楽天のLINE配信はリッチメニュー非表示が有効?6回のテストで検証した事例

LINEのリッチメニュー効果検証

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

慶応義塾大学を卒業後、楽天グループ株式会社に入社。ECコンサルタントとして、ショップオブザイヤー受賞店舗を含むのべ700店舗以上を支援。その後、小売業を中心に経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、EC戦略策定・実行支援など)し、株式会社Proteinum(プロテーナム)を創業。
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。

楽天市場のLINE配信に取り組んでいるものの、リッチメニューを表示すべきかどうか判断に迷っていませんか。この記事では、リッチメニューの有無を切り替えながら計6回の配信テストを実施し、クリック率と売上への影響を検証した事例を紹介します。この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、楽天市場のLINE配信におけるリッチメニュー活用の考え方について解説します。読み終えるころには、自店舗のLINE配信を改善するための具体的な検証手順がイメージできるはずです。

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楽天のLINE配信、リッチメニューは表示すべきかという悩み

楽天市場でLINE公式アカウントを運用していると、リッチメニューの扱いに迷う場面が出てきます。リッチメニューを設定すれば、トーク画面の下部に常時バナーを表示でき、クーポンやセール会場への導線を確保できます。一方で、画面の多くをリッチメニューが占有するため、配信したメッセージ本体が見えにくくなるという側面もあります。

「とりあえず設定しておけば売上につながるだろう」と考えがちですが、実際にはメッセージのクリック率を下げてしまい、トータルの配信効果がマイナスになる可能性も否定できません。表示・非表示のどちらが自店舗にとって有利なのかは、感覚ではなくデータで判断する必要があります。

前提知識:リッチメニューの仕組みと配信効果への影響

前提知識:リッチメニューの仕組みと配信効果への影響

リッチメニューとは、LINEのトーク画面下部に固定表示されるメニュー型のバナーのことです。タップでクーポンページや商品ページへ誘導でき、ユーザーがトーク画面を開くたびに目に入るため、常設の導線として機能します。

ただし、リッチメニューには「デフォルト表示」と「デフォルト非表示」の設定があります。デフォルト表示にするとトーク画面を開いた瞬間からメニューが展開され、過去の配信メッセージや最新メッセージの表示領域が狭くなります。デフォルト非表示にすると、ユーザーが自分でメニューを開かない限り、メッセージが画面の主役になります。

つまりリッチメニューの設定は、「常設導線からの売上」と「配信メッセージのクリック率」のトレードオフを含んでいます。このバランスは店舗の客層や配信内容によって変わるため、テストによる検証が欠かせません。

【事例】リッチメニュー有無で売上を比較した6回の配信テスト

【事例】リッチメニュー有無で売上を比較した6回の配信テスト

ここからは、楽天市場に出店するA店舗で実施した検証事例を紹介します。なお、本記事に記載する数値は、実数をもとに加工した概数です。

検証前の状況・課題

A店舗のLINE公式アカウントは友だち数が安定しており、1回の配信は約6,100〜6,300人に届き、開封率は約50%という状態でした。配信は楽天市場の「5と0のつく日」(ポイント倍率が上がる日)や、お買い物マラソンの開催期間に合わせて月数回実施しています。

課題は、リッチメニュー表示の有無による効果差を検証できていなかった点です。リッチメニュー経由の売上は発生していたものの、配信全体の効果として最適な設定かどうかはデータで確認されていませんでした。

実施したテストの内容

そこで、1か月間に計6回の配信を行い、リッチメニューを「あり(デフォルト表示)」と「なし(デフォルト非表示)」で切り替えて効果を比較しました。配信タイミングは、5と0のつく日単独の日と、お買い物マラソンと5と0のつく日が重なる日の2パターンです。

各配信について、開封数・クリックユーザー数・クリック率・売上件数・売上金額を計測し、さらに売上をメッセージ経由とリッチメニュー経由に分けて集計しました。

検証結果:リッチメニュー非表示の方がクリック率・売上が高い

検証結果:リッチメニュー非表示の方がクリック率・売上が高い

6回の配信結果は以下の通りです。

配信リッチメニュー配信タイミングクリック率売上合計うちリッチメニュー経由
あり5と0のつく日7.7%39万円8万円
なしマラソン×5と0のつく日12.2%65万円0.4万円
なしマラソン×5と0のつく日13.9%58万円0.4万円
なし5と0のつく日11.0%58万円3万円
ありマラソン×5と0のつく日10.6%58万円7万円
なし5と0のつく日9.4%30万円0円

さらに、リッチメニューの「あり」「なし」で集計すると以下の通りです。

比較項目リッチメニューあり(2回)リッチメニューなし(4回)
平均クリック率9.2%11.6%
1回あたりの平均売上48万円53万円
うちリッチメニュー経由(平均)7.5万円0.9万円

※配信回数とイベント条件(マラソン併催の有無)が両者で異なるため、単純平均による参考値です。

まず注目したいのがクリック率です。リッチメニューありの配信は7.7%と10.6%だったのに対し、なしの配信は9.4〜13.9%で推移しました。特に同じ「マラソン×5と0のつく日」という条件で比較すると、ありの配信⑤が10.6%、なしの配信②③が12.2%・13.9%と、非表示の方が高い結果になっています。

売上面でも、同条件(マラソン×5と0のつく日)で比較すると、ありの配信⑤は58万円と、なしの配信②の65万円を下回りました。リッチメニュー経由で7〜8万円の売上があっても、配信全体の売上で優位に立てたわけではありません。クリック率の差を踏まえると、リッチメニューがメッセージの視認性に影響していたことが一つの仮説として考えられます。

この検証から、A店舗ではリッチメニューをデフォルト非表示にした方がLINEの配信効果が高いという結論に至りました。

事例から学べるポイント:楽天のLINE配信効果を高めるコツ

事例から学べるポイント:楽天のLINE配信効果を高めるコツ

この事例から、自店舗のLINE配信に応用できるポイントを整理します。

1. リッチメニューの「経由売上」だけで判断しない リッチメニュー経由の売上が出ていると、設定を維持したくなります。しかし本来比較すべきは配信全体の売上です。経由売上が数万円あっても、メッセージのクリック率低下によってそれ以上の売上を失っているケースがあります。

2. 同条件の配信同士で比較する LINE配信の成果は、お買い物マラソンの有無などイベント条件に大きく左右されます。テストの際は、配信タイミングの条件をそろえた組み合わせで比較しないと、リッチメニューの影響を正しく評価できません。

3. 1回のテストで結論を出さず、複数回の配信で傾向を見る 今回の事例でも、なし配信の中には売上が伸びなかった回(配信⑥)があります。単発の結果で判断せず、月単位で複数回の配信を行い、傾向として評価することが大切です。

リッチメニュー運用でよくある失敗・注意点

最後に、リッチメニューの検証や運用で陥りがちな失敗パターンを紹介します。

  • 設定したまま放置してしまう: 一度設定したリッチメニューを見直さず、効果検証をしないまま運用を続けるケースです。今回の事例のように、表示の有無だけで配信効果が変わる可能性があります。
  • 検証期間中に他の条件も変えてしまう: 配信時間やクリエイティブを同時に変更すると、リッチメニューの影響を切り分けられなくなります。検証したい変数以外はできるだけ固定しましょう。
  • 完全に廃止する前提で考えてしまう: 今回の結論は「デフォルト非表示が有効」であり、リッチメニュー自体が不要という意味ではありません。非表示設定でもユーザーは自分でメニューを開けるため、常設導線としての役割は残せます。

まとめ:楽天のLINE配信はリッチメニューの有無もテストで最適化しよう

本記事では、楽天市場のLINE配信においてリッチメニューの有無が売上に与える影響を、6回の配信テストで検証した事例を紹介しました。要点は以下の通りです。

  • リッチメニューをデフォルト表示にすると、メッセージのクリック率が下がる場合がある
  • リッチメニュー経由の売上だけでなく、配信全体の売上で効果を判断する
  • イベント条件をそろえた複数回の配信で、傾向として評価する

リッチメニューの最適解は店舗ごとに異なります。自店舗のデータで検証し、配信効果を最大化していきましょう。

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