Amazon SP広告で自社ASIN指定!ROAS約16倍を実現した防御×クロスセル戦略

Amazon SP広告で自社ASIN指定!ROAS約16倍を実現した防御×クロスセル戦略
Writer樋口 智紀

株式会社Proteinum ECコンサルタントマネージャー

戦略コンサルティングファームおよびECコンサルファーム(NE株式会社)を経て現職。現在はECコンサルタントとして、多数のAmazonセラーの売上拡大を支援。電子機器やアパレルから日用品、食品まで多岐にわたる商材を担当し、緻密なデータ分析に基づいた施策立案で月商を10倍以上に引き上げた実績を多数持つ。Amazon特有の購買行動を数値化し、広告費の最適化とCVR改善を同時に実現する手法を得意とする。コンサルタントの視点から、リピート商材の分析を通じた継続的な収益構造の構築を強みとしている。

「Amazon広告に予算を投じているのに、思うように売上が伸びない」「自社商品ページを見たユーザーが、関連商品枠から他社商品に流出している気がする」といった課題を感じていませんか?

Amazonでは商品詳細ページの「この商品に関連する商品」枠が広告の主要な配信面となっており、競合に奪われてしまうケースは少なくありません。

この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)がAmazon SP広告における「自社ASIN一括ターゲティング配信」の効果検証について解説します。実際の運用データをもとに、自社内クロスセルを促進してROAS約16倍を達成した施策の設計と運用ポイントを具体的にお伝えします。

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「広告で集客しても他社商品に流出してしまう」というEC運営者のジレンマ

「広告で集客しても他社商品に流出してしまう」というEC運営者のジレンマ

Amazonで広告運用を続けていると、「クリックは取れているのに思うようにコンバージョンに繋がらない」と感じる場面があります。その原因のひとつが、自社商品ページに流入したユーザーが、ページ内の「この商品に関連する商品」枠を経由して他社商品に流出してしまうことです。

特にサプリメントや日用品など、ユーザーが複数商品を比較検討しやすいカテゴリでは、せっかく広告で呼び込んだトラフィックを他社にさらわれてしまう状況に陥りがちです。

この問題を放置すると、広告費を投じれば投じるほど競合に間接的な貢献をしてしまう、という事態にもなりかねません。「指名キーワードで広告は出しているけれど、その先のページから売上が抜けている」という構造を、まずは認識することが改善の第一歩になります。

Amazon SP広告における「自社ASIN指定配信」とは?

Amazon SP広告における「自社ASIN指定配信」とは?

スポンサープロダクト広告(SP広告)の基本

スポンサープロダクト広告(以下、SP広告)は、Amazon広告のなかでも最もスタンダードな広告メニューです。検索結果の上位や、商品詳細ページの関連商品枠などに配信され、商品単位でターゲティングが可能となります。

主にキーワードターゲティングと商品ターゲティング(ASINターゲティング)の2種類があり、それぞれを目的に応じて組み合わせることで、多角的なアプローチが可能です。

商品ターゲティング(ASIN指定)の仕組み

商品ターゲティングでは、特定のASIN(Amazon商品識別番号)を指定し、その商品の詳細ページに自社商品の広告を表示できます。一般的には他社の競合商品ASINを指定することで、競合のトラフィックに自社商品を露出させる「攻めの配信」として活用されます。

「自社ASIN指定」という発想

一方、今回ご紹介するのは「自社の商品ページに、自社の他商品を広告として配信する」という、防御的かつクロスセル促進型の活用方法です。これにより、

  • 自社商品ページの関連商品枠を競合に奪われない(防御
  • 自社商品ページから別の自社商品への送客が生まれる(クロスセル

という2つの効果を同時に期待できます。

「攻め」のASIN指定はよく知られていますが、「守りながらクロスセルを生む」自社ASIN指定は、複数商品を展開しているブランドにとって特に相性の良い手法といえるでしょう。

【事例】某サプリメントブランドの自社ASIN一括ターゲティング配信

【事例】某サプリメントブランドの自社ASIN一括ターゲティング配信

改善前の状況・課題

今回ご支援していたのは、Amazonに出店している某サプリメントブランドA社です。ビタミン類、ミネラル類など複数のサプリメント商品を展開しており、指名キーワード(ブランド名)でのSP広告は安定的に運用できている状態でした。

しかし、自社商品の詳細ページを開くと、関連商品枠に他社のサプリメントが多く並んでいました。指名広告で自社ページまでユーザーを誘導しても、その先の関連商品枠から他社商品へ流出している可能性が高く、「広告で集めたトラフィックが他社の売上に貢献してしまっている」状況だったのです。

実施した施策の内容

そこで、指名キャンペーンの配信ターゲットに「自社の主要ASIN群」を一括で追加するという施策を実施しました。具体的には、ビタミンC粉末・ビタミンB群・ビタミンD&オメガ-3・ヘム鉄・亜鉛&銅・マグネシウム・ルテイン・レスベラトロール・還元型コエンザイムQ10など、自社で展開している主力サプリメント商品をすべてターゲットASINとして指定したのです。

その結果、自社商品ページの関連商品枠に表示される広告が「自社の別商品」となる状態を意図的に作り出すことができました。ユーザーから見ると、ある自社商品のページから、別の自社商品が「あわせて検討する候補」として自然に提示される設計です。

改善後の成果・数値変化

検証期間における「自社ASIN指定キャンペーン全体」の主要指標は、以下のとおりです(実数値は一部丸めて記載しています)。

指標実績値(概算)
インプレッション数約3,800
クリック数約220
CTR約5.5%
CPC約60円
広告費約1.2万円
売上高約20万円
ROAS約1,600%(約16倍)
売上個数約50個
CVR約23%

ROASは約16倍と非常に高い水準を記録しました。さらに注目すべきは、約50個の売上個数のうち、およそ4分の1が「広告で配信した商品(流入元商品)」とは別の自社商品の購入だった点です。つまり、広告経由で自社商品ページに来訪したユーザーが、関連商品枠から別の自社商品を購入する「自社内クロスセル」が実際に発生していました。

特に効果が大きかったのは、ビタミンC粉末と亜鉛&銅の組み合わせです。ビタミンC粉末のページから亜鉛&銅へ、亜鉛&銅のページからビタミンC粉末へと双方向にクロスセルが生まれており、サプリメントを併用したいユーザー心理にフィットした自然な購買導線が形成されていることがうかがえます。

また、ヘム鉄やルテインなど、相対的に配信ボリュームの小さい商品ページからも、ビタミンC粉末やマグネシウムへの送客が安定的に発生しており、ラインナップ全体での「回遊」が生まれていました。

事例から学べるポイント・自社で応用するためのコツ

「攻め」と「守り」を両輪で設計する

ASINターゲティングは、競合商品を狙う「攻めの配信」として語られることが多い手法です。しかし、自社商品ページに対しても自社で配信を行うことで、関連商品枠を競合から防衛しつつ、自社内回遊を生み出す「守り × クロスセル」の役割を担わせることができます。攻めだけでなく守りの視点を組み込むことで、広告全体の費用対効果を底上げできるのです。

補完関係のある商品同士を組み合わせる

クロスセルが効果を発揮しやすいのは、商品同士に「一緒に使うと相性がよい」「悩みが近い顧客層が買いやすい」といった補完関係があるときです。今回の事例でも、ビタミンC × 亜鉛など、健康ニーズが近い商品の組み合わせで売上個数が伸びていました。配信前に、自社商品の併売データを確認し、相性の良い組み合わせを把握しておくと精度が高まります。

単品依存から「ポートフォリオ売上」への転換

自社ASIN指定配信のもうひとつの価値は、「主力1商品に依存しない売上構造」を作れる点にあります。広告経由の売上が複数SKUに分散することで、特定商品の在庫切れや競合の新規参入による影響を和らげられます。中長期的にはブランド全体のLTV向上にもつながる施策と位置づけられます。

自社ASIN指定配信を実施する際の注意点

自社ASIN指定配信を実施する際の注意点

自社商品同士のカニバリゼーション(共食い)を意識する

代替性が高い商品同士で配信してしまうと、本来そのまま購入に至っていたはずのユーザーを別商品に誘導してしまい、売上の食い合いが起きる恐れがあります。「補完関係」と「代替関係」を整理し、補完関係にある商品ペアを優先的に組み込むことをおすすめします。

ROASの高さだけで判断しない

自社ASIN指定配信はインプレッション数が少なくCVRが高くなりやすいため、ROASが極端に高く見えることがあります。しかし、配信ボリュームそのものが限定的で、絶対値としての売上規模は小さいケースも珍しくありません。広告全体のなかで「どの役割を担う施策か」を定量的に見ておくことが重要です。

既存の指名キャンペーンとの重複に注意する

ブランド名の指名キーワードキャンペーンと商品ターゲティングを併用する場合、同じユーザーに対して複数のキャンペーンから配信が重複してしまうことがあります。CPCが過度に上昇していないか、入札の食い合いが起きていないかを定期的に確認しましょう。

まとめ

Amazon SP広告における「自社ASIN一括ターゲティング配信」は、以下3つの効果を同時に狙える費用対効果の高い施策です。

  • 自社商品ページの関連商品枠を競合から守る
  • 自社商品同士のクロスセルを促進する
  • 結果としてROASと売上個数の双方を底上げする

特に複数SKUを展開しているブランドにとっては、すぐに取り組めて即効性も期待できる打ち手といえるでしょう。一方で、補完関係の整理や既存キャンペーンとのバランス調整など、運用設計の巧拙が成果を大きく左右します。本記事の事例を参考に、自社の商品ラインナップに合わせた配信設計をぜひ検討してみてください。

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