楽天クーポンの成功事例4選|転換率・客単価を上げる発行のコツ

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

慶応義塾大学を卒業後、楽天グループ株式会社に入社。ECコンサルタントとして、ショップオブザイヤー受賞店舗を含むのべ700店舗以上を支援。その後、小売業を中心に経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、EC戦略策定・実行支援など)し、株式会社Proteinum(プロテーナム)を創業。
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。

「クーポンは出しているけれど、本当に効果が出ているのか分からない」
——楽天市場を運営していると、こんなモヤモヤを抱えがちではないでしょうか。料率や利用条件の決め方に自信が持てず、なんとなく続けている方も多いはずです。

この記事では、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、楽天市場のクーポン施策で成果が出た成功事例を4つ取り上げ、発行のポイントを解説します。読み終える頃には、自社で「次に試すべきクーポン施策」の優先順位がつけられるようになります。

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楽天市場でクーポンが売上を左右する理由

クーポンは「割引してお客様に喜んでもらう」だけのツールではありません。利用条件や配布対象の設計次第で、転換率(CVR:訪問者のうち購入に至った割合)や客単価、さらにはリピート率まで動かせる、戦略性の高い販促手段です。

一方で、現場ではこんな悩みがよく聞かれます。

  • クーポンを発行しても、売上の伸びにつながっている実感がない
  • 料率(割引率)や利用条件を、何を基準に決めればいいか分からない
  • 楽天市場にはクーポンの種類が多く、自店舗にどれが合うのか選べない

これらの悩みは、「クーポンを”出すこと”が目的になってしまい、”何を改善するために出すのか”が曖昧になっている」ことが原因であるケースが少なくありません。本記事では、目的別の成功事例を通じて、その勘所をお伝えします。

知っておきたい楽天市場クーポンの基礎知識

事例に入る前に、前提となる市場背景とクーポンの種類を簡潔に整理します。

データで見る、クーポン活用の重要性

クーポンの重要性は、市場データからも裏付けられています。2018年から2022年のデータでは、楽天市場全体のクーポン発行店舗数の年平均増加率は約8.8%、クーポン利用購買割合の年平均成長率は約14.7%と伸び続けています。クーポン利用の受注件数にいたっては、2013年からの10年で約20倍に拡大したとされています。

ユーザー側の意識も無視できません。eBay Japan合同会社の『買い物に関する全国調査』(2023年)によると、以下のような傾向が報告されています。

  • 8割以上のユーザーが、買い物時にクーポンやポイントを活用している
  • 似た商品を比べた際、約57.7%のユーザーが値段の安さを重視する
  • 約57.9%のユーザーが、セールに惹かれて購入した経験がある

参照:消費者庁/eBay Japan調査(PR TIMES)

「価格やお得感」が購買の決め手になりやすい以上、クーポンを使いこなせるかどうかが店舗の成長を左右すると言えます。

楽天市場のクーポン運用に関する事例はこちらの動画でもお話しています。ぜひご覧ください。

楽天市場で使える主なクーポンの種類

楽天市場には、目的に応じて選べる複数のクーポンがあります。代表的なものを整理すると、次のとおりです。

クーポンの種類概要主な目的・期待効果
配布型クーポン店舗が任意で発行。金額・購入点数などの利用条件を設定でき、非公開で特定ユーザーのみに配ることも可能転換率向上/購入点数・購入金額の増加/LINE・メルマガ登録促進
サンキュークーポン自店舗で購入したユーザーに配布リピート率の向上
楽天原資クーポン・サービスクーポン原資を楽天市場側が負担して配布(一部は広告費が必要)転換率向上/クーポン経由のアクセス増加
クーポンアドバンス広告関連性の高いユーザーにクーポンを表示できる運用型広告。配信先と料率を設定できるアクセス増加/転換率向上

「誰に・何のために配るか」で選ぶクーポンが変わる、と覚えておくと整理しやすくなります。それでは、ここからは実際の成功事例を見ていきましょう。

あわせて読みたい:[内部リンク: 楽天市場の転換率(CVR)を改善する方法]

【事例1】利用条件付きクーポンで客単価が約19%向上した事例

改善前の状況・課題

ある楽天市場店では、クーポンを一律の割引で配布していたものの、「客単価が頭打ちで、まとめ買いにつながらない」という課題を抱えていました。割引が”単なる値引き”になり、購入金額を引き上げる効果を生めていなかったのです。

実施した施策の内容

そこで、購入金額に応じて割引が大きくなる3段階の金額条件付きクーポンを発行しました。

利用条件割引額利用率(目安)
約5,000円以上の購入150円OFF約35%
1万円以上の購入300円OFF約12%
2万円以上の購入1,000円OFF約5%

「あと少し買えば、もっとお得になる」という心理を働かせ、追加購入を自然に促す設計です。

改善後の成果・数値変化

施策の結果、前年同月比で以下のように改善しました。

  • 平均同梱数(1注文あたりの商品点数)が約27%増加し、過去最高水準に
  • 客単価が約19%向上(6,000円台後半→8,000円台前半へ)
  • 売上は前年同月比で約4倍に拡大

金額条件を段階的に設けることで、「ついで買い」や「もう1点」を後押しし、客単価と同梱数の両方を引き上げられた好例です。

【事例2】限定配布クーポンで新規店舗のLINE・レビューを伸ばした事例

改善前の状況・課題

楽天市場に新規出店したばかりの店舗では、レビュー件数もLINE友達数もほぼゼロからのスタートでした。レビューや友だち登録が少ないと、新規ユーザーからの信頼を得にくく、転換率も伸び悩みます。

実施した施策の内容

そこで、特定の行動の見返りとしてクーポンを配る限定配布クーポンを活用しました。

  • 公式LINEのお友達登録特典として10%OFFクーポンを配布(利用率は約60%)
  • レビュー投稿のお礼として20%OFFクーポンを配布(利用率は約8%)

「登録・投稿してくれた人だけ」が得をする設計にすることで、ユーザーの行動を後押ししました。

改善後の成果・数値変化

  • LINE立ち上げから3か月で22人だった友達数が、クーポン配布後の1か月で約5倍に増加
  • レビュー施策の開始から1か月で約20件のレビューを獲得
  • 店舗全体の転換率が約5ポイント向上(2%台→7%台)
  • 売上も前月比で約9倍に拡大

レビューやLINE友達といった「資産」を短期間で積み上げられたことが、転換率の底上げにつながりました。新規店舗が最初の信頼を獲得する手段として、限定配布クーポンは有効です。

あわせて読みたい:[内部リンク: 楽天市場の新規出店で最初にやるべき施策]

【事例3】サンキュークーポンでリピート率を高めた事例

改善前の状況・課題

新規顧客の獲得は一定数できているものの、「一度買って終わり」で再来店につながらない——リピート率の低さに課題を感じていた店舗の事例です。新規獲得は広告費がかさむため、既存顧客の再購入を増やすことが利益改善の鍵でした。

実施した施策の内容

購入したすべてのユーザーに、次回使える5%OFFのサンキュークーポンを自動配布する設定を新規に導入しました。購入直後の満足度が高いタイミングで「次もどうぞ」と背中を押す施策です。配布したクーポンの利用率は約30%でした。

改善後の成果・数値変化

前年同月比で、次の成果が得られました。

  • 既存顧客数が約18%増加
  • 既存顧客の売上が約13%増加

いずれも直近の既存顧客成長率を大きく上回る水準でした。サンキュークーポンは設定の手間が小さい一方で、リピート購入の入り口として継続的に効いてくる、費用対効果の高い施策です。

【事例4】クーポンアドバンス広告の料率変更でROASが約44%改善した事例

改善前の状況・課題

クーポンアドバンス広告(関連性の高いユーザーにクーポンを表示する運用型広告)を**料率5%**で運用していたものの、ROAS(広告費用対効果=広告経由売上÷広告費)をさらに高められないか模索していた事例です。

実施した施策の内容

設定するクーポンの料率を5%から10%に引き上げ、検証を行いました。あわせて、店内の別クーポンとの併用不可設定を活用し、「広告クーポンを入り口に来店してもらい、店内の別クーポンで購入してもらう」導線も意識しています。

改善後の成果・数値変化

指標料率5%時料率10%時変化
広告費(基準)ほぼ同額+約0.1%(横ばい)
広告経由売上(基準)+約44%
ROAS約1,200%約1,700%+約44%

注目すべきは、クーポンの利用率自体は約0.7ポイントの微増(約11.5%→約12%)にとどまった点です。利用率がほとんど変わらないにもかかわらずROASが大きく改善したのは、より割引メリットの大きいクーポンが、購入意欲の高いユーザーの後押しになった可能性が考えられます。

なお、この結果は1つの検証事例であり、料率を上げれば必ずROASが改善するわけではありません。利益率とのバランスを見ながら、自社で小さくテストすることをおすすめします。

事例から学べる、クーポン発行を成功させる5つのポイント

4つの事例に共通する「成果につながるクーポン設計」のポイントを、自社で応用できる形で整理します。

  1. クーポン名:「〇〇円OFF」「ポイント〇倍」など、割引額や特典を具体的に記載するとクリック率が上がりやすくなります。利用条件も分かりやすく書くことで利用率が高まります。
  2. 料率・割引額:自社の利益率(原価・想定ROASなど)と、競合の割引率・割引後価格の両方を確認し、利益を確保しつつ優位性のある水準に設定します。
  3. 利用条件:平均客単価より高い金額条件を設ければ追加購入(事例1)、平均購入点数より多い個数条件を設ければまとめ買いを促せます。商品別の発行も転換率向上に有効です。
  4. 有効期間:商品の消費サイクルに合わせ、次回購入のタイミングまで使えるよう設定します。短期間にすれば早期購入を促せ、楽天市場のイベント期間に合わせると利用率が高まります。
  5. ターゲット設定:新規・既存・特定商品の購入者など、対象別に内容を変えることで(事例2・3)、ニーズに合った訴求ができます。

共通するのは、「割引する」のではなく「どの指標を、どう動かすかを決めてから発行する」という姿勢です。

クーポン施策でよくある失敗パターン・注意点

最後に、つまずきやすいポイントを挙げておきます。

  • 利益率を無視した料率設定:割引額や原価を踏まえずに料率を決めると、売上が伸びても利益が残らない事態に陥ります。発行前に「割引後の利益」を必ず試算しましょう。
  • 全顧客への一律配布で終わる:誰にでも同じ条件で配ると値引き効果しか生まれません。事例のように金額・行動・顧客属性で条件を分けることが成果の分かれ目です。
  • 効果測定をしないまま続ける:「なんとなく発行し続ける」が最も避けたいパターンです。転換率・客単価・利用率・ROASなど、改善したい指標を決めて前後比較する習慣をつけましょう。
  • 有効期間の設計ミス:期間が長すぎると希少性が薄れ、短すぎると使われないまま終わります。商品の消費サイクルやイベント時期から逆算して設定します。

まとめ

本記事では、楽天市場のクーポン成功事例を4つご紹介しました。

  • 利用条件付きクーポン:3段階の金額条件で、客単価・同梱数を引き上げ(事例1)
  • 限定配布クーポン:LINE登録・レビュー投稿の見返りに配り、新規店舗の信頼を獲得(事例2)
  • サンキュークーポン:購入者への自動配布でリピート率を底上げ(事例3)
  • クーポンアドバンス広告:料率を見直し、広告費ほぼ据え置きでROASを改善(事例4)

いずれも「どの指標を改善したいか」を起点に設計されている点が共通しています。クーポンは、目的を定めて使えば、売上だけでなく顧客との関係づくりにも効く強力な施策です。まずは自社で改善したい指標を1つ決め、本記事の事例に近い形から試してみてください。

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