ECにおけるクラウドファンディングの活用方法

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ECサイトを運営されていて、クラウドファンディングを使いたいと考えている方や新しい商品を販売する際に、コストがネックになってしまっている事業者の方たち向けの記事です。クラウドファンディングの説明から実際のプロジェクト実施の流れ、ECへの活用時のポイントを説明していきます。

1.クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語で、「インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する」ことを指しています
クラウドファンディングは、「手軽さ」や「拡散性の高さ」、「テストマーケティングにも使える有用性」といった点が魅力的な新たな資金調達の仕組みとして近年注目されています。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには色々な種類がありますが、ECにおいては、「購入型クラウドファンディング」を知っていればまず問題ないでしょう。
これは、起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとしてモノやサービスを得る仕組みのクラウドファンディングです。
購入型という名の通り、支援者は起案者がリターンとして設定した商品やグッズ、サービス等を購入するような感覚で支援することができます。

購入型クラウドファンディングの実施方式

購入型クラウドファンディングには以下2種類のやり方があり、起案者はどちらで資金調達をおこなうか選ぶことができます。

  • 「All or Nothing型」
  • 「All In型」

「All or Nothing型」は、募集期間内に目標金額を達成した場合のみプロジェクトが成立します。目標金額が集まってはじめて実行可能となるプロジェクトの場合は、こちらがおすすめです。

「All In型」は、目標金額に達していなくても、一人でも支援者が出ればプロジェクトの成立が認められ、集まった資金を起案者は獲得できます。ただし、掲載時にプロジェクトの実施を確約する必要があるため、内容によって利用できない場合があります。

2.クラウドファンディング実施の流れ

クラウドファンディングはプラットフォーマーへプロジェクトの申請を行って始めていきます。主な流れは以下の通りです。

  1. プロジェクト内容の作成
  2. クラウドファンディングのプラットフォーマーとの面談
  3. プロジェクト集客用ページ作成(クラウドファンディング実施サイト内)
  4. 審査
  5. プロジェクト公開に向けた事前告知
  6. プロジェクトの公開
  7. プロジェクト掲載中の告知活動
  8. 支援金の入金
  9. クラウドファンディング終了後のリターン配送

クラウドファンディング実施時のポイント

クラウドファンディング実施時に抑えておくべき点について、細かく説明していきます。

2.クラウドファンディングのプラットフォーマーとの面談

日本のクラウドファンディングのプラットフォーマーの主要プレイヤーは以下の3つです。
他にもたくさんのプラットフォームがあるので、自社に合うサービスを探しましょう。基本は見られる機会の観点から大手サービスを利用するのが通常です。

クラウドファンディングサービス一覧
  • CAMPFIRE(https://camp-fire.jp/)
    • 特徴は、「BOOSTER」など同社が運営する全サイトの支援者約650万人にアプローチできる点です。幅広いジャンルの案件を取り扱っているのも魅力的といえるでしょう。
    • 新規案件数:比較サイトのなかでトップ
    • 審査:最短1日〜5日と非常に早い
    • 入金:最短でも1か月と平均並み
    • 新規・終了間近の案件の調達率:平均
    • 手数料:17%と全体平均と同じ水準。安くなるキャンペーンもあるのでタイミング次第でコストを抑えることも可能。
  • Makuake(https://www.makuake.com/)
    • 特徴は、ガジェットなどモノ系商材に強い点です。累計1万件以上のプロジェクトを掲載しており、これまでで200億円の資金調達を行っているため、実績のあるサイトで始めたい人には魅力的といえます。
    • 新規案件数:平均を大きく超えている
    • 審査:最短8日(平均以上)
    • 入金:最短31日(平均以上)
    • 新規・終了間近の案件の調達率:平均と比較して高い
    • 手数料:20%(高め)
  • Readyfor(https://readyfor.jp/)
    • 購入型・寄付型どちらも対応していますが、社会貢献などの案件に強いのが特徴。累計2万件以上のプロジェクトを企画し、累計240億円の資金を調達した実績豊富なサイトといえるでしょう。
    • 新規案件数:平均より優秀
    • 審査:最短2週間
    • 入金:最短でも2か月と長め
    • 新規・終了間近の案件の調達率:平均33%
    • 手数料:12%(手軽)

3.プロジェクト集客用ページ作成(クラウドファンディング実施サイト内)

集客用ページですべて決まると言っても過言ではありません。集客がうまくいっている商材は100%きれいなページを作成しています。ECサイトの一商品ページを作成する気持ちで作成しましょう。ページ作成に自信がない場合、外注業者の活用を検討しましょう。

ページの作成ができる業者の選び方については、下記記事で詳しく解説しているので読んでみてください。

5.プロジェクト公開に向けた事前告知および7.プロジェクト掲載中の告知活動

プロジェクトを公開するだけでは、お金は集まりません。SNSや自社サイトでの告知、PRtimesなどの掲載サイト、場合によっては広告も活用して、何としてでもお金を集めましょう。

3.ECにおけるクラウドファンディングの活用方法

クラウドファンディングを実施する際のECにおけるメリットとして、以下の5つがあります。

テストマーケティング

支援者の年齢層や男女比、住んでいる場所などのデータは、管理画面で見られるようになっているサービスがあります(Makuakeは管理画面で確認可能です)。どのようなユーザーに自社の商品のニーズがあるのか確認できるのです。一点注意しておかなければいけない点は、クラウドファンディングで支援をするようなユーザーは一般的な感覚と乖離がある可能性があることです。クラウドファンディングでうまくいったからと言って、結果を鵜呑みにしないよう気をつけましょう。

PR・初期顧客の獲得

クラウドファンディングを実施することで、事前にPRが可能です。というのも、クラウドファンディングのサイトはSEOに強いため、多くのユーザーの目に触れる機会があり、単に自社だけで、プロモーションするより、高い認知を獲得できるからです。また他の媒体で記事として取り上げられる可能性もあります。またリターン品として、新製品を届けて「また買いたい」と思ってもらいファン化することで、ECサイトの顧客を拡大できるメリットも得られます。

実績づくり

プロジェクトの成功を実績として活用することが可能です。通常であれば認知がない状態で、広告を打ったり、卸先への営業をする必要があるため、最初は相当苦労するものですが、クラウドファンディング時点でうまくPRできていれば、最高のスタートダッシュを切ることができます。

在庫リスク軽減

事前にどの程度売れるか、クラウドファンディング実施時点で判断基準を得られるため、用意する在庫数の精度を高めることができます。

必要なお金を集める

資金調達として活用し、目的に応じた、必要な費用を集められます。購入応援型のクラウドファンディングでは、資金集めというよりは、使った費用の補填もしくはそれ以上の資金獲得の要素が強いです。

まとめ

ECにおけるクラウドファンディングの活用方法の説明をしてきましたが、少し長くなりましたので、最後にまとめて終わります。

  • 「購入型クラウドファンディング」
    起案されたプロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとしてモノやサービスを得る仕組みのクラウドファンディングです。
  • クラウドファンディング実施のポイント:
    ①大手のプラットフォームサービスを利用する②ページは徹底にこだわる③告知をSNSから広告まで手段を選ばず実施する
  • ECにおけるクラウドファンディングの活用方法:
    ①テストマーケティング②PR・初期顧客の獲得③実績づくり④在庫リスク軽減⑤必要なお金を集める
Writer渡邊 嵩大

株式会社Proteinum 取締役

楽天市場に入社し、広告企画販促部で広告の企画および販促を担当。コンサル会社に転職後、大手通信事業者の新規事業(EC)の立ち上げ、大手化粧品メーカーのブランド戦略、外資系生保の営業戦略などに携わる。あるときECの可能性を再確認し、プロテーナムに参画。ECの上流設計をメインにしつつ、D2C事業にも携わる。ベンチプレス120kgを目指し、日々自分の限界に挑んでいる。

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