楽天市場のクーポン効果を検証|全商品3%OFFと対象限定5%OFFを比較

株式会社Proteinum 代表取締役
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。
楽天市場で新規向けクーポンを出すとき、「割引率を上げるべきか」「対象を全商品に広げるべきか」で迷った経験はありませんか。割引率が高いほど効果も大きい気がしますが、実際のデータはそう単純ではありません。この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、お買い物マラソン時の新規向けクーポン施策について、実際の検証データをもとに解説します。割引率と対象範囲のどちらが売上に効くのか、自社のクーポン設計を見直すヒントが得られる内容です。
Contents
クーポンの「割引率」と「対象範囲」、どちらを優先すべきか迷っていませんか
楽天市場のクーポンには、割引率・対象商品・配布条件など、設計の自由度が高いぶん、どう組み合わせるのが正解かが見えにくいという悩みがつきものです。特に新規顧客の獲得を狙うとき、次のような疑問に直面しがちです。
- 割引率を上げれば、その分だけ新規は増えるのか
- 対象商品を絞った方がいいのか、全商品に広げた方がいいのか
- そもそも、クーポンの効果は何の指標で評価すればいいのか
これらは、感覚や「前回もこうだったから」という慣習で判断されがちなポイントです。本記事では、実際の店舗データをもとに、2種類のクーポン設計を比較した結果をご紹介します。結論から言えば、「割引率の高さ=効果の大きさ」とは限らないというのが、今回の検証から見えてきた示唆です。
前提知識:楽天市場の新規向けクーポンとお買い物マラソン

新規向けクーポンとお買い物マラソンについて解説します。
- 新規向けクーポンの役割
- お買い物マラソンというタイミング
新規向けクーポンの役割
楽天市場のクーポンは、購入の後押しと顧客獲得の両方に使える販促ツールです。なかでも「新規向けクーポン」は、まだ自店で購入したことのないユーザーに割引を提示し、最初の購入のハードルを下げることを目的に設計します。
このとき設計のレバーになるのが、主に次の2つです。
- 割引率:3%・5%・10%など、値引きの大きさ
- 対象範囲:全商品を対象にするか、特定商品に限定するか
割引率を上げれば1件あたりの訴求力は増しますが、利益は削られます。対象を絞れば狙った商品に誘導できますが、ユーザーにとっての「使いやすさ」は下がります。このトレードオフをどう設計するかが、クーポン施策の肝になります。
お買い物マラソンというタイミング
お買い物マラソンは、複数店舗での買い回りでポイント倍率が上がる楽天市場の大型イベントです。来店者数そのものが普段より増えるため、クーポンの効果を検証するのに向いた期間といえます。一方で、開催時期(季節)や同時開催のキャンペーン内容によって購買行動が変わる点には注意が必要です。
事例紹介:全商品3%OFFと対象商品限定5%OFFを比較した検証

某物販ジャンルのA店舗(月商数千万円規模)における、お買い物マラソン期間中の新規向けクーポン施策の検証データをご紹介します。なお、本記事の数値はすべて傾向が変わらない範囲で丸め・相対化した参考値です。
- 検証の前提・比較条件
- 実施した施策の内容
- 改善後の成果・数値変化
検証の前提・比較条件

今回比較したのは、それぞれ別の回のお買い物マラソンで実施した2つのクーポン設計です。
- 今回:全商品を対象とした 3%OFFクーポン(割引率は低いが対象は広い)
- 前回:対象商品を絞った 5%OFFクーポン(割引率は高いが対象は狭い)
評価は「店舗全体」と「RPP広告経由」の2つの軸で行いました。
注意点:今回と前回は異なる時期に開催された別回のマラソンを比較しています。季節要因やイベント内容の違いも結果に影響している可能性があるため、厳密なA/Bテストではなく、傾向をつかむための参考データとしてご覧ください。
実施した施策の内容
主な違いは割引率と対象範囲の組み合わせです。割引率を5%から3%に下げる代わりに、対象を一部商品から全商品へ広げた点が、今回の施策のポイントです。一見すると割引が小さくなり不利に見えますが、結果は次のとおりでした。
改善後の成果・数値変化
まず、店舗全体の主要指標です。

| 指標 | 前回(対象限定5%OFF) | 今回(全商品3%OFF) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 売上額 | 940万円 | 1,200万円 | +27% |
| 売上件数 | 2,100件 | 2,500件 | +20% |
| アクセス人数 | 10,900人 | 10,500人 | −4% |
| 転換率 | 19.1% | 23.8% | +4.7pt |
| 客単価 | 4,600円 | 4,800円 | +6% |
| 新規顧客数 | 880 | 930 | +6% |
| 既存顧客数 | 1,200 | 1,500 | +30% |
| 新規率 | 43% | 38% | −5pt |
アクセス人数はやや減ったにもかかわらず、売上は約1.3倍(約27%増)、転換率は約4.7ポイント改善しています。来店した人がより買いやすくなった、と考えられます。割引率を下げたにもかかわらず客単価も微増しており、全商品が対象になったことでついで買いがしやすくなり、客単価を押し上げた可能性があります。
一方で注目すべきは、新規率が約43%から約38%へと低下している点です。これは新規顧客が減ったわけではありません。新規顧客数はむしろ微増(約6%増)しています。新規率が下がったのは、既存顧客の購入が約30%と大きく伸びたため、相対的に新規の比率が下がった、という構造です。
次に、RPP広告経由の指標です。

| 指標 | 前回(対象限定5%OFF) | 今回(全商品3%OFF) | 変化 |
|---|---|---|---|
| 売上額 | 220万円 | 250万円 | +10% |
| 広告費 | 20万円 | 18万円 | −11% |
| ROAS | 1,110% | 1,370% | +260pt |
| 売上件数 | 750件 | 670件 | −11% |
| クリック数 | 4,900 | 2,300 | −52% |
| CPC | 42円 | 77円 | +84% |
| RPP経由の新規率 | 53% | 58% | +5pt |
RPP広告では、クリック数が約半分に減り、CPC(クリック単価)が約1.8倍に上がったにもかかわらず、広告費はやや減少し、ROASは約260ポイント改善しました。売上件数自体は約11%減っていますが、クリックの減り方に対して件数の減りは小さく、クリックあたりの購入率(CVR)は約15%から約28%へと大きく改善しています。クリックの量は減ったものの、購入につながりやすい流入の割合が高まった、と考えられます。
なお、RPP経由の新規率も約53%から約58%へと上昇していますが、これは新規顧客が増えたためではありません。RPP経由の新規数はむしろわずかに減っており(約2%減)、既存顧客の購入がそれ以上に減ったことで、相対的に新規の比率が上がった構造です。店舗全体とは逆方向の動きですが、「率の変化」だけでは新規獲得の良し悪しを判断できない点は共通しています。また前述のとおり期間が異なるため、CPCの上昇は季節的な競合状況の影響も含んでいると見るのが妥当です。
事例から学べるポイント・自社への応用のコツ

この検証から、自社のクーポン設計に応用できる視点を整理します。
- 「割引率の高さ=効果の大きさ」とは限らない
- 「新規向け」でも、恩恵を受けるのは既存顧客のこともある
- 目的に応じてクーポン設計と評価軸を変える
- クーポン効果は「複合指標」で評価する
1. 「割引率の高さ=効果の大きさ」とは限らない
今回は、割引率を5%から3%に下げる代わりに対象を全商品へ広げた結果、店舗全体の売上・転換率・客単価がいずれも改善しました。割引率を上げることばかりに目が向きがちですが、ユーザーにとっての「使いやすさ(対象の広さ)」が売上に効くケースがあると考えられます。
2. 「新規向け」でも、恩恵を受けるのは既存顧客のこともある
新規率の低下を見て「新規施策が失敗した」と判断するのは早計です。今回は新規数自体は増えており、新規率が下がったのは既存顧客の購入が大きく伸びたためでした。1つの指標だけで施策を評価せず、絶対数と比率の両方を見ることが重要です。
3. 目的に応じてクーポン設計と評価軸を変える
- 店舗全体の売上最大化が目的なら、対象を広げた全商品型クーポンが有効な選択肢になり得ます。
- 新規顧客の獲得が目的なら、新規率(比率)ではなく新規数(絶対数)で評価することが欠かせません。今回はRPP経由の新規率が上がりましたが、これは既存顧客の購入が減ったことによるもので、新規数自体は伸びていません。率の改善を新規獲得の成果と取り違えないよう注意が必要です。
4. クーポン効果は「複合指標」で評価する
開放的な施策(対象を広げる、来店を増やす)を打つと、開封率やCVRといった個別の効率指標は下がることがあります。評価は、アクセス×転換率や、広告費を差し引いた純利益といった複合的な指標で行うのが適切です。
よくある失敗パターン・注意点

クーポン施策でつまずきやすいポイントもあわせて押さえておきましょう。
- 割引率を上げれば売れる、という思い込み:割引は利益を削ります。今回のように、対象範囲の調整の方が効くこともあります。
- 季節やイベント条件の違いを無視した単純比較:今回の検証も時期の異なる2回を比べています。比較の前提を揃えられない場合は、結果を「断定」ではなく「傾向」として扱う姿勢が大切です。
- 「新規向け」と銘打てば新規が増えると考える:クーポン名と実際の利用者層は一致しないことがあります。誰が使ったかを必ず確認しましょう。
- 1つの指標だけで合否を決める:新規率だけ、ROASだけ、で判断すると施策の全体像を見誤ります。
まとめ
今回の検証から見えてきたのは、次のポイントです。
- 割引率を下げても、対象を全商品に広げたことで店舗全体の売上は約1.3倍に伸びた
- 転換率・客単価も改善し、「使いやすいクーポン」が購買を後押しした可能性がある
- 新規率は低下したが、これは既存顧客の購入が大きく伸びた結果であり、新規数自体は微増
- RPP広告経由ではCVRが大きく改善しROASも向上した一方、新規率の上昇は既存顧客の減少による相対的なもので、新規数自体は伸びていない
- ただし比較した2期間は時期が異なるため、結果は傾向値として捉えるべき
クーポンは「割引率を上げる」以外にも、対象範囲・配布条件・広告との組み合わせなど、設計の打ち手が多くあります。自社の目的(売上最大化か、新規獲得か)を明確にしたうえで、適切な評価軸でデータを見ることが、効果的なクーポン運用への第一歩です。
「クーポンの設計をどう最適化すればいいか分からない」「割引施策の効果が正しく測れていない」「何から改善すればいいか分からない」「やりたいことはあるが手が回らず困っている」 こんなお悩みはありませんか? 弊社では、EC事業のプロフェッショナルが貴社の店舗・サイトを分析し、売上アップのための具体的な改善ポイントをご提案する「EC店舗ポテンシャル無料診断」を実施しています! 毎月5社様限定とさせていただいておりますので、枠が埋まってしまう前に、まずはお気軽にご相談ください。
▼弊社のECコンサル/運営代行については以下で詳しく説明しておりますので、ぜひご覧ください▼
詳細はお気軽にお問い合わせください!

