DtoCとは? メーカー直販ECであるDtoCの概要と成功へのポイントを解説!

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01.DtoCとは

「DtoC」とは、「Direct to Consumer」の略語です。メーカーの自社で開発製品を、中間業者(小売店など)を排して、消費者と直接取引して販売するようなビジネスモデルがこれに該当します。「DtoC」の他に「D2C」と表現されることもあります。

02.なぜ今DtoCが注目されているのか

では、なぜ今DtoCが注目されているのでしょうか。その背景を解説いたします。

02-1.SNSの浸透

従来、メーカーやブランドが自社商品の認知度を上げるために行う、大規模なプロモーションとして一般的であったのが莫大な広告費が掛かるテレビCMでした。また、小売店に自社商品を陳列してもらうために営業マンを必要とし、多くの人件費がかかっていました。

ところがSNSの普及によって、消費者の多くはGoogleなどの検索エンジンでなく、SNSを情報収集の主な手段として活用するようになりました。これにより、SNSを介してメーカーがエンドユーザーと直接コミュニケーションを取れるようになります。

02-2消費者のニーズの変化

また、最近のユーザーは機能的な価値に加えて、独自のストーリー・コンセプトを持った、ユニークな体験が得られる商品を求めるようになってきています。

従来の小売店などをメインにした販売形態では、商品の機能を押し出して売り出すのが一般的でしたが、DtoCならユーザーに直接商品のコンセプトを紹介することもできるのです。

02-3.サブスクリプションの台頭

音楽や映画・動画の配信サイトをはじめ、商品に対して料金を支払うのではなく、定額料金を支払うことによって「商品の利用権」が得られるサブスクリプション(定期購入)方式のビジネスモデルが広がっています。

製品を所有するのではなく利用するという消費者の価値観の変化を背景に、サブスクリプションとDtoCを掛け合わせたビジネスモデルが成長しつつあります。

02-4.大手ECモールの拡大

ECサイト構築のハードルが下がったことも理由のひとつです。オンラインでの商品販売においては、「楽天」「Yahoo!ショッピング」「Amazon」といった大手ECモールの影響力が強い現状にあります。
アメリカではAmazonのシェアが日本よりも大きく、小売店や量販店が相次いで廃業に追いやられることとなりました。それに危機感を覚えた各メーカーは、小売店や量販店の販売力に頼った従来のビジネスからの脱却を目指し、メーカー独自の販路拡大の方法としてDtoCが採用されることとなったのです。

また、Amazonや楽天などの大手ECモールは、多くの顧客が集まるという強みがありますが、同業他社との価格競争により利益を上げにくい、ECモール側の意向に従う必要があるというのが問題点でした。
そうした経緯からも、自社でファンを獲得し、自社運営のECサイトで商品展開が可能なDtoCの手法が注目されるようになりました。

03.DtoCのメリット

DtoCに取り組むメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

03-1.顧客との関係を強化しやすい

消費者が直接商品を購入するため、顧客との関係を強化しやすくなります。商品やサービスに対する要望や不満が拾いやすく、商品を購入して利用した声をダイレクトに受け止めることが可能です。

さらに、顧客データを蓄積しデータを分析することで、さらなる商品開発や、販売戦略を立てたりすることにも活用できる点も大きな魅力でしょう。

03-2.利益率の向上

実店舗によらずオンラインで販売を行うため、当然家賃や光熱費などの店舗運営費は不要になります。またDtoCでは、前述の通り小売店などの中間業者を排していることで中間マージンが抑えられ、利益率も高くなります。その分、商品をリーズナブルな価格で販売することも可能です。

03-3.商品のブランド力向上

メーカーから直接情報発信ができるため、自社で開発したブランドのビジョンやコンセプトをそのまま伝えられる点がメリットです。他社商品と一堂に商品が並ぶことになるECモールとは違い、自社独自のECサイトを構築することで差別化を図ることができます。

04.DtoCのデメリット

多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。DtoCを検討する際は、以下の点に注意してください。

04-1.システム開発にかかるコスト

ECサイト開発にかかるコストはかなり下がってきてはいますが、自社で満足する機能を導入するためには、やはり相応のコストがかかります。

今まで自社サイトでの販売がなく不安な場合は、「STORES.jp」や「BASE」といったクラウドサービスからはじめるのも一つの手です。

04-2.コンテンツを発信する手間

メーカーから直接情報を発信し、自社で販売戦略や情報発信をコントロールできるということは、裏を返すとプロモーション施策などもすべて自社で行わなくてはならないということになります。大手ECモールの集客力を利用しない分、自社で情報発信を行う手間がかかる点には注意が必要です。

DtoCでは、InstagramやX(旧:Twitter)、TicTokなどのSNSを積極的に使い、消費者と直接コミュニケーションを取ることが成功につながります。

04-3.商品を実際に手に取る機会が少ない

DtoCはオンライン販売が主であるために、実際の商品を手に取ることができない点もケアしなければなりません。SNSなどで商品情報をまめに、そして細やかに発信するようにしましょう。

05.DtoCで成功するための5つのポイント

ここからは、企業がECサイトでDtoCを成功させるためのポイントを5つにまとめてご紹介していきます。

05-1.商品が魅力的か

DtoCの検討を実施する前に、まずは自社の商品を客観的に見てみる必要があります。DtoCで成功している企業は優れたマーケティングだけで成功したわけではなく、商品自体が消費者の意見を徹底的に取り入れ、消費者に支持された商品であることが大前提となっています。

DtoCには小売店などの販売代理店によるレコメンドや、優秀な販売スタッフのセールストークは介在することがないため、ECサイト上で問われるのは商品自体の魅力になります。逆に考えると、圧倒的な魅力のある商品や他社にはないユニークな商品であれば、SNSが発達している昨今、消費者がインフルエンサーとして積極的にSNSに発信・共有をしてくれます。

例えば、工事現場用ブランドとして有名なマキタのBluetoothスピーカーは、本来のターゲットである法人顧客ではなく一般消費者のSNS上で話題に上がっています。このSNS上でのムーブメントはマキタ自体が意図したものではなく、商品のレビュー記事をきっかけに、WEBメディアやX(旧:Twitter)などで取り上げられ、拡散された結果です。魅力的な商品はそれだけでマーケティングになり、自社によるプロモーションを必要としない場合があるのです。

そのため、企業によるWEBマーケティングは、商品企画の段階から始める必要があります。商品企画とWEBマーケティングを別々に考えるのではなく、消費者視点で商品企画を練りこむことが必要になります。

05-2.ブランディングを確立できているか

これからDtoC展開を検討する企業はブランド力が強い企業ばかりではないでしょう。DtoCの成功になぜブランド力が必要なのか、それはインターネット上での消費者の接点が関係しています。

ここで例としてアディダスの「スタンスミス」というスニーカーのブランドを挙げてみます。消費者がアディダスのスタンスミスを欲しいと思った時、消費者はスマートフォンを使ってGoogleなどの検索窓に「スタンスミス」と入力して、アディダスが運営するECサイトに辿り着きます。一見当たり前の消費者行動ですが、これは可能にしているのが「スタンスミス」のブランド力です。

しかし、ブランド力がまだない企業が多額の予算をかけて、デザイン性にも優れた使いやすいECサイトを作成したとします。ECサイトを作成しただけではブランド力は上がらないため、誰も検索してくれないのでアクセスが確保できません。そうなると広告運用が必要になります。ブランドを認知してもらうための広告費は決して安くはなく、GoogleやYahoo!、テレビCMやSNS広告への出稿などで同様に多額の予算が必要になります。
これらの広告は費用の割に一過性で終わってしまうことが多く、ファンを継続的に囲い込むための施策にはなりません。また、検索連動型の広告であるリスティング広告も、最近ではどのジャンルにおいても入札単価が高騰しているため、費用対効果が悪くなっています。リスティング広告はCVにつながる広告ではありますが、そもそもファンになっていただける広告ではありません。

ブランド力がまだない企業が、DtoCで成功させるには「熱狂的なファン」を増やしていく仕掛け作りが必要になります。そのためには、一過性にならないよう、継続的なSNSやブログなどを活用したWEBマーケティングが必要になってくるのです。
ECにおけるブランディングについては、下記記事で詳しく解説しているので読んでみてください。

05-3.WEBマーケティングの知識はあるか

予算に制約のある中小規模の企業がDtoCを成功させるには、SNSやブログを活用したWEBマーケティングで多くの集客を実現させる必要がありますが、ほとんどの企業ではWEBマーケティング経験のある担当者が不足しているのが現状です。

どの企業もWEBマーケティング担当者をアサインしますが、その多くは社内の他部署で経験を積んだ社員であることが多く、WEBマーケティングの専門的な知識が豊富であることは少ないです。そもそもWEBマーケティングの経験、スキルを持つ人材はどの企業も欲しており、競争倍率が非常に高くなっているため転職市場での採用が難しくなっています。

そうなると、ECコンサルタントや広告代理店にDtoCのWEBマーケティングを依頼することになりますが、企業側でもWEBマーケティングの経験・スキルがないと、適切な選定をすることができません。

05-4.リピートにつながる「定期販売」や「サブスクリプション」

実店舗であれば、通勤通学や用事のついでに店舗に立ち寄り、繰り返し購入してもらえる点がありますが、ECサイトの場合は過去購入者へのメルマガや広告を配信することによって、リピーターに繰り返し商品を購入してもらえるようにするのは非常に大変です。

しかし、DtoCに限らず実店舗においても企業に多くの利益をもたらしてくれるのはリピーターです。イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートの「パレートの法則」では「全体の利益の8割は、2割の顧客が生み出している」と提唱されています。これはリピーターに限った法則ではありませんが、リピーターの獲得こそ、ECサイトで最も企業が力を入れなくてはならないポイントなのです。

そのため、DtoCでは「定期販売」や「サブスクリプション」による販売形式が利用して消費者を囲い込むことが多いです。サブスクリプションと言えば「動画配信や電子書籍などのデジタルコンテンツ」というイメージがありますが、最近では家電レンタルやファッション、食品など幅広いジャンルのサブスクリプションサービスが生まれています。

DtoCに取り組む企業の担当者は、定期購入やサブスクリプションは絶対に押さえておきたいポイントなのです。

05-5.消費者と向き合っているか

DtoCは、販売店や代理店異を介さないため、消費者からの期待やクレームなどを含め、顧客対応を自分たちで一手に引き受けることになります。つまり消費者と真正面から向き合う覚悟が必要となります。

DtoCを単なる商売の仕組みと捉えてしまうと、企業の売り上げは商品の魅力次第となります。よほど革新的な商品ではない限り、商品力だけでは大きな売り上げを見込むことはできません。

しかし、DtoCを消費者と直接「向かい合う場」「コミュニケーションの場」と捉えれば、サイト設計における文言の一つ、問い合わせなどのサポート対応の全てにおいて真摯に取り組まなければなりません。DtoCでは、消費者と向き合い、消費者の声をきちんと取り入れることで商品開発やサービス内容の改善に生かすことができます。

06.まとめ

メーカーが消費者に直接販売するビジネスモデルとして、近年注目を集めているDtoCは、SNSが普及した現代に適しているため、今後さらに広がっていくことも予想されます。

ブランドビジョンの効果的な発信、顧客情報を収集・蓄積してマーケティングにつなげることができるなど、DtoCは企業にとって非常にメリットの大きいビジネスモデルです。利益増大を目指すメーカーは、DtoCを取りいれてみてはいかがでしょうか。

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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