自社ECサイト構築の初期費用はいくら?システム別の相場と月額運用料金を徹底解説!

自社ECサイト構築の初期費用はいくら?システム別の相場と月額運用料金を徹底解説!
Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

慶応義塾大学を卒業後、楽天グループ株式会社に入社。ECコンサルタントとして、ショップオブザイヤー受賞店舗を含むのべ700店舗以上を支援。その後、小売業を中心に経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、EC戦略策定・実行支援など)し、株式会社Proteinum(プロテーナム)を創業。
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。

本記事は、楽天市場出身者が創業し、支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、長年の運営経験に基づいて、自社ECサイトの費用についてシステム別相場と、運用にかかる月額料金を徹底解説します。

はじめに構築システム別の自社ECサイトの費用をご確認ください。

構築システム初期費用(相場)月額費用(相場)特徴・キーワード代表的なサービス例
ASP0円 〜 100万円数千円 〜 5万円【手軽さ】
初期投資が安い。機能/デザインはテンプレートベース。
Shopify
BASE
futureshop
オープンソース100万円 〜 500万円3万円 〜【自由度(旧来)】
ライセンス無料だが、保守・セキュリティは自己責任。
EC-CUBE
Magento
WordPress(WooCommerce)
クラウドEC100万円 〜 1,000万円10万円 〜【最新トレンド】
システムが自動更新され陳腐化しない。カスタマイズ性も高い。
ebisumart
メルカート
shopify Plus
パッケージ300万円 〜 2,000万円10万円 〜【大規模・安定】
日本型商習慣に強い。基幹連携や複雑な要件に対応。
ecbeing
Commerce21
Orange EC
フルスクラッチ3,000万円 〜 数億円50万円 〜【完全独自】
ゼロから開発。独自のビジネスモデル自体をシステム化する。
完全オリジナル開発

Contents

【結論】自社ECサイト構築の費用相場とは?

まずは全体像を把握していただくため、代表的な5つのシステム構築手法別に、初期費用と月額費用の相場を一覧表にまとめました。

ECサイトの構築手法は、近年「クラウド化」が進んでおり、選択肢は多様化しています。単に「安いから」という理由で選ぶと、後々の機能拡張で詰んでしまい、再構築(リプレイス)に余計なコストがかかるケースが後を絶ちません。

以下の表と詳細解説を参考に、自社の事業フェーズに合致した手法を選定してください。

【構築システム別 自社ECサイト費用比較表】

構築システム初期費用(相場)月額費用(相場)特徴・キーワード代表的なサービス例
ASP0円 〜 100万円数千円 〜 5万円【手軽さ】
初期投資が安い。機能/デザインはテンプレートベース。
Shopify
BASE
futureshop
オープンソース100万円 〜 500万円3万円 〜【自由度(旧来)】
ライセンス無料だが、保守・セキュリティは自己責任。
EC-CUBE
Magento
WordPress(WooCommerce)
クラウドEC100万円 〜 1,000万円10万円 〜【最新トレンド】
システムが自動更新され陳腐化しない。カスタマイズ性も高い。
ebisumart
メルカート
shopify Plus
パッケージ300万円 〜 2,000万円10万円 〜【大規模・安定】
日本型商習慣に強い。基幹連携や複雑な要件に対応。
ecbeing
Commerce21
Orange EC
フルスクラッチ3,000万円 〜 数億円50万円 〜【完全独自】
ゼロから開発。独自のビジネスモデル自体をシステム化する。
完全オリジナル開発

ASP

相場目安:0円 〜 100万円

ASPは、ブラウザ上で提供されるプラットフォームを利用してECサイトを構築する手法です。

  • 費用の内訳と特徴
    • システム構築費(ほぼ0円)
      すでに完成されたシステムを「借りる」形式のため、開発費用はかかりません。
    • デザイン・設定費(0〜100万円)
      無料テンプレートを使えば0円ですが、制作会社に依頼してブランド独自のデザインを適用したり、初期設定を代行してもらう場合に費用が発生します。
    • 機能拡張アプリ
      Shopifyなどの場合、有料アプリをインストールすることで機能を増やせますが、アプリ代が月額費用に加算されます。

年商1億円未満のフェーズでは最も合理的です。しかし、「決済画面のレイアウトを変えたい」「独自のポイント制度を導入したい」といったプラットフォームの仕様を超えた要望は実現できない点がデメリットです。
あくまで「用意された枠組みの中で商売をする」スタイルとなります。

オープンソース型

相場目安:100万円 〜 500万円

インターネット上で無償公開されているソースコード(プログラム)を、自社で用意したサーバーにインストールして構築する手法です。日本では「EC-CUBE」が代表的です。

  • 費用の内訳と特徴
    • ライセンス費(0円)
      ソフトウェア自体は無料です。
    • 構築・カスタマイズ費(高)
      無料といっても、そのままでは使えません。制作会社に依頼し、サーバーへのインストール、デザイン適用、機能カスタマイズを行うための「技術料」が発生します。
    • 保守管理費
      ここが盲点です。バグ対応やセキュリティパッチの適用を自社(または委託)で行う必要があります。

「ライセンス無料=安い」と誤解されがちですが、セキュリティリスクへの対応コストを考慮すると、近年は減少傾向にあります。
脆弱性を突いた情報漏洩事故のリスクを負える体制があるか、慎重な判断が求められます。

クラウドEC型

相場目安:100万円 〜 1,000万円

ASPの手軽さと、パッケージの拡張性を併せ持つ、現在中堅〜大企業で最も採用が進んでいる手法です。ベースとなるシステムはクラウド上にありながら、各社ごとの専用環境が用意されるため、独自カスタマイズが可能です。

  • 費用の内訳と特徴
    • 初期導入費:パッケージ型に近い費用感ですが、サーバー等のインフラ構築費が抑えられます。
    • カスタマイズ費:基幹システム連携や、BtoB向けの特殊機能などを追加開発する費用です。
    • 自動アップデート:最大の特徴は、システム提供会社が定期的に機能をアップデートしてくれる点です。これにより、数年ごとの「サイトリニューアル(老朽化対策)」が不要になります。
  • コンサルタントの視点 「システムが古くならない」という点は、長期的なコスト(TCO)で見ると非常に有利です。年商数億円〜数十億円を目指し、かつシステム保守の人員を社内に抱えたくない企業に最適です。

パッケージ型

相場目安:300万円 〜 2,000万円

ECサイト構築に必要な機能が網羅された商用ソフトウェア(パッケージ製品)を購入し、自社サーバー等のインフラに構築する手法です。長年、日本のEC市場を支えてきた主流モデルです。

  • 費用の内訳と特徴
    • ライセンス費:パッケージ製品の利用権利購入費です。
    • 要件定義・カスタマイズ費:費用の大半を占めます。既存の業務フロー(在庫管理、受注処理、物流など)に合わせて、パッケージ側を改修するために多くの工数がかかります。
    • インフラ構築費:専用サーバーの設計・構築が必要です。

「ecbeing」などに代表される大手パッケージは、日本の商習慣(お歳暮対応、定期通販の複雑なルール、ポイント管理など)に対応した機能が充実しています。大規模な基幹システム連携が必要な場合や、セキュリティ要件が厳しい企業では第一選択肢となります。
ただし、数年ごとのバージョンアップ対応に数百万円単位の費用がかかる点は留意が必要です。

フルスクラッチ型

相場目安:3,000万円 〜 数億円

既存のカートシステムやパッケージを一切使用せず、ゼロからすべてのプログラムを開発する手法です。

  • 費用の内訳と特徴
    • 開発人件費:ほぼ全てがエンジニアの人件費です。開発期間も半年〜1年以上かかります。
    • インフラ設計費:AmazonやZOZOTOWNのように、秒間数万アクセスの集中に耐えうるサーバー構成を設計します。
    • 技術的負債のリスク:作った瞬間からシステムは古くなります。社内に高度なCTOや開発チームがいない場合、作ったシステムがブラックボックス化し、誰も触れなくなるリスクがあります。

ユニクロやZOZOTOWNクラスの規模、あるいは「CtoCのマッチングサイト」など、通常のECカートの概念では対応できない独自のビジネスモデルを持つ企業向けです。
単に「年商が高いから」という理由だけでフルスクラッチを選ぶのは、投資対効果が見合わないため推奨しません。

このように、「自社EC」といってもシステムの種類によって費用構造は全く異なります。

次章では、これら構築費用のさらに細かい「見積もりの内訳」について解説します。何にコストがかかっているのかを知ることで、ベンダーからの見積もりが適正かどうかを見抜くことができるようになります。

【関連動画:おすすめECカート7選】

自社社ECサイト費用の正体は?初期構築にかかる項目の完全内訳

見積もり書を見た際、「システム開発一式」と書かれていて中身が不透明だと感じたことはありませんか?
実際に「なぜこれほど高額になるのか分からない」というご相談を頻繁にいただきます。

適正な予算を組むためには、総額だけでなく、自社ECサイト費用を構成する「中身(内訳)」を詳細に把握し、ブラックボックス化を防ぐ必要があります。見積もりの内訳は、主に以下の4項目に分解されます。

  1. 要件定義・システム設計費
  2. UI/UXデザイン・コーディング制作費
  3. インフラ構築・決済システム導入費
  4. 開発人件費(プログラミング費)

それぞれの工程で具体的に何が行われているのか、詳細を見ていきましょう。

1. 要件定義・システム設計費

目安:総額の10〜20%

家を建てる際の「詳細な設計図」を作成する、プロジェクトの成否を握る最重要フェーズです。
ここでは、単に「こんなサイトを作りたい」という要望を聞くだけでなく、以下のような専門的なドキュメント作成が行われます。

  • 要件定義書:実現したいビジネス要件をシステム仕様に翻訳した文書。
  • 画面遷移図/ワイヤーフレーム:ユーザーがトップページから購入完了までどう動くかを図示した設計図。
  • データベース設計:会員情報、商品情報、受注情報などのデータ構造の設計。
  • 外部連携仕様書:基幹システム(在庫管理・販売管理)やPOSレジとデータを連携させるための通信仕様策定。

多くのプロジェクトで追加費用が発生する原因は、このフェーズの詰めが甘いことにあります。
曖昧なまま開発に着手すると、後から「この機能が足りない」「在庫連携のタイミングが違う」といった致命的なズレが生じます。自社ECサイト費用の中で、ここへの投資は「転ばぬ先の杖」であり、最も削ってはいけないコストです。

2. UI/UXデザイン・コーディング制作費

目安:30万円 〜 200万円(ページ数・デバイス対応による)

ECサイトにおけるデザインは、単なる装飾ではありません。「売れるための導線(UI/UX)」を構築する作業です。

  • トップページ/LP制作
    ブランドの信頼性を担保し、直帰率を下げるためのデザイン構築を行います。ファーストビューで「何の店か」を瞬時に伝える構成力が問われます。
  • 商品詳細ページ(PDP)
    購入の意思決定が行われる最も重要なページです。画像のズーム機能、関連商品の表示ロジック、カート投入ボタンの視認性など、CVR(コンバージョン率)に直結する要素を作り込みます。
  • カート〜決済画面
    カゴ落ち(離脱)を防ぐため、入力フォームの最適化(EFO)を行います。住所自動入力や、エラー表示のわかりやすさなど、ストレスフリーな設計が必要です。
  • レスポンシブコーディングと表示速度改善
    スマホ対応は当然として、Googleの「Core Web Vitals」指標を意識した高速化コーディング(画像の軽量化、JavaScriptの最適化など)が含まれます。

3. インフラ構築・決済システム導入費

目安:5万円 〜 50万円

サイトをインターネット上に公開し、安全に金銭取引ができる基盤を整えます。

  • サーバー環境構築(AWS/GCP等):パッケージやフルスクラッチの場合、アクセス負荷に応じたサーバー構成(Webサーバー、DBサーバー、ロードバランサー等)をエンジニアが設計・構築します。セール時のアクセス集中に耐えうるオートスケーリング設定などもここに含まれます。
  • ドメイン・SSL証明書:企業の信頼性を証明する「EV SSL」や「企業認証SSL」を導入する場合、年間数万円〜十数万円のコストがかかります。
  • 決済代行会社(PSP)とのAPI連携:クレジットカード、コンビニ決済、キャリア決済、Amazon Pay、後払いなど、多岐にわたる決済手段をシステムに組み込みます。単なる契約だけでなく、正常に決済が完了するか、キャンセル処理が連携されるかといった入念な接続テスト費用が発生します。

4. 費用の大半を占めるのは「開発人件費」

ASP以外の構築手法において、見積もりの50〜70%を占めるのがここです。
システム開発費は、シンプルに以下の計算式で決まります。

開発費用 = エンジニアの単価 × 期間(人月)× 稼働人数

例えば、エンジニア3名が3ヶ月稼働する場合(単価100万円と仮定)、それだけで900万円の実費となります。
「機能が多い=作業時間が長い=費用が高い」という構造をご理解ください。コストを抑える唯一の方法は、リリース時の機能を「必要最小限(MVP)」に絞り込むことです。

自社ECサイトの構築後にかかる「月額費用(運用コスト)」の正体とは?

ECサイト構築において、多くの企業が見落としがちなのが、オープン後にかかり続ける「ランニングコスト」です。 自社ECサイト費用を検討する際は、初期費用だけでなく、以下の3つの運用コストを含めた「3年間の総額」で判断しなければなりません。

1. システム利用料・サーバー保守費

サイトを表示し続けるために毎月発生する固定費です。

  • ASP
    月額費用は数千円〜数万円と安価ですが、プランによっては登録できる商品数や画像容量に上限があります。
  • クラウドEC・パッケージの場合
    • サーバー利用料
      AWSなどの従量課金が一般的で、アクセス数やデータ量に比例して月額数万円〜数十万円とかかります。
    • システム保守費
      ベンダーに支払う管理費です。OSのアップデート、セキュリティパッチの適用、障害時の緊急対応などが含まれます。一般的に「開発費の1〜2%(月額)」が相場です。
    • セキュリティ対策費
      サイバー攻撃から顧客データを守るための費用も別途必要になるケースがあります。

2. 決済手数料・販売手数料

売上が拡大するにつれて金額が大きくなるコストです。利益率を圧迫する要因となるため、シミュレーションが不可欠です。

  • 決済手数料
    クレジットカード会社や決済代行業者へ支払います。相場は3.0%〜4.0%です。月商1,000万円の場合、約30〜40万円が毎月差し引かれます。
  • 販売手数料
    モール型(Amazon等)は売上の10%前後が徴収されますが、自社EC(パッケージ・スクラッチ等)であれば基本的に0円です。これが、ある程度の規模になった段階でモールから自社ECへ移行すべき最大の経済的理由です。

3. EC担当者の人件費・外部委託費

システム費用以外で最も重いのが「人」のコストです。

  • 社内人件費
    • 運営スタッフ:商品登録、特集ページの更新、メルマガ配信、在庫管理。
    • CS(カスタマーサポート):電話やメールでの問い合わせ対応。
  • 物流・フルフィルメント費用
    • 自社発送する場合の梱包資材費や配送料、または3PL(物流代行業者)への委託費。これらは「1出荷あたり◯◯円」という形で変動費として発生します。
  • マーケティング・広告宣伝費
    • 自社ECサイトは「砂漠の真ん中にお店を出す」ようなものです。集客のためには、WEB広告(リスティング、SNS広告)やSEO対策への投資が不可欠です。一般的に、目標売上高の15〜20%を広告宣伝費として予算化する必要があります。

自社ECサイトの初期費用を抑えつつ品質を保つ3つの方法とは?

見積もりが予算オーバーしてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか? 安易に「値引き」を要求すると、エンジニアの質を落とされ、バグだらけのサイトが納品されるリスクがあります。 賢く自社ECサイト費用を抑えるための、プロのテクニックを3つ紹介します。

1. IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金を活用する

国や自治体の補助金を活用することで、実質負担額を1/2〜2/3に圧縮できる可能性があります。

  • IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠など): ECサイト構築は補助対象として認められるケースが多く、最大で350万円(※年度により変動)程度の補助が受けられます。
    • ポイント:補助金申請には「認定支援機関」となっているベンダーを選ぶ必要があります。選定時に「IT導入補助金に対応していますか?」と必ず確認しましょう。

2. 「必須機能」と「あったら良い機能」を明確にする

初期構築ですべての夢を叶えようとしないことが重要です。

コストダウンの鉄則は、「必須要件」のみでリリースし、売上利益が出てから「あったら良い機能」を追加開発していくことです。これにより、初期費用を大幅に抑えることができます。

3. テンプレートを活用し、デザインのこだわり箇所を絞る

フルスクラッチでデザインを組むと高額になりますが、パッケージやASPが提供している「有料テンプレート(数万円〜数十万円)」をベースにすれば、デザイン費をカットできます。

トップページだけはブランディングのためにデザイナーを入れるが、下層ページ(会社概要、マイページ等)は標準レイアウトをそのまま使う、というメリハリをつけることで、クオリティを維持したまま数十万円単位の節約が可能です。

失敗しない自社ECサイト構築サービス選び方のステップとは?

多くの企業にとって、ECサイト構築は数年に一度のビッグプロジェクトです。 行き当たりばったりで進めると、後で「作りたかったのはこれじゃない」という悲劇が起こります。後悔しないパートナー選びのために、以下の5つのステップで着実に進めてください。

実施内容具体的なアクション決定事項・チェックポイント
① 目標・KPI策定「3年後の目標年商」や「SKU数」を明確にし、必要なシステム規模を把握する。・3年後の目標年商
・取扱商品数
・社内運用体制
② RFP(提案依頼書)作成口頭依頼によるブレを防ぐため、機能要件や予算などの条件を文書化して統一する。・機能要件
・外部システム連携
・納期と予算上限
③ 3社以上の相見積もり特性の異なるベンダー3社程度から見積もりを取り、比較する。・RFPの網羅性
・費用感の妥当性
・開発期間
④ プレゼン・相性確認提案書だけでなく、担当者とのコミュニケーション相性や理解力を確認する。・こちらの意図を汲み取れるか
・説明が分かりやすいか
⑤ 見積もり精査・契約総額の安さだけで即決せず、詳細な内訳やリスクをプロ視点で精査して決定する。・安易な「一式見積もり」ではないか
・内訳に不備はないか

ステップ➀:現状課題と3年後の数値目標(KPI)を策定する

まずは「なぜECを作るのか」を言語化します。「現在の年商は1,000万円だが、3年後に1億円にしたい」という目標があれば、それに耐えうるシステム(クラウドECやパッケージ)が必要だと判断できます。

  • 決定すべき項目
    • 3年後の目標年商(システム規模の決定打になります)
    • 取扱商品数(SKU数)
    • 社内の運用体制(専任担当者は何名か)

ステップ②:RFP(提案依頼書)を作成し、要件を統一する

口頭で「いい感じのサイトを作って」と伝えると、ベンダーごとに解釈が異なり、出てくる見積もり金額もバラバラになります。 「必須機能」「予算感」「スケジュール」「現状のシステム構成」をまとめたRFPを作成し、各社に提示する条件を統一することがスタートラインです。

  • RFPに含めるべき重要事項
    • プロジェクトの背景と目的
    • 機能要件一覧(Must/Wantの仕分け)
    • 連携する外部システム(基幹、WMS、POS等)
    • 希望納期と予算上限

ステップ③:3社以上から相見積もりを取得する

1社だけで決めるのはリスクがあります。必ず3社程度(ASPが得意な会社、開発が得意な会社などバリエーションを持たせて)に声をかけ、提案の幅を比較します。

  • 比較の視点
    • 提案内容はRFPを網羅しているか?
    • 提示された自社ECサイト費用に大きな乖離はないか?
    • 開発期間は妥当か?

ステップ④:プレゼン・デモを受け、担当者との相性を確認する

システムは「作って終わり」ではなく、長い付き合いになります。提案書の綺麗さだけでなく、「こちらの意図を汲み取ってくれるか」「専門用語を使わず説明してくれるか」といった担当者との相性も重要な選定基準です。

ステップ⑤:最終見積もりの詳細を精査し、契約を締結する

出揃った見積もりを比較し、最終的なパートナーを決定します。 ただし、金額の安さだけで飛びつくのは危険です。その見積もりが本当に適正かどうか、次の章で解説する「プロの視点」で必ずチェックしてください。

自社ECサイトの費用を抑えるために契約前にチェックすべき4項目とは?

「A社は500万円、B社は800万円。じゃあ安いA社で」と即決するのは極めて危険です。 なぜ金額差が生まれているのか、その中身(リスク)を読み解くために必ず確認してほしい4つのチェックポイントを解説します。

チェック項目目的・リスク回避具体的な確認ポイント
「人月単価」と「工数」見積もりの妥当性判断
総額だけで判断しない。
・安すぎる場合:要件定義やテスト工数が削られていないか
・高すぎる場合:過剰なバッファがないか
保守費用の根拠と範囲運用コストの透明化
初期費用の安さだけで選ばない。
・作業範囲の確認
(障害復旧、軽微な修正、土日対応は含まれるか?)
「一式」NG・RFP突合追加費用の発生防止
「言った言わない」を避ける。
・詳細明細をもらう
・RFPの機能が全て網羅されているか照合する
追加開発単価の合意将来のコスト高騰防止
改修時の単価吊り上げを防ぐ。
・リリース後の追加開発や改修における人月単価を、契約時点で取り決めておく

1. 合計金額ではなく「人月単価」と「工数」を確認する

記事の前半でも触れましたが、システム費用の正体は「人件費」です。 詳細見積もりには「どの機能に、何人のエンジニアが、何日かかるか(工数)」が記載されているはずです。ここを見れば、見積もりの妥当性が見えてきます。

  • 安すぎる場合の懸念点
    • 「要件定義」や「テスト」の工数が削られていませんか?これらが不足していると、開発後半での追加費用請求や、バグ多発による納期遅延のリスクが高まります。
  • 高すぎる場合の懸念点
    • 不必要なバッファ(予備費)が多く積まれている可能性があります。

2. 保守費用(ランニングコスト)の算出根拠を聞く

初期費用の安さで契約を取り、高額な月額費用で回収しようとするベンダーも存在します。 「月額保守費:5万円」と書かれていても、そのカバー範囲(SLA)を明確にしておく必要があります。

  • 確認すべき質問事項
    • 「サーバーの監視だけでなく、障害時の復旧作業費は含まれますか?」
    • 「月1回程度のバナー差し替えやテキスト修正は依頼できますか?」
    • 「緊急時の土日・深夜対応は別料金ですか?」

3. 「一式」見積もりはNG。RFPとの突合を行う

「システム開発一式:300万円」としか書かれていない見積もりは、トラブルの元凶です。 必ず詳細明細をもらい、Step 2で作成したRFP(機能要件一覧)がすべて網羅されているかを一行ずつ突合してください。

  • よくあるトラブル
    • 発注側:「会員ランク機能が入っていると思っていた」
    • 開発側:「見積もりには入っていません。追加で80万円かかります」
    • こうした「言った・言わない」を防ぐには、契約前の明細確認しかありません。

4. 将来の「拡張開発」の単価を事前に握る

ECサイトはリリース後も、「決済方法を増やしたい」「MAツールを入れたい」といった追加開発(改修)が必ず発生します。 契約書にハンコを押す前に、「リリース後の追加開発における人月単価」を確認しておきましょう。

初期開発時はキャンペーン価格で安くても、保守フェーズに入った途端に正規単価(高額)を請求されるケースがあります。「追加開発時の単価も、初期開発時と同等にする」といった条文を契約書に入れてもらう交渉も有効です。

【関連記事:自社ECサイトリニューアル、ECコンサル会社おすすめ15選】

自社ECサイトの費用に関するよくある質問(FAQ)

最後に、弊社へよく寄せられる自社ECサイト費用に関する質問をQ&A形式でまとめました。

Q. 無料で自社ECサイトを作ることは可能ですか?

A. 可能ですが、機能制限と集客の壁があります。
BASEやSTORESなどの無料プランを使えば構築費は0円です。ただし、独自ドメインが使えなかったり、デザインが他社と被ったりします。また、無料サービスは「集客機能」が弱い傾向にあるため、別途広告費が必要になるケースが大半です。

Q. 制作会社に依頼する場合の最低予算はいくらですか?

A. デザインをプロに依頼するなら、最低でも50万〜100万円は見ておくべきです。
フリーランス等に依頼すれば安く済みますが、品質担保や納期の面でリスクがあります。法人の制作会社に依頼し、一定のクオリティ(スマホ対応、SEO内部対策済み)を求めるのであれば、100万円前後がスタートラインとなります。

Q. ランニングコストは売上の何%を目安にすべきですか?

A. システム費としては「売上の3〜5%以内」が健全な目安です。
これに広告宣伝費(15〜20%)や物流費が加わります。システム費だけで10%を超えている場合は、システム選定が身の丈に合っていないか、あるいはASPの手数料が高すぎる(売上が成長しすぎた)可能性があります。移行を検討すべきサインです。

まとめ:自社ECサイトの費用は「初期」だけでなく「運用」を含めた総額で判断する

本記事では、システム別の費用相場から、見落としがちな内訳、コスト削減のポイントまで解説しました。 重要なポイントを整理します。

  • 費用の全体像と相場観の把握
    • 初期費用の幅:ASPなら0円〜、フルスクラッチなら数千万円と手法により激変する。
    • ランニングコストの重要性:初期費用が安くても、「販売手数料」が高いと利益率を圧迫するため、3年間のトータルコスト(TCO)で比較する。
  • 事業フェーズに合わせたシステム選定
    • 逆算思考:現在の年商ではなく、「3年後の目標年商」に耐えうるシステムを選ぶ。
    • 乗り換えの判断:ASPの手数料負担が重くなってきたら、自社EC(パッケージ・クラウド等)への移行タイミング。
  • 見積もりの適正化とコストダウン(内訳の精査)
    • 開発費の正体:費用の5〜7割はエンジニアの「人件費(単価×工数)」であると理解する。
    • MVP開発の実践:機能を「Must(必須)」のみに絞ってリリースし、初期投資を抑える。
    • 外部支援の活用:IT導入補助金による補填や、テンプレート活用でデザイン費を圧縮する。
  • 後悔しないベンダー選定の鉄則
    • 曖昧さの排除:「一式見積もり」はNG。RFP(提案依頼書)を作成し、詳細明細と突合する。
    • 契約前の確認:リリース後の「保守範囲(SLA)」と「追加開発の人月単価」を事前に握っておく。

自社ECサイトは「作って終わり」ではなく「育てていく」ものです。 目先の初期費用の安さだけに囚われず、将来の事業成長を支えられるパートナーとシステムを選ぶことが、結果として最もコストパフォーマンスの高い投資となります。

弊社では、貴社の事業規模や課題に合わせた最適なEC構築プランのご提案や、RFP策定のサポートを行っております。 「自社の適正予算がわからない」「見積もりが妥当か診断してほしい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

「アクセス数はあるのに売上が伸びない」「広告費ばかりかさんで利益が出ない」「何から改善すればいいか分からない」「やりたいことはあるが手が回らず困っている」

こんなお悩みはありませんか?
弊社では、EC事業のプロフェッショナルが貴社の店舗・サイトを分析し、売上アップのための具体的な改善ポイントをご提案する「EC無料診断」を実施しています!

毎月5社様限定とさせていただいておりますので、枠が埋まってしまう前に、まずはお気軽にご相談ください。

弊社のECコンサルティング/運用代行サービスの概要はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=e192q91lSGo&t=67s
詳細はお気軽にお問い合わせください!

お気軽にお問い合わせください。