく伸びており、効率は下がったが売上の規模は拡大した、というのがこの施策の実像です。ROAS単体の数字だけで判断していたら、この成長は見えてきません。

ボーナスストアPLUSの効果は「通常日」と「イベント日」で違う

月次の比較で全体像はつかめましたが、ボーナスストアPLUSの効果は、いつ参加するかによっても変わります。そこで、ある月の日次データを使い、ボーナスストアPLUSに参加した日と参加しなかった日を、通常日イベント日(5のつく日など、もともと購買が活発になりやすい日)に分けて比較しました。

イベント日とは、Yahoo!ショッピングで定期的に開催される、ポイントアップなどで購買が盛り上がりやすい日を指します。ここを区別すると、ボーナスストアPLUSの効果の出方の違いがはっきり見えてきます。

指標(参加日 ÷ 不参加日)通常日イベント日
日次売上2.5倍1.1倍
クリック数0.9倍1.2倍
表示回数(インプレッション)1.1倍1.3倍
1クリックあたり売上2.8倍前後ほぼ横ばい
ROAS1,100%前後 → 770%前後1,100%前後 → 770%前後

この表からは、2つの異なる効果の出方が読み取れます。

通常日は、流入の質で伸びていました。 クリック数はむしろわずかに減っている(0.9倍)にもかかわらず、日次売上は2.5倍に伸びています。つまり、流入の量は増えていないのに売上が大きく伸びた、ということです。1クリックあたりの売上に換算すると2.8倍前後にまで高まっており、ボーナスストアPLUSのポイント付与が購入の後押しとなり、購入率や客単価の向上につながった可能性が考えられます。

イベント日は、流入の量で伸びていました。 こちらはクリック数が1.2倍、表示回数が1.3倍と、露出と流入そのものが増えています。一方で1クリックあたりの売上はほぼ横ばいで、日次売上は1.1倍の伸びにとどまりました。もともと購買が盛り上がるイベント日は競争も激しく、ボーナスストアPLUSは露出を取りに行く役割が中心になっていたと見られます。

ROASに目を向けると、通常日・イベント日のどちらも1,100%前後から770%前後へと低下しています。ただし、いずれの日も売上の増加につながっているため、ROASが700%台後半でも利益が残る構造であれば、参加した方が売上を伸ばせるという判断ができます。効果の出方は日によって違っても、売上を取りに行くという方向性では一貫していたわけです。

事例から学べる、ボーナスストアPLUS活用のポイント

事例から学べる、ボーナスストアPLUS活用のポイント

この事例から、自社で応用するためのポイントを4つに整理します。

  • ROASではなく「純売上」で効果を測る
  • 通常日とイベント日で参加の狙いを変える
  • 参加前に許容できるROASラインを決める
  • 数日〜単月ではなく、数ヶ月で比較する

ROASではなく「純売上」で効果を測る

最も大切なのは、ROAS単体で施策の良し悪しを決めないことです。判断軸として有効なのが、純売上という考え方です。

純売上 = 売上 − PRオプション費用 − ボーナスストアPLUS費用

ROASが下がっても、各種コストを差し引いた純売上が増えていれば、その投資はきちんと機能しています。逆に、ROASが高くても売上の規模が小さければ、店舗の成長にはつながりません。効率(ROAS)と規模(売上・純売上)は別の指標として、両方を並べて見る習慣をつけることをおすすめします。

通常日とイベント日で参加の狙いを変える

事例で見たように、通常日は1クリックあたりの売上(質)、イベント日は露出・流入(量)と、効果の出方が異なります。すべての日を同じように扱うのではなく、通常日は購入の後押し、イベント日は露出の拡大というように、日によって参加の狙いを変えて設計すると、施策の精度が上がります。

参加前に許容できるROASラインを決める

参加してから、思ったより効率が悪いと慌てないために、事前に自社で許容できるROASの下限を決めておきます。原価率やその他のコストから逆算し、ROASが700%台後半まで下がっても利益が残るかを先に確認しておけば、数字が動いても落ち着いて判断できます。許容ラインは店舗の利益構造によって変わるため、自社の数字で計算することが欠かせません。

数日〜単月ではなく、数ヶ月で比較する

ボーナスストアPLUSの効果は、日々の変動が大きいのが特徴です。数日や単月だけを切り取って判断すると、たまたまの好不調に引きずられて誤った結論を出しかねません。今回の事例のように、参加期間と不参加期間を数ヶ月単位で比較することで、はじめて傾向が見えてきます。

ボーナスストアPLUSでやりがちな失敗と注意点

最後に、ボーナスストアPLUSを運用するうえで陥りやすい失敗をまとめます。

  • ROASが下がった瞬間に撤退してしまう:売上総額や純売上を確認しないままROASの低下だけで失敗と判断すると、伸ばせるはずの売上を取りこぼします。
  • 全期間ずっと同じ料率で参加し、利益を圧迫する:メリハリをつけず常に高い料率で参加し続けると、販促費がかさんで利益を削ってしまうことがあります。日や時期に応じた調整が大切です。
  • 比較期間が短すぎて効果を見誤る:数日だけのデータで判断すると、変動の大きさに惑わされます。一定期間でのデータ比較を前提にしましょう。
  • PRオプション費用とボーナスストアPLUS費用を別々に見ている:2つのコストを分けて管理していると、施策全体でいくらかかっているのかが見えにくくなります。総コストでとらえることが、正確な効果測定の第一歩です。

まとめ:判断軸はROASではなく売上と利益

今回は、Yahoo!ショッピングのボーナスストアPLUSの効果について、実際の店舗データをもとに解説しました。要点を整理します。

  • ボーナスストアPLUSに参加すると、PRオプションの料率上昇でROASは下がるが、売上・表示回数・クリックは大きく伸びる(事例では月次で売上1.8倍)
  • 効果の出方は日によって異なり、通常日は1クリックあたりの売上(質)、イベント日は露出・流入(量)で売上が伸びる
  • ROASが下がっても、純売上(売上 − PRオプション費用 − ボーナスストアPLUS費用)が増えていれば、その投資は機能している
  • 判断に迷ったら、ROAS単体ではなく売上と利益の規模で見ることが、機会損失を防ぐ近道

ボーナスストアPLUSは、ROASという一つの指標だけで評価すると損をしかねない施策です。効率と規模の両方を見て、自社の利益構造に合わせて参加を設計していくことが、売上アップへの確かな一歩になります。

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