EC事業における事業計画の策定方法について
本記事を閲覧頂きありがとうございます。
我々はECにおける総合的な売上向上サービスを展開しています。
楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの大手ECモールや自社サイトのご支援実績のもと、EC売上向上のノウハウをお届けします。
Contents
EC事業における事業計画とは?
本記事では「EC事業における事業計画の策定方法について」というテーマで考察をしていきます。
そもそも論ですが、企業が何かしらの事業を行うときには基本的に事業計画を立てるケースが通常です。
何を販売していくのか、その商品はどれくらいの市場があるのか、競合はどういった方法で販促をしているのか、どれぐらいの期間で黒字化できるのか、等々、事業を開始する前にしっかりと計画を策定する必要があるかと思います。
一方で、「EC事業における事業計画」の場合はどうでしょうか?
ECを専業でやっている企業であれば、ある程度は市場調査や収支計画の作成などは取り組むケースが多いですが、問題は「EC専業ではない企業」の場合です。
例えば、これまでメーカー業を営んでいた企業様が新たにEC事業に参入するケースを考えてみましょう。
- 販売する商品はある程度決まっていて、手数料のかからない自社サイトにとりあえず出してみる
- アクセスが入らず、販路を増やすために楽天とヤフーに出店して販売を強化する
- 少し売上は上がったが、想定以上に費用がかかり、結果思うように利益が出せない
上記のようなケースに陥る企業も多いのではないでしょうか?
メーカーでなくても卸や小売企業にも通ずる考えですが、スピード感を持ってECを成長させようという考えは非常に重要である一方で、
既存の販路の延長線上でECという販路を捉えてしまうと、EC特有の売り方に対応できなかったり、想定外の費用が発生したりと、失敗につながるような罠に陥りがちです。
こういったときに大事になるのが、「EC事業に特化した事業計画」であると考えます。
- 自分たちの商材を広く売っていくためには、自社サイトで売るべきか、楽天で売るべきか、Amazonで売るべきか、どの販路が最適なのか
- ECにおいては、どういった費用科目を見る必要があるのか
- EC上で売上や利益を上げるためには、具体的にどういった施策を打つべきなのか
- 施策の効果検証をするためには、どういったデータを基に分析をすべきなのか
上記は一例となりますが、こういったEC特有の課題をしっかりと認識し、
実現可能性を十分に考慮した事業計画を作ることが非常に重要になってくると考えます。
ECにおける事業計画策定におけるポイントとは?
では、ECにおける事業計画を策定する際に、実際にどういったポイントを踏まえて事業計画を策定していくべきなのでしょうか?
以下では、実際に弊社がクライアント企業様の戦略策定をする際に用いるフレームワークをご紹介いたしますので、本記事を読んでいらっしゃる方は、自店舗の場合はどういった点を考慮すべきなのか、考えながら見て頂ければと思います。
-
内外環境分析
内外とは、内部環境と外部環境を略して記載しています。
内部環境分析とは、シンプルにいうと「自社分析」のことです。
すでにEC事業に取り組んでいらっしゃる企業様であることが前提となりますが、
以下のようにこれまでの取り組みを数字面で分析することで、どこがボトルネックとなり売上が向上しないか、把握していく必要があります。
- 日次分析
日別の売上、各指標を定点観測することにより、指標の改善点の洗い出し。競合比較による差分確認 - アクセス分析
性別や年代別等のアクセスを分析することにより、ターゲット層にアプローチできているか検証 - ジャンル別分析
ジャンルの売上推移を分析することにより、注力ジャンル等の選定 - 商品分析
商品別の売上、各指標、新規既存人数を確認することで、より詳細に売上構成を把握が可能 - キーワード分析
店舗、商品別で検索流入キーワードを確認することで、どのキーワードに注力してSEO対策を行うか検証可能 - 新規既存顧客分析
店舗全体の新規既存顧客推移、購入回数別顧客人数を確認することで店舗の顧客状況の検証可能 - 販促分析
RPP、クーポンアドバンスの運用型広告の効果検証を行うことにより、広告効果最大化が可能 - クーポン/メルマガ分析
各月別でクーポンとメルマガの販促効果を出すことにより、適切な内容、時期で販促ができているか検討
実際はクライアント企業様に合わせてオーダーメイドな分析設計をするケースが多いですが、
上記の内容については基本的に全企業様分析したうえで、実際の施策検討のフェーズに入っていくことが多いです。
次に外部環境分析についてみていきます。
内部環境分析とは逆に、「市場分析」「顧客動向」「競合分析」などの、外部要因について深く分析していきます。
- 市場規模、成長性
マーケットの規模の把握より現実的な売上目標設定 - 年間トレンド
マーケティングコストの投下時期の検討 - 顧客動向
顧客層の把握により、ターゲット層を明確化し、効果的なアプローチ方法の検討 - 競合選定
自社にとって適切なベンチマーク企業の選定ができているか - 競合分析
自社との数値面の差分の把握
競合が実施している施策の把握
以上が、「内外環境分析」となります。
分析については、下記記事で説明しているので合わせて読んでみてください。
-
運営方向性の明確化
次に、内外環境分析を踏まえてうえで、自社の場合はどういった方針で運営を進めていくべきなのか、考えていく必要があります。
こちらも内外環境分析と同様に、企業様の方針に沿った形で考えていく必要がありますが、以下では4P(Product、Price、Place、Promotion)に沿った形で考えていきましょう。
商品戦略(Product)
販売予定の商品が決まっていない場合は、競合他社の動向を踏まえて販売商品を検討していくことになるかと思いますが、たいていの場合は既に販売予定の商品が決まっているかと思いますので、その前提で話を進めます。
ここでは、「入口商品」と「テール商品」に区分けして考えます。
「入口商品」とはその名の通り、自店舗へのお客様の入口となる商品のことです。
(特にモールにおいては)検索順位が高い状態を目指す必要があり、まずはしっかり販売実績を積み、お店への入口となる看板商品の選定が必要です。
また、入口商品だけで利益を残していくことが難しい場合も多いので、「テール商品」にしっかり繋げられるようなページ構築も同時に必要になってきますね。
また、商品別の訴求ポイントもしっかり検討しておく必要があります。
商品別の訴求ポイントがぼやけている状態だと、実際にページ構築の際に、特徴のない商品ページを作ってしまうことになりがちです。
価格戦略(Price)
どういった商品を注力商品として販売していくか決めた後は、商品別に価格を検討してきましょう。
PB商品とNB商品で価格の検討方法は異なってきますが、基本的にはマーケットの価格を参照するのが最初の手段となります。
具体的には、自社の商品と同様の商品をリストアップし、自社の商品価格をどのラインまで下げることで、価格上の競争優位性が出せるかどうか、商品別に検討をしていきます。
モール別戦略(Place)
商品戦略と価格戦略と並行して、どの店舗/モールに注力していくか、検討していきます。
とりあえず一番マーケットが大きい印象がある楽天市場にしてみようかな
固定費が少なく、手数料が安いからとりあえずヤフーにしてみよう
など、感覚でモールを選ぶのではなく、自社の商品の場合、どのモールが一番合っているのか、どういった優先順位で販路を拡大していくべきなのか、最初の段階でしっかり検討しておくべきです。
プロモーション戦略(Promotion)
言わずもがなですが、EC上においてはプロモーションが非常に重要です。
リアル店舗とは違い、EC上では多数の店舗が乱立しているため、よほど店舗ブランドが強いか、商品力がある状態でない限りは、自分たちから認知度を広めるための仕掛けをしない限り、アクセス数は増えません。
その前提に立ち、モール別/商品別にどういった販促をかけていくべきなのか、しっかりと精査をしたうえで販促活動を行っていきましょう。
-
定量目標設定(EC事業収支計画)
各種分析が終わり、店舗の運営方向性がある程度定まってきたら、その内容を数字に落としていく必要があります。
この作業を行わないと、売上が目標に達しているかどうか、しっかりと利益が出せているかどうかなど、定量面での分析ができない状態になってしまいます。
よく、「楽天市場は利益が出ない」という話を聞くことがありますが、
「楽天市場で売るために必要な費用科目とその料率などを正確に把握していますか?」とお尋ねすると、YESという返答が返ってくることはほぼありません。
ポイントは以下3点になるかと思いますので、最低限以下の内容を押さえた収支計画を作成してみましょう。
売上目標は、実現可能性が十分にあるか
正確な数字は不要なので、ざっくりマーケット全体の規模感や、競合他社の販売実績などを可能な限り参考にした売上目標を設計しましょう。
値引き原資(=値引きを考慮した原価率)や広告宣伝費の予算組みが十分にできているか
EC上で主な投資項目となる、値引きと広告宣伝費が適正か、しっかり検討しましょう(高すぎるのは論外ですが、低すぎても十分な投資が行えていないという意味で適正とは言い難い可能性が高いです)
EC特有の費用科目を押さえているか
モール別の販売手数料、客出し送料、決済手数料など、リアル店舗の運営とは異なる費用をしっかり押さえておきましょう。
定性目標設定(アクションプラン)
最後に、これまでに立てた戦略をアクションプランに落としてみましょう。
ポイントは4点です。
施策がある程度網羅的に考えられているかどうか
おすすめとしては、店舗別/モール別に施策を分けるか、「アクセス施策」「転換率施策」「客単価施策」「その他施策」といった形で、何のための施策か、わかりやすいように整理することです。
施策の優先順位付けができているか
施策の担当者が明確になっているかどうか
施策の開始時期/完了時期が明確になっているかどうか
事業計画の運用方法
上記の手順で事業計画を立てた上で次はどのように運用していくかが重要になります。
計画は計画であって実際にアクションを行っていくと想定と違った結果になることは多々あります。
月次あるいは週次で実施したアクションが計画とどのように乖離があり、軌道修正をするのであればどのように軌道修正を行うべきなのか、社内で検討する機会を設けるようにしましょう。
終わりに
今回はECにおける事業計画の重要性や、実際にどんな分析をすべきなのかについて解説してきました。
弊社では楽天市場をはじめとした各種EC関連の運営代行、運用代行も行っておりますので、ご興味がある企業様はぜひ一度お問い合わせいただければと思います。
株式会社Proteinum 代表取締役
以下の記事も合わせてご参照ください。