楽天市場の適切な広告費はどれくらい?ジャンル別・売上別の目安を徹底解説!

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楽天市場での売上を伸ばすために欠かせないのが「広告運用」。
どれだけ良い商品を扱っていても、ユーザーの目に触れなければ売れることはありません。

とはいえ、広告にいくら使えば良いのか?どこまでが“適正”で、どこからが“無駄遣い”なのか迷っている店舗様も多いのではないでしょうか。

本記事では、楽天市場での広告費の適正値について、「売上規模(小〜大)」「ジャンルの特性」「広告形式別(RPP広告/掲載系広告/イベント広告など)」から、広告費の“かけすぎ・かけなさすぎ”を防ぐ目安を徹底解説します。

「どのくらい広告を使えば利益が出るのか?」
「ROASや広告効果をどう判断すればいいのか?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

楽天市場の広告費を決める際に押さえておきたい3つの要素

楽天市場で広告費を適切に設定するためには、まず「自社の商品・状況に合った判断軸」を持つことが大切です。
やみくもに“売上の○%”と決めるのではなく、次の3つのポイントを押さえておくことで、利益を残しつつ成果の出る広告運用がしやすくなります。

1. 売上目標と利益率を明確にする

まず前提として、広告費は“余っているお金”ではなく、“投資するための予算”です。
そのためには、売上目標と利益率を明確にし、そこから逆算して広告費にいくら使えるかを計算する必要があります。

例えば、月商100万円を目指している店舗で、商品全体の粗利率が30%だった場合、粗利益は約30万円。ここから広告費に10万円使えば、残りは20万円となります。

広告費がかかりすぎて利益を食いつぶしてしまえば本末転倒。
だからこそ、「売上」「利益率」「その他コスト(送料・楽天手数料など)」を加味したうえで、無理のない広告費を設定することが重要です。

2. 商品ジャンルの特性を理解する

楽天市場では、ジャンルごとに商品単価・競合数・購入頻度・シーズン性などの特性が大きく異なります。
これらによって必要な広告費も変動します。

ジャンル特徴広告費の傾向
ファッション・アパレル単価低め/トレンドに左右されやすいROASは高くなりにくいが、露出重視で広告投資が必要な傾向
美容・健康リピート率が高く、CVRも安定しやすい効率の良い広告運用が可能。継続購入に繋げやすい
家電・デジタル単価は高いが、比較検討が長い高CPCになりやすく、ROASもぶれやすい
食品・飲料客単価が低くリピート前提試供品広告などで初回顧客を獲得し、定期化がカギ

自社の商品ジャンルに合った広告戦略を立てることで、より無駄のない運用ができます。

3. 広告の目的・形式に応じた投資判断をする

楽天市場には複数の広告形式があり、それぞれ目的や費用対効果が異なります。

主な広告タイプは以下です。

  • RPP広告(検索連動型):1クリックごとの課金。即効性があり初心者にも扱いやすい
  • 掲載型広告(カテゴリ・ランキング枠など):表示保証型。認知拡大・ブランディングに強い
  • イベント広告(楽天スーパーSALEやお買い物マラソン枠など):一時的に高額だが、爆発的な集客力あり

広告には、「すぐ売上を取りたい」のか、「新商品を広めたい」のか、「在庫処分したい」のか、など様々な目的があります。

目的が明確であれば、「この広告にはいくらまで出してOK」といったラインも設定しやすくなり、投資判断を感覚ではなくデータと意図に基づいてできるようになります。

楽天市場の広告の種類と特徴

楽天市場の広告は、大きく分けて「クリック課金型(PPC)広告」と「掲載型広告(固定費)」、そして「イベント広告」の3つのカテゴリに分類できます。
それぞれの特徴と、どんな店舗に向いているのかを見ていきましょう。

① RPP広告(楽天プロモーションプラットフォーム広告)

楽天市場内の検索結果や商品ページに自社商品を掲載できる「検索連動型広告」。ユーザーの検索キーワードに連動して表示され、クリックされると課金されるPPC(Pay Per Click)型広告です。

特徴:

  • 少額から始められ、予算管理しやすい
  • データ分析(ROAS、CVR)しやすく改善しやすい
  • 即効性があり、日々の売上改善に役立つ

向いている店舗:

  • 楽天広告を初めて使う初心者
  • 少額予算でテスト運用したい店舗
  • 毎日の販売数を伸ばしたい店舗

② 掲載型広告(ディスプレイ広告・カテゴリ広告など)

楽天トップページやカテゴリページ、ランキングページなどの目立つ場所に商品やバナーを“掲載枠購入”で出稿する広告です。基本は固定費で、期間・位置ごとに料金が異なります。

特徴:

  • 露出力が高く、認知拡大・ブランディングに強い
  • 出稿費用が高め(数万~数十万円)
  • CPC・CTRの管理はできないが、新規顧客へのリーチに効果的

主な種類:

  • 楽天ランキング広告
  • カテゴリ広告(ジャンルトップページなど)
  • トップページ広告

向いている店舗:

  • ブランド力を強化したい中~大規模店舗
  • 大型セール前後で認知を高めたい店舗
  • 商品の見た目や訴求力に自信がある場合

③ イベント広告(セール系広告)

楽天市場で定期的に開催される「楽天スーパーSALE」や「お買い物マラソン」などに連動して、特設ページやメルマガなどに掲載される広告です。

特徴:

  • セール時に一気にアクセスと売上が伸びる
  • 事前準備や価格設定の工夫が必要
  • 掲載枠の獲得は早い者勝ちや審査ありの場合も
  • イベント中は広告費・CPCも高騰しやすい

主なイベント例:

  • 楽天スーパーSALE(3月・6月・9月・12月)
  • お買い物マラソン(ほぼ毎月開催)
  • 楽天ブラックフライデー、年末年始セール など

向いている店舗:

  • イベント時に在庫処分やまとめ売りをしたい店舗
  • 目玉商品を用意できる店舗
  • 一時的な爆発的アクセスを取りに行きたい店舗

④ その他の広告・販促施策

広告/施策名特徴主な活用目的
楽天メルマガ広告楽天ユーザーにメルマガで商品を訴求セールやキャンペーン告知、新商品PR
クーポンアドバンス特定のユーザーにターゲティングしてクーポン配信新規獲得・リピーター施策
PRオプション楽天市場の外部にも商品を露出(SNS/メディアなど)認知拡大・外部流入の促進
LINE広告連携楽天店舗LINEと広告の連動施策リピーター向け訴求/イベント誘導

売上規模別・ジャンル別の広告費目安

楽天市場で広告を運用する際、「自社にとって適切な広告費はいくらか?」を考えるうえで、重要な判断軸になるのが「売上規模」と「取り扱いジャンル」です。

ここでは、月商別×ジャンル別に、一般的な広告費の目安をご紹介します。

売上規模別・広告費目安一覧

売上規模(月商)ジャンル例広告費目安(売上比)金額目安備考
月商50〜100万円ファッション、雑貨、食品など7〜12%約3.5万〜12万円/月広告が売上の“起点”になるため、やや高めの投資が必要
月商100〜300万円美容・健康、日用品5〜10%約5万〜30万円/月商品力があれば広告効率も上がりやすいゾーン。ROAS改善がカギ
月商300〜1,000万円家電、家具、スポーツ用品など4〜8%約12万〜80万円/月高単価商材はCPCが高くなる傾向。精度の高い広告運用が必要
月商1,000万円以上複数ジャンル展開/ブランド力あり3〜7%約30万円〜数百万円/月掲載系・イベント広告との連携も視野に。ROASと在庫管理のバランスが重要

ジャンル別の広告費戦略ポイント

ジャンル特徴広告戦略のポイント
ファッション・アパレル単価が低く、トレンド・シーズン変動あり露出強化が必要。RPPで回遊増加、掲載広告で認知強化を
美容・健康CVR・リピート率が高め新規集客+リピーター化を意識。クーポンやレビュー対策との連動が効果的
家電・デジタル高単価、比較検討が長い高CPCに耐えられる設計を。スペック訴求と価格比較が重要
食品・飲料単価低め、リピート性あり初回購入獲得がカギ。お試し広告や送料無料施策との相乗効果を狙う
インテリア・家具購入単価高いが購入頻度は低いSEO+広告の併用。特集ページやレビュー活用で信頼性アップ

広告費目安の例(シミュレーション)

例①:月商100万円のアパレル店舗

  • 利益率:30%(粗利30万円)
  • 広告費:10%(=10万円)
  • 想定ROAS:200% → 広告10万円で売上20万円が目標ライン

例②:月商500万円の美容商材ショップ

  • 利益率:40%(粗利200万円)
  • 広告費:6%(=30万円)
  • 想定ROAS:300%以上 → 効率よく広告を回すことで安定的な集客とLTV向上が可能

広告費は「売上の何%?」ではなく「目的×戦略」で決めることが重要です。
「月商の〇%を広告費に使えば良い」といった一般論もありますが、重要なのは「自社のフェーズ・商品特性・販売戦略」に合わせて判断することです。

  • 広告で新規顧客を増やしたいのか?
  • 利益率が低い商材を扱っているのか?
  • 楽天内の認知・ブランディングも狙いたいのか?

目的によって、広告費の“正解”は変わります。必ずしも「たくさん出せば売れる」わけではないので、戦略的に、賢く使いましょう。

広告予算の算出方法|売上目標から逆算する考え方

「広告費はいくら使えばいいのか?」この問いに明確な“正解”はありませんが、「売上目標」と「利益率」をベースに逆算することで、根拠ある広告予算を立てることができます。

ここでは、広告費の基本的な設計フローと、実際の計算例をご紹介します。

広告費を決める基本フロー

広告予算は、以下のようなステップで逆算していきます。

  1. 目標売上を決める
  2. 粗利率(利益率)を確認する
  3. 利益として確保したい金額を決める
  4. その他コスト(手数料・送料・人件費など)を差し引く
  5. 広告費に充てられる金額を算出する

このように、「売上」→「利益」→「広告費」と順を追っていくことで、無理のない広告投資が見えてきます。

▼ 実際の計算例①:月商100万円を目指す場合

目標:月商100万円を達成したいアパレル店舗(粗利率30%)

  • 売上目標:100万円
  • 粗利率:30% → 粗利益は 30万円
  • 楽天手数料・送料などの固定コスト:10万円
  • 最低限残したい利益:10万円
  • 使える広告費:30万円 − 10万円(固定コスト)− 10万円(利益)=10万円

この場合、広告費の上限は10万円
広告費を10万円使って、100万円の売上が取れれば、ROAS(広告費用対効果)は 1000% ÷ 10万円 = 1000%(=10倍)が目標になります。

▼ 実際の計算例②:月商300万円、美容商材を扱う店舗

  • 売上目標:300万円
  • 粗利率:40% → 粗利益は 120万円
  • 固定費(人件費・送料・手数料など):50万円
  • 利益として確保したい額:40万円
  • 広告費の上限:120万円 − 50万円 − 40万円 = 30万円

このケースでは、広告費を30万円まで使えるという計算になります。
ROASの目標は、300万円 ÷ 30万円 = 10倍(1000%)が目安。

※ジャンルや運用フェーズによって、6〜10倍のROASが現実的なラインです。

楽天内の広告で意識すべきコスト構成

広告費を考える際、楽天内では以下のような実質利益率の落とし穴があるため注意しましょう。

  • 楽天出店料・システム利用料:約7〜10%
  • 楽天ポイント原資:約1〜3%
  • 送料無料ライン・値引き:実質利益圧縮
  • 外注費・人件費がかかる場合も多い

たとえば、「利益率30%」と思っていても、実際の手残りは10〜15%以下というケースも珍しくありません。広告費を使いすぎるとすぐに赤字に転落するため、シミュレーションは慎重に行いましょう。

よく「広告費は売上の◯%まで」という表現を見かけますが、重要なのは売上ではなく“粗利益”から逆算することです。

利益構造が分からないまま広告に投資すると、「売上は上がってるのに、なぜか赤字……」という事態に陥るリスクが高まります。

楽天市場で広告費を考える際の3つの注意点

楽天市場で「広告費はいくらが適切か?」と検討するとき、売上アップだけを意識して広告費を増やすのは危険です。広告には明確なメリットがありますが、間違った使い方をすれば利益を圧迫し、逆効果になるリスクもあるという点を忘れてはいけません。

以下では、広告費を適切に運用するための注意点を3つ解説します。

1. 売上が増えても利益が増えるとは限らない

広告によってアクセスや売上が増えても、「利益」が増えていなければ意味がありません。むしろ、広告費をかけすぎて赤字になってしまうケースは楽天市場でも多発しています。

特に注意したいのは次のようなパターンです。

  • 利益率が低い商品に大量の広告をかけている
  • 送料無料やポイント付与で実質的な利益がほとんど残らない
  • 広告費の増加に対してROAS(広告費用対効果)が追いついていない

売上だけでなく、「粗利益ベースで広告費を逆算する」ことが重要です。

2. 効果が出ないまま“なんとなく継続”してしまう

楽天広告は一度出稿すると、ある程度自動で運用されるため、「大きな効果は出ていないけど、やめるのも不安…」という状態でなんとなく継続してしまうことがよくあります。

特にRPP広告(検索連動型広告)は、日々の消化額が見えづらく、無駄なキーワードに費用が使われている可能性もあります。

定期的にデータを確認し、「売れている商品に集中投資」することが無駄を防ぐカギです。

3. 広告だけで集客を完結させようとするのは危険

楽天市場では、SEO対策(検索対策)やレビュー獲得、イベント参加、SNSとの連動など、複数の集客手段が効果を発揮します。

広告はあくまで「加速装置」として活用し、土台となる商品力・ページ設計・販促戦略がセットで機能する必要があります。

まとめ

楽天市場で安定的に売上と利益を伸ばしていくためには、「広告費の適正な設計と運用」が欠かせません。
広告はただ“出せば売れる”ものではなく、利益構造や商品の特性に合わせて、戦略的に設計する必要があるのです。

本記事では、売上規模やジャンル別の広告費目安から、利益から逆算する計算方法、広告運用の注意点まで、楽天広告を使いこなすための基礎を網羅的にご紹介しました。

重要なのは、広告費を「コスト」ではなく「投資」と捉え、数字を根拠に判断・改善を繰り返すこと。
データに基づいて設計・分析・改善することで、広告は確実に利益を生み出す武器になります。

「なんとなく広告をかけている」状態から一歩抜け出し、根拠ある広告設計と運用で、楽天市場での売上と利益を着実に伸ばしていきましょう!

Proteinumでは元楽天コンサルタントが在籍しており、ECサイトの支援実績多数です。
「楽天市場への出店を検討している」「既に楽天市場に出店しているが、売上アップのためにどのように動けばよいか悩んでいる」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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