【初心者向け】Amazonの倉庫(FBA)とは?仕組みとメリットを徹底解説ー他モールの倉庫サービス情報も!

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ECモールでの販売において、配送や在庫管理の効率化は売上アップに直結する重要な要素です。
楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど、各モールには専用のフルフィルメントサービスが存在し、それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットを持っています。
この記事では、Amazonの倉庫について詳しく解説したあと、主要モールが提供するフルフィルメントサービス(楽天スーパーロジスティクス、FBA、ヤマトフルフィルメント)についてもご紹介します。
Contents
Amazonの倉庫について
Amazonは全国各地に物流・配送の拠点を展開し、高度にシステム化されたオペレーションによって、迅速かつ正確な配送を実現しています。
さらに同社は日本市場への投資にも積極的で、2023年には国内での投資額が1兆3000億円を超えました。
この多額の投資は主に、物流拠点の新設や拡張など、配送インフラの整備に重点的に使われており、サービス品質の向上を支えています。
Amazonの倉庫の種類
Amazonの物流拠点は大きく分けて、フルフィルメントセンター(以下「FC」)とデリバリーステーション(以下「DS」)の2種類に分類されます。この2つの施設が連携することで、スピーディーな翌日配送や置き配といった利便性の高いサービスが実現されており、地域の雇用拡大や配送ドライバーの負担軽減にも寄与しています。
以下では、それぞれの拠点が担う役割や特徴について、詳しく解説していきます。
フルフィルメントセンター(FC)
全国に26拠点を構えるフルフィルメントセンター(FC)は、Amazon物流の中心的な役割を担う施設です。ここでは、商品の入荷から保管、ピッキング、梱包、そして出荷に至るまでの一連の工程が行われています。
また、FCにはAmazon Robotics(アマゾンロボティクス)といった最先端の自動化技術が導入されており、購入者のもとへ最短・最速で商品を届けるために、すべての物流プロセスが高効率に設計されています。
デリバリーステーション(DS)
デリバリーステーション(DS)は全国に53拠点が展開されており、Amazonのラストワンマイル配送を支える重要な施設です。フルフィルメントセンター(FC)で梱包された商品は、各地のDSに配送され、そこで地域別に仕分けされた後、配達担当ドライバーへと引き渡されます。
近年では新たなDSの開設が相次いでおり、置き配対応や翌日配送可能エリアがますます広がっているのが特徴です。
AmazonではFCとDSが明確に役割を分担しつつ、緊密に連携することで、効率的かつ高品質な物流ネットワークを構築しています。
Amazonの倉庫の特徴
FBAで利用可能
EC事業者がAmazonの物流サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を導入することで、日本全国に展開されたAmazonの倉庫ネットワークを活用することが可能になります。
FBAを利用すれば、以下のような業務をAmazon側に委託でき、業務の大幅な効率化と省力化が期待できます。
- 受注処理
- 商品の梱包
- 配送手配
- 在庫保管
- カスタマー対応
- 返品処理 など
FBAの運用フローについては、以下の図をご参照ください。

画像出典元:フルフィルメントとは?|Amazon
ロボティクスとAIによる次世代自動化体制
Amazonの倉庫は、他社には見られないほど高度な自動化が進んでいる点が大きな特徴です。
たとえば、従来であれば従業員が端末を持って保管棚へ移動しながら商品をピッキングしていましたが、「アマゾンロボティクス(Amazon Robotics)」の導入により、商品棚自体が作業者のもとへ移動する革新的な仕組みが導入されています。このシステムでは、「ドライブ(Drive)」と呼ばれるロボットが専用の棚を動かし、ピッキング作業の効率と精度を向上させています。
特に、2024年に開設された国内最大級の相模原フルフィルメントセンター(FC)では、約3,000台のドライブが稼働しており、物流自動化の最先端を体現しています。
さらに、以下のような工程も含めて、倉庫内の多くの作業が自動化されています。
- 入荷商品の登録処理
- ピッキング対象商品の特定
- 注文情報の一元管理
- 最適な梱包材の選定 など
作業工程全体を緻密に管理することで、ヒューマンエラーの発生を極力抑える運用体制が整えられており、これもAmazonの倉庫の大きな強みと言えます。
今後は、AIによる判断やさらなるロボティクス技術の導入が進むと見られ、2025年以降もAmazonの物流革新は加速していくと予想されています。
全国各地で物流拠点が急増中
Amazonは日本国内の物流体制強化に注力しており、2024年には全国で15カ所のデリバリーステーション(DS)を新たに開設しました。
そのうち、茨城・新潟・三重・長崎・大分・鹿児島の6県では初のDS拠点となり、これにより各地域で置き配対応や翌日配送可能エリアが大きく拡大しました。
これらの新拠点は、ラストワンマイルの物流効率をさらに高め、より多くの消費者にAmazonの迅速な配送サービスを提供する基盤となっています。
Amazonのフルフィルメントサービス(FBA)
「フルフィルメント by Amazon(FBA)」は、Amazonが提供する自社運営のフルフィルメントサービスです。
全国各地にあるAmazonのフルフィルメントセンターへあらかじめ商品を納品しておくことで、Amazonでの注文は自動的に出荷され、他のECモールからの注文についても、CSVデータのアップロードや「シッピーノ」といった連携ツールを通じて発送対応が可能となります。
納品先の倉庫は固定ではなく、その時点での在庫状況や稼働状況に応じて、Amazon側から都度指定される形となっています。
また、Amazonで受注した商品はAmazonロゴ入りの段ボールで発送されるのに対し、他モールでの注文品は無地の梱包箱で出荷されるのが特徴です。
さらに、FBAの大きな強みは、発送業務だけでなく配送に関する問い合わせ対応や返品処理までもAmazonが代行してくれる点にあります。
これにより、物流に関わる業務をほぼすべて外部に委託することが可能となり、EC事業者は販売やマーケティングに集中できる環境が整います。
Amazonのフルフィルメントサービス(FBA)のメリット
Amazonプライム対象商品になる
FBAを通じて出品された商品は、自動的にAmazonプライムの対象となります。
プライム会員の購入者は、送料無料・迅速配送の特典を受けられるため、FBA商品は優先的に選ばれやすくなります。
また、プライムマークが商品ページに表示されることで、購入者の信頼を得やすく、購買意欲の向上にもつながるというメリットがあります。
少量の商品から利用可能
FBAは、たった1点の商品からでも利用できる柔軟な物流サービスです。
他の多くの物流代行サービスでは、最低取扱数量の制限が設けられているケースが多く、商品数が限られている小規模な事業者にとっては導入のハードルが高い場合があります。
その点、FBAは商品数に関係なく利用できるため、ECを始めたばかりのショップや小規模事業者にとって非常に有力な選択肢となります。
従量課金制で初期費用を抑えられる
FBAの料金体系は、出荷量・商品サイズ・保管期間などの利用実績に応じて課金される「従量課金制」です。
そのため、出荷量が少ない出品初期段階でも、無駄な固定費をかけずにスタートできるという利点があります。
バックエンド業務を効率化し、事業成長に専念できる
FBAを導入することで、梱包・発送といったバックエンド業務の効率化が図れます。
これらを自社で行う場合、人員の確保だけでなく、作業スペースや倉庫の準備といった物理的なリソースも必要となり、コストや手間がかさみがちです。
FBAを活用して物流業務を外部委託することで、これらの負担を大幅に軽減でき、運営コストの削減にもつながります。
さらに、浮いたリソースや時間は、商品企画や新規販路の開拓といった、事業の中核を担う領域に注力することが可能となります。
他モールで販売する商品も預けられる
FBAは、楽天市場やYahoo!ショッピングなどで販売された商品の在庫保管・発送対応にも対応しています。ただし、他モールでの販売商品については、Amazonのカスタマーサポートを利用できない点には注意が必要です。
Amazonのフルフィルメントサービス(FBA)のデメリット
Amazonの倉庫の指定はできない
FBAでは、納品先となるフルフィルメントセンター(FC)や、出荷時に利用されるデリバリーステーション(DS)を出品者側で指定することはできません。
Amazon側が、最も効率的に購入者へ届けられるように倉庫を自動で割り振る仕組みになっているため、心配は不要です。
返品商品への対応を怠らない
返品された商品は、破損や不良があれば再販不可となります。
この場合、30日以内に返送依頼や所有権放棄の申請を行わないと、自動的に廃棄されてしまう恐れがあります。
自動返送・放棄設定を利用することで、煩雑な処理を省くことも可能です。
納品ルールの厳守
Amazonの倉庫への納品には厳密なルールが設けられており、違反すると受領拒否や追加手数料が発生します。
たとえば、以下のようなケースはNGです:
- 段ボールが破損・汚れている
- 段ボールの強度不足や再利用材の使用
- メーカー名・商品情報の記載漏れ
- 不適切な緩衝材の使用(紙シュレッダーやラップなど)
正しい緩衝材(クッション材、エアキャップ、紙など)を使い、指定されたルールに従って納品しましょう。
FBAで扱えない商品がある
FBAでは、以下のような商品は取り扱い禁止とされています。
種類 | 例 |
---|---|
法規制に適合しない商品 | 海外製化粧品で日本語表示がないもの |
生き物・植物・種子類 | 死亡した動物含む |
要冷蔵・要冷凍商品 | 常温保管ができない商品 |
危険物・化学製品 | 爆発物・劇薬など |
特定医療機器 | 認可のない医療器具など |
許認可が必要な商品や、金券・硬貨類などもFBAでは取扱対象外ですので、出品前にAmazonのガイドラインを必ず確認しましょう。
配送代行手数料以外にも各種手数料が発生する
FBAの費用には、配送代行手数料や在庫保管手数料が含まれますが、状況に応じてその他の手数料が発生することもあります。たとえば、長期保管、ラベル貼付、返送などのオプションを利用する場合には、追加費用がかかる可能性があるため、事前に料金体系を把握しておくことが重要です。
物流ノウハウが社内に蓄積されない
FBAを全面的に利用すると、物流業務がAmazonに完全アウトソーシングされるため、社内で物流に関する知識や経験が残らないというデメリットがあります。万が一、コスト増などの理由でFBAから撤退し、自社物流へ戻す際には、倉庫、人員、ノウハウの再構築に時間とコストがかかる可能性があります。
また、カスタマー対応も任せることになるため、顧客の声を直接把握しづらくなる点にも注意が必要です。
商品サイズの確認が必要
FBAには、小型〜特大型までの4つのサイズ区分があり、料金はサイズと重量によって決まります。
たとえば「標準サイズ」の条件は、重量9kg以下で、縦×横×高さの合計が特定の範囲に収まること。
サイズオーバーすると料金が跳ね上がるため、出品前に必ずサイズを確認しましょう。
メール便・ネコポスは使用不可
FBAへの納品は、ヤマト・日本郵便・佐川などの指定方法に従った通常配送に限られます。
以下のような配送方法は利用できません。
配送会社 | 禁止されている配送方法 |
---|---|
日本郵便 | レターパックライト、クリックポスト、ゆうメール |
ヤマト運輸 | ネコポス、クロネコDM便 |
佐川急便 | 飛脚メール便 |
また、倉庫への直接持ち込みなども認められていません。
他モールのフルフィルメントサービスの特徴
楽天市場のフルフィルメントサービス(RSL)
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天が提供するフルフィルメントサービスで、FBA(Amazonのフルフィルメントサービス)と比較すると比較的新しいサービスです。2012年から運用が開始されました。
また、RSLは楽天市場以外のモールからの注文にも対応可能ですが、そのためには楽天グループの子会社であるハングリード株式会社が提供するアプリ「BOSS」の有料プランを利用する必要があります。
この「BOSS」は、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングといった主要な国内ECモールに加え、MakeShopなどのカートシステムにも対応しています。
楽天市場のフルフィルメントサービス(RSL)のメリット
- 他モールへの発送であっても比較的単価が安い
- 15時までの注文は即日出荷が可能
楽天市場のフルフィルメントサービス(RSL)のデメリット
- カスタマイズの設定が難しい
- 問い合わせ対応や返品対応のサポート機能がない
- 保管費用は割高
- 料金について要問い合わせ
- Shopifyには未対応
RSLについては、下記記事で詳しく解説しているので読んでみてください。
Yahoo!ショッピングのフルフィルメントサービス(ヤマトフルフィルメント)
ヤマト運輸が提供するフルフィルメントサービスですが、Yahoo!ショッピング、PayPayモールと提携しています。
Yahoo!ショッピングのフルフィルメントサービス(ヤマトフルフィルメント)のメリット
- ネコポスに対応しているため、ポストに投函できるサイズの配送料が安い
- 大きいサイズに関してもFBAよりは送料が安い
- Yahoo!ショッピング、PayPayモール内にて「優良配送」マークを得られる
- FBA同様、問い合わせをせずにコストのシミュレーションが可能
Yahoo!ショッピングのフルフィルメントサービス(ヤマトフルフィルメント)のデメリット
- RSLと同様に、問い合わせ対応や返品対応のサポート機能はない
- 連携しているサービスが多くない
フルフィルメントサービスの使い分けポイント
モール型のフルフィルメントサービスには、対応モールでの出荷費用が割安であったり、Primeマークなどの特典を得られるという利点があります。
このような特徴を踏まえると、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングの3つのモールで販売を行う場合、それぞれに対応したフルフィルメントサービスを使い分けるという運用も一つの選択肢となるでしょう。
費用面では、このようにモールと専用のフルフィルメントを組み合わせることでコストメリットがありますが、一方で複数のサービスを併用することによって、納品作業が煩雑になったり、在庫が分散されることで販売機会を逃すリスクも高まるという注意点があります。
多くのショップにとっては、販売に力を入れているモールとそうでないモールが存在するかと思います。
そのような場合には、最も力を入れているモールに最適化されたフルフィルメントサービスを利用し、他モールの注文については自動連携ツールを使って効率的に処理・出荷する体制を整えることで、作業負担を最小限に抑えつつ複数モールの運営を実現できます。
モール型フルフィルメントとは
ECを運営する上で、商品の保管や発送を含む物流業務は欠かすことができません。
こうした業務を専門に代行する業者は、「フルフィルメント」や「物流代行」、「物流倉庫」などと呼ばれています。
従来は、物流を外部に委託する際には、倉庫業者を自ら選定し、業務の流れを個別にすり合わせながら構築していく必要がありました。
しかし、近年ではAmazonをはじめとする各ECモールが独自のフルフィルメントサービスを提供しており、モールと連携した物流サービスの利用が主流となりつつあります。
モール型フルフィルメントのメリット
モール型のフルフィルメントサービスは、1つの物流拠点から大量の出荷を行うことで、一般的な倉庫を利用する場合と比べて送料を低く抑えられるのが特徴です。
また、従来の倉庫に多い「最低出荷数量」の制約がないため、立ち上げ直後で出荷件数が少ないショップでも柔軟に利用できる点も大きな利点です。
さらに、これらの倉庫は各モールが直接管理しているため、発送スピードや梱包品質といったサービスレベルが一定に保たれており、Amazonの「Primeマーク」のように、信頼の証となる認証バッジを商品ページに表示できることも、消費者に安心感を与える要素となります。
モール型フルフィルメントのデメリット
モール型フルフィルメントは、大量の納品・出荷に対応するため、納品ルールや対応範囲などのSLA(サービスレベルアグリーメント)が厳格に設定されています。この運用体制により効率的な物流が実現されていますが、その一方で、オリジナル梱包や同梱物の封入など、個別対応には対応していないのが現状です。
また、保管費用は比較的高めに設定されており、長期間の在庫保管には注意が必要です。
特に、ブランドの世界観を重視した梱包や同梱物の工夫が求められる自社ECでは、こうした要素が欠かせないものとなってきています。
そのため、ブランドイメージを大切にし、柔軟な物流対応を求める場合には、モール型フルフィルメントではなく、自社の方針に合わせて対応してくれる物流倉庫の利用を検討するのが賢明と言えるでしょう。
まとめ
ECモールでの売上向上を目指す上で、物流の最適化は避けて通れない重要な要素です。
本記事では、まずAmazonのフルフィルメント体制と倉庫の仕組みを詳しく解説し、FBAのメリット・デメリットを踏まえた上で、楽天市場の「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」、Yahoo!ショッピングの「ヤマトフルフィルメント」といった主要モールの物流サービスを比較しました。
各モール専用のフルフィルメントは、スピード・コスト・信頼性に優れた一方で、カスタマイズ性や在庫分散のリスクなども考慮が必要です。
複数モールを展開する場合は、最も注力するモールのフルフィルメントを主軸に、他モールは自動化ツールなどで連携する効率的な運用が理想的です。
物流戦略は、モールごとの特性と自社の販売方針を照らし合わせて最適化することが、今後の成長を左右するカギとなるでしょう。

株式会社Proteinum 代表取締役