楽天のLINE友達クーポンを100円→300円に変更した結果何が変わった?利用数約1.5倍の検証結果を公開

株式会社Proteinum 代表取締役
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。
「LINEのクーポン金額は、思いきって上げたほうがいいのか、それとも今のままがいいのか」
——楽天市場でLINE連携を活用していると、一度はこんな疑問に突き当たるのではないでしょうか。
この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、楽天店舗のLINE友達追加クーポンを100円から300円に変更した実際の検証結果について解説します。
読み終えるころには、自社で料率を見直すかどうかを判断するための材料が手に入るはずです。
Contents
LINEクーポンの「料率(金額)」を上げるべきか迷っていませんか
楽天市場でLINE連携を導入したものの、「とりあえず100円クーポンを配っているだけで、本当に効果が出ているのか分からない」という店舗は少なくありません。クーポン金額を上げれば反応は良くなりそうですが、その分コストもかさみます。費用対効果が読めないため、なかなか変更に踏み切れない——これは多くのEC担当者が抱える共通の悩みです。
特に難しいのが、次のような判断です。
- クーポン金額を上げると、本当にクリック率や利用率は上がるのか
- 金額を上げたぶんのコスト増に、売上やリピートの効果が見合うのか
- 金額を上げることで、友達数の増加やブロック率の改善につながるのか
こうした疑問は、社内の経験則だけで答えを出すのが難しい領域です。結論を先にお伝えすると、「金額を上げた効果は数値にはっきり表れた」一方で、「友達の獲得数そのものには直接的な変化は見られなかった」という、少し奥行きのある結果になりました。
前提:楽天市場でLINE友達追加クーポンが果たす役割
検証結果を読み解く前に、楽天市場におけるLINE活用の位置づけを整理しておきます。すでにご存じの方は読み飛ばしていただいて構いません。
LINEは「リピート購入」を支える接点
楽天市場では、ショップが直接顧客のメールアドレスや連絡先を自由に扱える範囲が限られています。そのため、購入後の顧客と継続的につながり、再来店を促す「ハウスリスト(自社で連絡できる顧客リスト)」をどう育てるかが、店舗運営の重要なテーマになります。
そこで活用されるのがLINEです。店舗ページや商品ページにLINE友達追加を促すバナーを設置し、友達追加と引き換えにクーポンを配布することで、リピートにつながる接点を増やしていきます。「LINE友達追加クーポン」は、その入口にあたる施策だとお考えください。
ページのCVR(購入率)を高める後押しにもなる
LINE友達追加クーポンには、リピートを支えるだけでなく、そのページ自体のCVRを高めるという役割もあります。CVRとは「コンバージョン率」の略で、ページを訪れた人のうち実際に購入に至った割合を指す指標です。
店舗ページや商品ページに「友達追加でクーポンがもらえる」というバナーがあると、まだ購入を迷っている訪問者に対して「今、行動する理由」を提示できます。値引きという分かりやすいメリットが背中を押すことで、ページを離脱せずに購入へ進んでもらいやすくなる、という考え方です。
特に今回のように、クーポン金額を300円へ引き上げつつ「3,000円以上の購入」という利用条件を設けると、単なる値引きにとどまらずまとまった金額の購入を後押しする設計になります。LINEクーポンは「リピート向けのCRM施策」と「ページ上で購入を後押しするCVR施策」の両面を担える点が、楽天市場で活用するうえでの強みだといえます。
「あいさつメッセージ」のクリック率が最初の関門
LINEで友達追加した直後に自動で届くメッセージを「あいさつメッセージ」と呼びます。多くの場合、ここにクーポンを記載し、ユーザーに使ってもらう導線を作ります。
このあいさつメッセージがどれだけクリックされるか(=クーポンを受け取った人がどれだけ反応するか)は、施策全体の効果を左右する最初の関門です。今回の検証でも、ここの数値が大きく動きました。
▼楽天のLINE連携・CRM施策の考え方については、弊社のYouTubeチャンネルでも解説しています▼
【事例】楽天店舗でLINEクーポンを100円→300円に変更した検証結果
ここからが本題です。弊社が支援する楽天市場のある店舗で、LINE友達追加クーポンの金額を100円から300円へ引き上げ、その前後の数値を比較しました。店舗ページや商品ページに設置していたバナーを、金額を変更した新しいバナーに差し替える形で実施しています。
改善前の状況・課題
変更前は、100円のLINE友達追加クーポンを配布していました。施策自体は回っていましたが、「金額が顧客にとっての魅力として弱く、クーポンを受け取っても使われずに終わっているのではないか」という仮説がありました。
実際、100円クーポン期のあいさつメッセージのクリック率は月平均で約88%、クーポンの利用率は約30%にとどまっていました。クリック率は決して低くありませんが、「受け取った人のうち、実際に買い物につながっているのは3割程度」という状態です。ここをどう引き上げるかが課題でした。
実施した施策の内容
施策はシンプルで、クーポンの金額を100円から300円に引き上げるというものです。ただし、コスト増を野放しにしないために、1点だけ条件を加えました。
| 項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| クーポン金額 | 100円 | 300円 |
| 利用条件(最低購入額) | なし | 3,000円以上 |
| 設置場所 | 店舗ページ・商品ページのバナー | 同左(金額を変更したバナーに差し替え) |
ポイントは、金額を上げると同時に「3,000円以上の購入」という利用条件を設けたことです。これにより、単に値引き額が増えるだけでなく、ある程度まとまった金額の購入を後押しする狙いを持たせています。客単価をむやみに下げない設計です。
変更後の成果・数値変化
変更前(100円期)と変更後(300円期)を比較した主要指標は、以下の通りです。実数値は店舗特定を避けるため、四捨五入・倍率表現に丸めています。
| 指標 | 100円クーポン期 | 300円クーポン期 | 変化 |
|---|---|---|---|
| あいさつメッセージのクリック率(月平均) | 約88% | 約98% | 約+10ポイント |
| 月間クーポン獲得数 | 約90件 | 約110件 | 約+2割 |
| クーポン利用率 | 約30% | 約36% | 約+6ポイント |
| 月間クーポン利用数 | 約30件 | 約40件 | 約1.5倍 |
| 月間クーポンコスト | 約3,000円 | 約12,000円 | 約+1万円 |
注目したいのは、クーポンの利用数が約1.5倍に伸びた点です。クリック率は約88%から約98%へと約10ポイント上昇し、利用率も約6ポイント改善しました。クーポン金額を上げたことで「受け取って終わり」ではなく「実際に使ってもらえる」状態に近づいたことがうかがえます。直近で300円に切り替えた期間の獲得数は、ここ1年でも2番目に高い水準まで回復しました。
一方でコストは月額約3,000円から約12,000円へと、月額で約1万円増加しました。ここをどう評価するかが判断の分かれ目になりますが、増加額が月1万円程度であれば、利用数の伸びを踏まえると継続して検証する価値がある、というのが現時点での見立てです。
友達数・ブロック率はどう動いたか
クーポン金額を上げると、「友達追加そのものも増えるのでは」と期待したくなります。しかし今回の検証では、料率の変更による友達数の直接的な増加は確認できませんでした。スーパーSALEの特殊期間を除いて前後を比較すると、友だち追加数やリーチ純増の合計はむしろ減少しています(計測期間が変更前より短かったことも一因です)。
ただし、1日あたりの数値で見ると別の側面が見えてきます。
| 指標 | 変更前(100円) | 変更後(300円) | 変化 |
|---|---|---|---|
| ブロック率 | 約67% | 約59% | 約-8ポイント |
| 1日あたりの有効リーチ純増 | 約1.3 | 約1.4 | 約+1割 |
ここでいう「ブロック率」とは、友達追加してくれた人のうちLINEをブロックして離れてしまう割合のことです。これが約8ポイント下がり、結果として1日あたりで実際に届けられる相手(有効リーチ)の純増は約1割改善しました。
つまり、「新規の友達がドッと増えた」わけではないものの、「追加してくれた人が離れにくくなり、リストの中身が良くなった」という質的な改善が起きていた、と読み取れます。
検証結果から学べる4つのポイント
この事例を自社に応用するうえで、押さえておきたいポイントを4つに整理します。
1. クーポン金額の引き上げは「利用率・利用数」に効きやすい 今回もっとも明確に動いたのは、獲得数よりも利用率・利用数でした。すでに友達リストが一定数ある店舗であれば、金額を上げることで「眠っているクーポンを使ってもらう」効果が期待できます。
2. 金額アップとセットで「利用条件」を設計する 金額を上げると値引き原資が増えますが、最低購入額を設けることで客単価の下落を防げます。今回の「3,000円以上」のように、自社の平均客単価とのバランスを見て条件を設計するのがおすすめです。
3. 「友達数」と「有効リーチ」を分けて評価する 友達追加数だけを見ていると「効果がなかった」と判断しがちですが、ブロック率や有効リーチの純増まで見ると評価が変わることがあります。リストは数だけでなく「質」で捉える視点が大切です。
4. コストは「絶対額」と「効果」の両面で判断する 今回のコスト増は月額約1万円程度でした。利用数が約1.5倍に伸びたことと合わせて考えれば、許容範囲と判断できます。金額の大小だけでなく、得られた成果と並べて評価しましょう。
LINEクーポンの料率を上げる前に注意したい3つの落とし穴
最後に、料率変更を検討する際に陥りやすい注意点をまとめます。
短期間の数値だけで結論を出してしまう 今回の検証でも、スーパーSALEなどの特殊な期間が混ざると数値が大きくブレました。セールやキャンペーンの影響を切り分け、できるだけフラットな期間どうしで比較することが大切です。
「獲得数」だけを成功指標にしてしまう クーポン金額を上げても、友達の新規獲得が必ず増えるとは限りません。獲得数だけを追うと「失敗」と見えてしまう施策が、利用率やブロック率まで見ると「成功」だった、というケースは珍しくありません。複数の指標をセットで追いましょう。
条件を付けずに金額だけ上げてしまう 利用条件を設けずに値引き額だけを増やすと、客単価が下がり利益を圧迫するおそれがあります。金額の引き上げは、最低購入額などの条件設計とセットで考えるのが安全です。
まとめ
楽天市場でLINE友達追加クーポンを100円から300円に変更した今回の検証では、次のような結果が得られました。
- あいさつメッセージのクリック率は約88%→約98%へ、約10ポイント上昇
- クーポンの利用数は約1.5倍に増加し、利用率も約6ポイント改善
- 友達の新規獲得数に直接的な変化はなかったが、ブロック率が約8ポイント低下し、有効リーチの純増は約1割改善
- コスト増は月額約1万円程度で、継続検証に値する水準
クーポン料率の見直しは、「金額を上げれば友達が増える」という単純な話ではなく、利用率・ブロック率・コストといった複数の指標をどう読み解くかがカギになります。自社のLINE施策を評価する際は、ぜひ今回の視点を参考にしていただければと思います。
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