TikTok広告の基本|概要やメリット 活用方法を解説

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本記事ではコロナ渦一気に認知度を上げたTikTokへの広告出稿について解説します。
日本では2017年にサービス提供が開始され、翌年の新語、流行語大賞では「TokTok」がノミネート。
いまや世界中で利用され、2021年にはアクティブユーザーが10億人を超えているといます。

毎年「日経トレンディ」が発表している、ヒット商品ベスト30において2021年度は「TikTok売れ」が1位に選ばれ、日経BPによるとTikTokは音楽やアーティスト分野だけでなく、コスメや食品などの低単価なものから高級車まで、あらゆる消費の起点となっており、”若者が歌ったり、踊ったりする短尺動画を投稿するアプリ”から”動画で消費を動かす最強のプラットフォーム”へと進化を遂げた、と語っています。

いまや消費の起点ともなっているTikTokは、EC事業者も広告出稿先として活用することで新規顧客への認知拡大や売上アップが見込める注目のプラットフォームです。
本記事を参考にぜひ、TikTok広告にトライしてみてください。

1.TikTokとは

1-1.TikTokの特徴

TikTokは、2016年10月に中国でリリースされたスマホ向けの動画SNSアプリで、翌年2018年8月から海外でのサービス提供も始まり、コロナ渦のステイホームとも相まって、日本でもあっという間に認知が広がりました。
TikTokが急速に認知を拡大し、利用者が増加した理由は、動画制作のハードルを一気に下げ、手軽で自由に投稿が出来る点です。
加えて動画時間が短いこともTikTokの特徴です。
TikTokの動画は多くが一本15秒程度の短尺で、次々と流れてくる動画を飽きずに見続けることができます。
縦長ショート動画の流行はTikTokが作ったと言っても過言ではなく、他SNSでも相次いで機能リリースされ、その流れが現在Youtubeにも影響を与えているといえます。

1-2.EC事業者が心得ておくべきTikTok3つの特徴

ユーザー自ら目的の動画を検索することから、プラットフォームのレコメンド動画を数珠つなぎで視聴すると言う行動に変化をもたらしたTikTokには大きく3つの特徴があります。

■UGCによる拡散(ハッシュタグチャレンジ)

UGCとは「User Generated Content」の略でユーザー生成コンテンツのことを指します。
ユーザー生成コンテンツとは、ビジネス目的で企業が生み出したコンテンツではなく、ユーザーの任意で生み出されるもので、UGCの代表的なものにSNSに投稿した画像や動画、ツイート・商品レビューなどもUGCに含まれます。

TikTokでUGCが生まれやすい理由の1つが「ハッシュタグチャレンジ」です。
ハッシュタグチャレンジは企業が投稿の素材として歌やダンスの動画を用意し、ユーザーが動画でそれを真似たり、アレンジしたりすることで企業のPRに参加します。
動画は企業が用意したハッシュタグをつけて投稿され、ユーザー自ら積極的に参加するため広告色を薄めることができ、自然な形で認知を拡大させることができます。
ユーザーも自身のフォロワーに動画を通してアピールできるため、積極的に関連動画をシェアして拡散に協力してくれます。

■BGM(音)あり前提で視聴される

そもそも動画はテキストや画像とくらべて訴求力が高く、広告だとしても動画広告は比較的最後まで視聴されることが高い傾向にあります。
広告として、動画形式であるだけでも有利ですが、他SNSの動画広告は基本的にBGMがない、もしくはミュート状態で視聴されるケースが多いです。

しかしTikTokでは、動画にBGMはつきものというスタンスで再生するユーザーが圧倒的に多く、ミュート再生が多い他SNSとくらべて訴求力が高くなります。
BGMがある分、他のSNS広告とくらべて広告内容が記憶に残りやすいというのが、大きな特徴です。

■広告もコンテンツの1つ

TikTok広告は他のSNSとは異なり、一般ユーザーの投稿と同じ形式で広告が表示されます。
一般ユーザーの投稿と投稿の間に広告を差し込む形でシームレスに表示され、ユーザーが興味がないと思ったら他動画同様にスワイプすることが可能です(広告スキップまでの待ち時間がない)。
興味が無ければ、他通常の投稿と同様に飛ばして次の動画に進めるので、広告に過剰な嫌悪感を持たれることも少ないです。

また広告動画であってもいいね!やコメントもつけられるので、より広告色が薄いのが特徴です。

1-3.EC事業者が着目すべきTikTokの特徴

■ユーザーインサイトの公開

TikTokの特徴は手軽さだけではありません。
EC事業者として着目すべき理由の1つがユーザーインサイトの公開です。
TikTokは積極的に広告主向けにインサイトを公開しており、毎週TikTokを利用する方のうちTikTokの広告は面白いと答えた方は他SNSプラットフォームの1.7倍、広告経由(ダイナミックショーケース)で購入に至るユーザーが36%であると公表しています。

画像引用元:https://ads.tiktok.com/business/ja/insights

■ユーザー属性

2つ目はユーザー属性です。
TikTokと言えば10代のためのプラットフォームとイメージしている方も多いと思いますが、実際は異なります。
博報堂グループ、コンテンツビジネスラボが2023年に発表した「コンテンツファン消費行動調査」によると、TikTokユーザーの平均年齢が36歳であると発表されています。
2021年同調査では34歳と発表されており、より幅広い層に利用されていることがお分かりいただけると思います。

画像引用元:コンテンツファン行動調査レポート2023年調査版

詳細を紐解くと、30代以下のユーザーが多いことは変わらず、2022年と比較し40代以上の男女の利用者が増加傾向にあります。
2021年以降投稿可能な動画時間が60秒から3分に延長した事もあり、コンテンツ幅が拡大した事も1つの要因と言えそうです。

画像引用元:Media Guide 2023 Q3|TikTok for Business

■ユーザーの購買意欲が高い

3つ目の特徴は、ユーザーの積極消費です。
10~30代ユーザーがメインのTikTok。
若年層は昨今購買力が弱いと言うイメージを持つ方も多いと思いますが、他SNSプラットフォームと比較し、コンテンツに対する支出額が高いと言う結果が出ています(コンテンツファン行動調査レポート2023年調査版より)。
広告への好感度が高いことはインサイトを見れば明確ですが、TikTokユーザーは広告を含む動画コンテンツを見て「ふと欲しくなったものを購入したことがある」「今まで興味がなかったものを急にほしいと思うようになることがある」といった項目値が、ほかの主要プラットフォームと比べて高い結果結果が出ています。

画像引用元:コンテンツファン行動調査レポート2023年調査版

TikTokの特徴の1つでもある優れたレコメンド機能により、ユーザーのその瞬間の興味関心に合わせて次々とシームレスに動画が流れ、気が付けば購買意欲を刺激されそのままECサイトで購入といった行動につながっている可能性が高いと思われます。

2.TikTok広告の種類と費用

TikTok広告は予約型の純広告と運用型広告に大きく分かれており、予約型の純広告はさらにTop View、起動画面広告、といったアプリ起動時の広告と、インフィード広告、ハッシュタグチャレンジ、ブランドエフェクトに分かれます。

予約型の純広告は他プラットフォーム同様に、それなりの予算が必要になりますが、運用型広告は他WEB広告と同様に入札型の課金広告となり、比較的安価に一般ユーザーの投稿の間に差し込まれる形で配信されます。
TikTokでは「TikTok Ads」という広告配信プラットフォームが提供されているので、目的やターゲットに合わせて広告種別やフォーマットを選定する必要があります。

広告それぞれの特徴は以下の通りです。

2-1.予約型 純広告

予約型で配信可能な広告と費用目安は下図の通りです。

いわゆるTikTokと言うプラットフォーム内の純広告で、EC事業者として新ブランドや新商品の認知拡大フェーズにおいて効果が高いと言えます。

2-2.運用型広告

運用型広告は、meta広告に近しいイメージで、日次広告予算やクリエイティブを調整しながら運用する入札型の広告です。
入札の形式として2つ用意されており、最も低い成果単価で獲得できるユーザーから獲得する「最小単価入札」と、獲得できるCV数よりも、成果単価のコントロールを優先したい場合に利⽤する「⽬標成果単価上限 (Cost Cap)入札」の2通りがあります。

また広告表示のターゲティングもmetaに近しく、自社のターゲットに合わせて配信することで、より高い効果が見込めます。
ターゲティングは、大きく「デモグラフィック(性別・年齢・ロケーション・言語・購買力)」、「デバイス」「興味・関心」「カスタムオーディエンス」から選択が可能です。

3.TikTok広告のメリット

EC事業者として、TikTok広告を活用するメリットは大きく5つです。

  • リアルの行動につながりやすい
  • 広告に対する嫌悪感を与えにくい
  • 圧倒的視認性
  • ターゲティングの精度が高い
  • 拡散力が高い

では、それぞれ詳細を解説していきます。

3-1.リアルの行動につながりやすい

前述の通り、TikTokの動画をきっかけに実際に購入に至ったユーザーの割合が他SNSと比較して高いのが特徴です。
新語・流行語大賞にも「TikTok売れ」がノミネートされるほど影響力は高く、TikTok広告のROASは他媒体と比較し1.6倍と言われております。

画像引用元:Media Guide 2023 Q3|TikTok for Business

3-2.広告に対する嫌悪感を与えにくい

TikTok広告は、広告の閲覧をユーザーに強制されないことが特徴です。
見たくなければその場でスワイプすることができ、広告をスキップしてすぐに次の動画に移ることが可能なため、ユーザーがストレスを感じにくい設計になっています。
表示方法も一般投稿の中に紛れる形で表示され、広告と気が付かずに視聴されることもあります。

加えてTikTokで配信される動画広告はエンタメ要素だ高いものが多いと言われており、TikTok公式のメディアガイドによると、エンタメ性の高い広告は、エンタメ性の低い広告と比べると、ブランド好意度が15%、購入意向は14%、おすすめ意向は15%増加すると公表されています。

画像引用元:Media Guide 2023 Q3|TikTok for Business

3-3.圧倒的視認性

TikTok広告はスマートフォン全画面に表示することが可能です。
他SNS動画のようにページの一部に表示されるのではなく、縦長の全画面で表示されるのでユーザーに対して強いインパクトを与えることが可能です。
言うまでもなく、表示できる画面が大きければ大きいほど広告の訴求力も高まり、さらにTikTokユーザー特性でもあるBGMを含めた音ありで視聴されるケースが多いため他SNS広告や一般的なWeb広告と比較し、印象に残りやすいと言えます。

3-4.ターゲティングの精度が高い

TikTok広告は比較的ターゲティングを細かく設定できることもメリットのいつです。
TikTokのターゲティングでは以下のようなデータを用います。

  • 性別・年齢・居住地域といったユーザーの基本情報
  • 使っているデバイスの機種、Wi-Fiの有無
  • 興味関心(ユーザーの好きなもの、いつも見ている動画のジャンルなど)
  • 自社の顧客データから導き出したターゲティング情報

特定のターゲットにピンポイントで広告配信することも可能ですが、オート配信でより広いユーザーに向けて配信することも可能です。

3-5.拡散力が高い

TikTokの広告動画は他の一般投稿同様にいいね!などのリアクションやコメント、TwitterやInstagramといった他SNSへのシェアが可能です。
TikTok広告用に作成したコンテンツをXやInstagram、YouTubeなどにも投稿することで、より高い拡散力が見込めます。

4.TikTok広告用動画制作のポイント

4-1.広告前提のクリエイティブは控える

TikTokのユーザーが動画に求めていることは
・縦型100%
・短尺動画
・エンタメ性が高い
・視覚的だけではなく、聴覚的にも刺激が欲しい
・新しい発見をしたい
など様々ですが、それを広告動画に落とし込むと「広告ではなくTikTok動画を作る」イメージで制作を進めると良いでしょう。
前述の通り、エンタメ性の高い広告はユーザーのき奪い意欲を高めることが可能ですが、あからさまに広告色が濃いとたちまちスキップされるでしょう。

TikTokの一般投稿の間に表示される事を前提にし、他投稿と並んでも遜色がないレベルの動画を制作することで、より好意的に広告を視聴してもらえるでしょう。

4-2.最初の3秒で心をつかむ

TikTokでは、スクロールすることで簡単に動画をスキップできるため、最初の数秒で興味を持ってもらえなければ、即スキップされます。
そのため一般視聴者の視点で「つい続きを見たくなった」動画の共通項を洗い出し、動画制作のヒントにしましょう。

5.TikTokを活用した成功事例3選

TikTokを有効活用することで売上に大きく貢献した事例を3つご紹介します。

■ローソン

・内容
「#ローソンスイーツ」ハッシュタグを活用し、新商品のスイーツや人気商品の紹介動画を投稿。
インフルエンサーとのコラボレーションも行い、スイーツをテーマにした短くユニークな動画を投稿。
・成果
動画が拡散され、新商品の売上が一気に向上。
また、ECでの注文が増加し、ブランド全体の認知度も拡大。
・ポイント
若者が親しみやすいカジュアルでユニークな動画作りと、商品の魅力を全面にアピールした点

■スキンケアブランド「SABON(サボン)」

・内容
「#サボンのある生活」というハッシュタグを用いたキャンペーンを実施。
高品質なボディケアアイテムを使ったリラックスシーンやバスルームでの使い方をユーザーに提案する動画を公開しま、人気TikTokクリエイターが商品を使ったレビュー動画を投稿。
・成果
TikTok経由でのオンラインストアのアクセス数が増加。
特に「ボディスクラブ」の購入数が急増し、品切れも発生。
ブランドのターゲットである20〜30代女性の間で認知度がさらに高まり、他のスキンケア商品も売上が伸びた。
・ポイント
リラックスや癒しという感覚的な価値をTikTokの動画フォーマットで効果的に伝えた点が成功の要因。ビジュアル的に美しい動画が視聴者を惹きつけた。

■食品メーカー「日清食品」

・内容
「#カップヌードルチャレンジ」というユニークなハッシュタグキャンペーンを実施。
このキャンペーンでは、視聴者がカップヌードルを使ったアレンジレシピやユーモラスな調理動画を投稿する形式で、若年層ユーザーに商品の新しい楽しみ方を提案しました。
・成果
キャンペーン動画の総再生回数が数千万回を超え、カップヌードルのアレンジレシピがSNS全体でトレンド化。
これにより、TikTok経由の認知拡大がECサイトやスーパーでの売上向上に寄与。
特にアレンジレシピに使用された特定の味の商品が人気となり、一部商品が売り切れるほどのヒットに。
・ポイント
若者に親しみやすい軽快でユーモラスな動画コンテンツを作成し、TikTokの「遊び心」を活用した点が成功の秘訣。
また、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の拡散力を最大限に活かせた。

魅力的な広告、コンテンツ制作のヒント

他社がどのようなTikTok広告を出しているのか、どのような動画を作れば良いのかわからない方は、TikTokクリエイティブセンターを見るのもおすすめです。
TikTok公式が提供しているサービスで、TikTokでハイパフォーマンスな運用型広告クリエイティブを検索することが可能です。

出典:TikTok Creative Center

6.まとめ

TikTok広告の種類やメリット、制作のポイント、事例などを解説しました。
TikTok運用型広告であれば、小規模な予算でスタートすることが可能です。
またユーザーにスキップされないようプラットフォームの特徴を踏まえた動画を用意することが何より重要です。
たとえば縦長の映像や、動画が表示された瞬間にユーザーの目を引く動きが入った内容などが求められます。
加えて、ユーザーの広告への嫌悪感を軽減し、動画を最後まで視聴してもらうための魅力的なBGMも欠かせません。

成果の出る動画を用意するには、制作実績が豊富なプロに依頼するのがおすすめですが、内製する場合はインフルエンサーの活用等もおすすめです。
インフルエンサーの活用については以下記事も参考になりますので、合わせてお読みください。

Proteinumでは元楽天コンサルタントが在籍しており、集客も含め、分析~戦略立案~実行まで一気通貫してサポートするコンサルティングサービスを提供しています。
「ECサイトの構築を検討している」「既にECサイトは運用しているが、売上アップのためにどのように動けばよいか悩んでいる」という方は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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