楽天RMSにAIアシスタント導入 | AI機能の仕組みや活用方法を紹介
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Open AI社の代表するAIサービス「ChatGPT」の登場により、急速に身近になったAIですがみなさん、活用されていますでしょうか。
2024年1月に開催された楽天新春カンファレンスや8月に開催されたオプティミズムでもAIの活用について大きく取り上げられ、国内ECモールでは初めて具体的な活用方針や、機能について発表されました。
本記事では、楽天市場そしてRMSに実装されている各種AIの機能や活用方法をご紹介いたします。
Contents
1.そもそもAI(人工知能)とは EC事業における活用領域
楽天市場の検索エンジンやRMSにも取り入れられているAI。
そもそもAIで何ができるのか、改めて簡単に解説いたします。
1-1.AIの基本情報と特徴
AI(正式名称:Artificial Intelligence)は日本では人工知能と訳され、人間の考えや知識を模範し、再現することの総称とされています。
模範する過程で、学習・推論・認識・理解を繰り返し、解決しながら進化し続けることが特徴で、人間が知識や経験をもとに成長する過程に近しいと言えます。
AIの特徴は蓄積された情報をもとに、最適解を出すといった点です。
チェスや将棋において人間が思いもよらない打ち手でプロに勝利するという事例は有名かと思います。
人間の脳では記憶、蓄積しきれない膨大なデータを保有することができ、その組み合わせから最適解を生み出すといったことはAIならではと言えます。
この人間では思いもよらない発想が生み出せるという点は、ビジネスにおいても新たなアイデアを創出する手助けになります。
1-2.EC事業におけるAIの活用領域
AIの活用で、新たなアイデアを創出するだけでなく業務の効率化を進めることも可能です。
具体的な活用方法をいくつかご紹介します。
商品の訴求や魅力を考える
新商品や、競合が多い商品は独自の訴求を考えるのも一苦労だと思います。
ユーザーに届きやすいコピーを考えるうえでも、気が付くといつも似たような内容になっていませんか。
前述でも述べたAIの特徴「人間が思いもよらない新たな発想を生む」を取り入れることで、自分たちでは気が付かなった商品の魅力を発見できるかもしれません。
また商品の説明を考えたり、関連するキーワードを探す際にも役立てることができると思います。
お問い合わせ対応の効率化
お問い合わせフォームやチャットにAIを導入し始めている事業者様も増えてきていると思います。
過去の質問と回答をあらかじめAIに読み込ませておくことで、1件1件人が対応していたお問い合わせをAIが解決してくれます。
よくある質問ページや、ご利用ガイドを丁寧に作りこんでも、何度も同じ問い合わせは発生するものです。
AIの活用で、問合せ対応コストを低減することで、本来時間を割くべき商品の開発や仕入れ、イベント対策などに時間を使い売上アップにつなげましょう。
商品露出機会の拡大
ECで購入経験のあるユーザーが必ず目にしたことがあるであろう
・この商品を買った人はこんな商品も買っています
・あなたにおすすめの商品
などの商品レコメンドですが、過去は店舗ごとに回遊対策などで個別に設定していたかと思います。
楽天市場では、現在AIを活用しユーザーにおすすめの商品を、楽天市場全体からピックアップし表示されています(表示条件あり)。
また検索エンジンにもAIを取り入れることで、ユーザーが入力した検索キーワードの意図を読み取り、より多くの商品が検索結果に表示されるようになっています。
ここまではAIの基本情報と特徴、EC事業における活用例をご紹介しましたが、後述からは楽天市場におけるAIの具体的な活用についてご紹介していきます。
2.楽天市場の検索エンジンへのAI導入(セマンティック検索)
2.1 ユーザーの検索動向の変化
Googleなどの検索エンジンをはじめ、SNSやECモールやでは「キーワード検索」が一般的です。
例えば二人掛けのソファーを探している際は「ソファー 二人掛け グレー」などのキーワードで検索し、ユーザーが入力したキーワードが商品名や、商品説明などのテキスト情報に含まれた商品が検索結果一覧に表示されます。
昨今一般的なキーワード検索ではなく、YoutubeやTikTokを視聴する際、レコメンドを経由して数珠つなぎで動画を視聴するユーザーが増えてきていることはご存じでしょうか。
もちろん目当ての動画やインフルエンサーが決まっている場合は、検索キーワードを入力することもあります。
ただユーザーがフォローしているインフルエンサーや視聴履歴に応じてAIが表示するレコメンドの精度は高く、動画や情報、商品にたどり着くプロセスが能動的から受動的に変わりつつあります。
2.2 楽天市場に実装されているセマンティック検索とは
2024年1月の楽天新春カンファレンスでも、楽天が保有する膨大なユーザーデータとAIを活用し、顧客体験の向上を進めると発表がありました。
中でも代表的な機能が「セマンティック検索」です。
従来の検索方法では、ユーザーが目的の商品にたどり着くために、場合によっては何度も検索キーワードを変更し、検索を繰り返すことがあります。
例えば「小さめで固めのおしゃれな二人掛けソファー」と言うキーワードで検索すると、以前はそのフレーズが商品名やコピー、説明文にテキストとして含まれている商品のみが検索結果に表示されていました。
しかし、現在はセマンティック検索の導入によりユーザーが入力した検索キーワードの意図をくみ取り、検索結果として表示されるようになっています。
2.3 セマンティック検索のデメリット
セマンティック検索により、商品の露出機会が増えるといったメリットの反面、デメリットもあります。
「ユーザーが入力した検索キーワードの意図をくみ取る」と言うAIの特徴が、ユーザーの目的外の商品をも表示させてしまう点です。
「Sony ワイヤレスイヤホン」で検索しているユーザーに対し、他メーカーのイヤホンやヘッドホンが検索結果に表示されるという事が起こりえます。
楽天市場の検索アルゴリズムは直近の売上も大きく影響しているため、検索結果上位にユーザーが求めているメーカーや商材以外の商品が表示されることもあり、デメリットと言えるでしょう。
また直近ではRPP広告にもセマンティック検索の影響が出始めているというお話も聞きます。
キーワード設定しているが、競合が類似キーワードでCPCを強めており、広告が表示されにくくなっていると言う内容です。
ユーザーには単純に商品を探すという体験から、選ぶという体験が加わり、購入体験の向上につながるかもしれませんが、店舗視点ではデメリットもあるのが現状です。
3. 楽天RMS AIアシスタントβ版の機能と活用方法
ここからは楽天RMSに導入されているAI機能について一部をご紹介させていただきます。
楽天で店舗運営するなか、ただ数字を眺めていても売上は伸びません。
AI機能を活用し、店舗運営に役立てていきましょう。
3.1 店舗カルテのAI解説機能
みなさん最も頻繁にみる売上データを確認する画面「店舗カルテ」。
店舗カルテメニューでは売上の公式に基づき「売上」「アクセス人数」「転換率」「客単価」の最新情報が確認できます。
その店舗カルテメニューに導入されているのが「データをAIで解説する」ボタンです。
実際にクリックしてみると以下指標をもとに、現状店舗がどの様な状態で、何が課題なのか、そしてどのような対策がよいかを文章で解説してくれます。
<解説に用いられる指標>
・検索キーワード
・アクセス人数
・デバイス単位でのアクセス割合
・客単価
・転換率
・売上
以下は昨年と比較し売上が減少傾向にある場合の解説例です。
店舗カルテで見るべきデータや、データを活用した施策の立て方については以下記事で詳しく解説しておりますので、合わせてお読みください。
3.2 商品説明文AI作成機能
商品登録の際の悩みどころの一つが「商品説明文」。
RMS 商品登録機能>ページデザインタブに導入された「文章をAIで作成」を活用することで、商品説明文を作成する時間を大幅に短縮できます。
この機能を活用することで「商品名」「商品のアピールポイント」「商品画像」の情報を基に商品説明文をAIが作成してくれます。
※AIによる文章生成機能を利用するには事前に「商品名」「商品画像」の登録が必要です。
アピールポイント欄は比較的自由度が高くなっており、「〇文字以内で商品説明文を考えてほしい」や「商品キャッチコピーを作成してほしい」などと言ったオーダーも可能です。
また前後の文章や文脈から誤字を判別、修正してくれる機能も備わっております。
ただあくまでもAIが作成した文章になるため、そのままコピーするのではなく、事前に確認と修正は必須です。
健康食品や化粧品など薬事法にかかる表記を避ける必要がある商品は特に注意が必要です。
3.3 商品画像 背景自動合成AI
本機能に関しては、待望だった方も多いのではないでしょうか。
転換率の向上を図るうえで、魅力的な商品画像は不可欠です。
現在楽天ではサムネイルに関しては、明確なガイドラインが定められていますが、2枚目以降の画像は自由に商品の魅力を伝えることが可能です。
いわゆる物撮りと言われる、商品撮影ですがスタジオを借りたり、撮影機材を用意したりと、時間もコストもかかります。
本機能を活用すると、白背景の画像を用意するだけで複数シーンにあった背景をAIで自動生成してくれます。
利用の手順は以下の通りです。
①店舗設定>6.画像・動画の登録メニューより「2 画像生成>画像をAIで加工」ボタンをクリック
②背景白画像をアップロードする
アップロードする画像の条件や注意点は以下の通り
<画像条件>
・データ形式:PNG, JPEG
・最大画像サイズ:3840×3840
・最大ファイルサイズ:2MB
<注意点>
以下のような画像は、AIが正しく商品を認識できず、背景がきれいに合成されない場合があります。
・正面以外の画像
・商品が2点以上写っている
・テキストが含まれている
・商品全体が写っていない
・上下左右 極端に余白が少ない
③合成する背景を「利用シーン」「背景テーマ」から一つ選択する
AI合成する背景は商品にマッチしたものを選択するのがポイントです。
例えば家具や食器などは「室内背景」を、アウトドア関連商品は「屋外背景」。
「木目背景」は生肉などの食材や、アクセサリーにもおすすめです。
④画像を加工ボタンをクリックし生成結果を確認
「画像を加工」ボタンをクリックし、しばらく待つと生成結果が4つ表示されます。
生成結果に納得がいかない場合は再度「画像を加工」ボタンをクリックすると新たな生成結果が4つ表示されます。
実際にRMS AIアシスタントを活用して背景を合成してみた例をご紹介します。
アップロード画像は二人掛けのソファーです。
「室内背景」を選択し加工したところ、リビングをイメージした背景が合成されますが、「屋外背景」で加工するとかなりシュールな印象に。
加工の際は、「利用シーン」「背景テーマ」を適切に選択しましょう。
他商品ジャンルの加工例も参考にいくつかご紹介します。
生成された画像はその場でダウンロードが可能です。
背景合成された画像をサムネイルや2枚目以降の画像に活用し、クリック率アップを目指してみてください。
楽天のサムネイル作成については以下記事も参考にしてみてください。
3.4 R-Messe 問合せ回答文をAIで作成
アクセス人数、売り上げが伸びてくると、お客様からのお問い合わせも増える傾向にあります。
日々の受発注対応や商品情報の更新で1日が終わってしまうという店舗様も多いと思います。
そこでご活用いただきたいのがお問い合わせ管理メニューに導入された「AIで回答文を生成」機能です。
「R-Messe 問い合わせ管理」内の「AIで回答文を生成」をクリックし、回答概要を入力することで、入力内容とユーザーの問い合わせ内容を基に回答文を自動生成してくれます。
本機能を利用するうえで注意点が2点あります。
1つ目は利用条件として、回答文の生成はひと月1,000回までであり、楽天外のURLを含めた文章の生成は不可であるという事。
2点目は、比較的精度の高い回答文を生成することが可能ですが、回答送信前には必ず内容を確認・適宜修正を実施しましょう。
4. 楽天RMS AIアシスタントを活用におけるメリットと注意点
2024年から本格的にRMSへの導入が始まったAIアシスタントは、上手に使いこなすことで、店舗の課題発見や業務効率化につなげることが可能ですが、合わせて注意点もあります。
4.1 メリット
①業務効率化
1つ目は言わずもがなですが、業務の効率化です。
一部の単純業務はAIアシスタントを活用することで、今まで時間がかかっていた業務工数を削減することができ、商品開発や販促施策など本来時間を割くべきところに時間を使う事が出来ます。
例えば、画像生成AIを活用することで大がかりな撮影を省き、ダウンロードした画像を人の手でより魅力的に加工すれば、撮影の時間だけでなくコストも削減できるでしょう。
②ミスの防止につながる
2つ目はミスの防止です。
RMSのAIアシスタントは言うまでもなく機械ですので、人的エラーが発生しません。
人的エラー、ミスが多発するとその分ユーザーからの信頼度が落ちるだけではなく、ミス発生時のリカバリー対応工数も削減することが可能です。
ただ何度もお伝えしておりますが、あくまでもAIが自動生成したものを100%信頼しそのまま展開しないようにしましょう。
4.2 RMS AIアシスタント活用時の注意点
うまく使いこなすことで、店舗運営の業務効率をアップしてくれる大変便利な機能ですが、活用するうえで以下2点は注意です。
- AIアシスタントで自動生成された内容をそのまま利用しない(過信しない)
- AIアシスタントに個人情報や機密情報を入力しない
ユーザーの目に触れるところに反映されるメニューにも導入されている機能です。
自動生成された内容を100%正しいと判断せず、最後は自分の目で見てしっかり確認をしましょう。
5.まとめ
今回は、楽天RMSに導入されたAIアシスタントの機能や活用方法についうてご紹介いたしました。
楽天主催の大型カンファレンスでも大きく取り上げられ、AIの導入はますます加速していくと考えられます。
正しく使うことで業務の効率化が進められる反面、注意点もございますが、まずは1度触れてみる所から始めてみてください。
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株式会社Proteinum 代表取締役