BtoB ECサイトの市場状況とEC化における課題、構築方法

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楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの大手ECモールや自社サイトのご支援実績のもと、EC売上向上のノウハウをお届けします。

本記事では、弊社にもお問い合わせいただく事が増えてきているBtoB ECについて解説いたします。
BtoB ECはモノやサービスの提供者と対象者が、ともに企業や法人です。
メーカーと問屋や仲介業者、問屋や仲介業者と小売店などのEC上での取引がBtoB ECに当たります。
対してBtoC ECは、企業や法人から一般消費者の個人などのエンドユーザーを対象にしたEC上の取引を指します。
オンラインショップや通販サイトなどがBtoC ECに当たります。

コロナバブルと呼ばれた2020年は主にtoC向けのEC化が急速に進みました。
その裏で物流に必要な梱包資材を提供していたり、原材料を卸している業者はEC化を含むシステムが追い付かず、苦労したところも多いと聞きます。

現在でもtoBに関しては、個別メールやFAXを利用しているところも少なくありません。
そこでBtoB EC化率の現状と、BtoB EC化における課題を解説いたします。

1.2023年度 日本のBtoB EC市場状況と成長背景

画像引用元:経済産業省『令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書

経済産業省が公開している「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2023年国内BtoB EC市場規模は465.2兆円(前年420.2兆円、前々年372.7兆円、前年比10.7%増)に増加。
EC化率は40.0%(前年比2.5ポイント増)と増加傾向にあり、EC化が引き続き進展していると発表しています。

画像引用元:経済産業省『令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書

BtoC ECにおけるEC化率は同報告書によると9.38%とBtoB ECの4分の1程度となっております。
なぜBtoB ECのみここまでEC化率が高いのかと言うと、経済産業省のデータには「EC]と「EDI」が区別されていないためです。

BtoB(企業間取引)で使用されるシステム「EDI」とは

BtoBでは既存の取引先と、毎月膨大な取引処理が発生します。
例えば、受注・発注はもちろん、請求や支払い、出荷・検品・納品などです。
1度に大量の受注や発注を処理するうえで、紙や電話で1注文ごとに伝票作成を行っていたのでは、時間もかかり、手作業によるミスも発生する可能性があります。

そこで、BtoBにおける取引に導入されているのが「EDI(Electronic Data Interchange:電子的データ交換)」です。
EDIとは取引先と直接、専用回線をつなぎ、手作業だった伝票作成などを電子取引化にするためのシステムです。
EDIを導入し企業間で取引を進めるためには以下3つの取り決めを行います。

  • 取引プロセス
  • データ形式
  • 通信プロトコル

EDIは1970年代から存在しており、大手部品メーカーなどは世界中の部品供給先とEDIでつながっており、今日に至ります。
経済産業省のBtoB EC化率にはこのEDI導入も含まれているため、BtoCと比較し数字が大きくなっているのです。

国内BtoB市場の成長背景

BtoB ECの市場規模が右肩上がりで、EC化率も伸長傾向にあることは前述のとおりですが、なぜここまで伸びているのか、それには2つの理由が考えられます。

①ISDN回線のサービス終了
EDIの多くは古い「ISDN回線」を使用しています。
ISDN回線は2024年1月でサービス終了を向かえており、ISDN回線を用いてEDNを導入していた企業はインターネット回線への切り替えまたは、BtoB ECサイトに切り替えを進めている企業が増えてきています。

②EDI非導入企業におけるEC化
EDIを導入するためには、取引先ごとにデータ形式をはじめ取り決めが異なることから、取引先ごとに専用端末を用意する場合が多く、中小企業においてはコスト面と効率面で非導入の企業も多いです。
BtoB EC専用のASPカートも豊富な今、あえてEDIを導入せずECサイトの構築により企業間取引の効率化を進めている企業は増えていると考えられます。

BtoB EC専用カートを導入することで、EDIでは実現できない売上分析や、分析を活かした施策の実行が可能になる点も、導入が増えてきている背景と言えるでしょう。

2.BtoB ECサイトを構築する際の5つの壁

BtoBのEC化が進んでいることは事実ですが、まだまだECサイトの導入に踏み切れていない企業も多い状況です。
なぜならば、BtoCと異なりECサイト構築前に解決しなければならない課題が多いからです。

2-1.既存業務フローや商慣習からの脱却

特定の企業間取引が多く、取引先ごとに独自の業務フローや商慣習が存在する場合、その全てを通常のECサイトで個別設定することは困難です。
独自フローや取引先ごとに異なるフロー全てをECサイトで踏襲しようとすると、BtoB ECの構築は労力的にも金額的にも大きな負担となります。
独自フローを組み込んだ場合の構築費用は、一般的に数千万円から数億円になるとも言われています。

また、ECサイトを利用する取引先側にも独自の業務フロー存在するケースもあり、要件定義の段階で全ての取引先の業務フローを把握する必要があります。

加えて、要件定義を行った時点と業務フローが異なってしまうこともあります。
要件定義が終わり、システム開発のフェーズになっても、ECサイトを使用する現場スタッフと密にコミュニケーションをとり続ける必要があり、リリースまでに1年以上かかることもあります。

2-2.既存業務フローの属人化

企業間取引では、取引先によって業務フローや割引率(卸値)が異なることがありますが、その情報を担当者しか把握していないというケースも少なくありません。
顧客情報や、受注履歴やフロー、商品ごとに異なる割引率を設定しているなど、属人化している情報を事前に把握しないとECサイト導入前と同条件で購入が出来なくなってしまうといったリスクが生じます。

そのためBtoB ECを成功させるためには、属人化した情報と業務の棚卸しを実施したうえで、整理が必要です。
仕事が奪われると感じ、担当者が業務の棚卸しを積極的に実行してくれない場合もあります。
そのような場合は、業務効率化によって空いた時間で、企業として何をして欲しいのか新たなミッションを与えるなどのコミュニケーションも必要になってきます。

2-3.使い勝手が悪い  

前述の通り売り手の都合だけで構築要件を固めてしまうと、取引先(買い手)にとって使い勝手が悪くなってしまったり、ECサイト導入前と購入条件が変わってしまう恐れがあります。
今までの業務フローに慣れており、ECサイトに変わり使い勝手が悪いと感じると、取引先のECサイトの利用率が下がり、結局従来のアナログの受発注方式に戻すという企業もあるかもしれません。

このようなことがECサイトリリース後に発生しないよう以下のような準備をしておく必要があります。

  • 見積書発行や発注方法のマニュアルの作成
  • 請求に関する変更点や支払いサイトを明確にしたマニュアルの作成
  • マニュアルと実際の画面を用いた研修

また要件定義の段階で管理画面のデザイン画面を見せて、意見を取り入れながら進めるのもおすすめです。
従来の方法より便利で使いやすいECサイトを構築することで、取引先もECサイトを利用してくれるようになり、年間で見ると売上増加に結び付くことにつながります。
実際にECサイトを使用して購入する取引先の視点を持って、構築を進めましょう。

2-4.既存基幹システムとの連携

BtoB事業者の多くは営業管理や商品管理、会計など複数のシステムを導入していると思います。
新たに企業間取引においてECサイトを導入する場合、上記のような基幹システムと連携する必要が出てきます。
また単にシステム連携を行うだけでなく、

「在庫管理は従来の商品管理システムで行うべきか、ECサイトで管理すべきか」
「取引先管理はECサイトでも必要だが、二重管理にならないか」

など、どの情報をどこで管理・更新するべきかや、どの項目を自動更新されるよう連携させるべきかせいりする必要があります。
一般的に新たにECサイト導入する際は、変更が多い項目・情報はECサイトで管理し、変更の少ないものは基幹システムで管理すると良いと言われています。

例えば営業管理や取引先管理などの要件が固まっており、ECサイトへの移管が難しいものは基幹システムで引き続き管理し、ECサイトはあくまでも取引先の利便性を高めることにフォーカスをおき構築をすると良いでしょう。

2-5.導入した新システムが利用されない

従来のアナログ形式の受発注に慣れている社員の中には、新しい仕組みやシステムに対し否定的な方もいます。
システム導入=仕事を奪われると感じてしまったり、新しい仕組みを覚えられないかもしれないと言う恐怖から否定的になってしまう方もいるかと思います。
BtoBでECサイトを導入する際は、いち担当部署で完結するのではなく、会社全体の課題を解決するためのツールとしてどうあるべきか、全社一丸となってプロジェクトに取り組むことが求められます。

3.BtoB ECの構築手段

ここまで、BtoB ECの成長についてと、実際にECサイトを構築する際にクリアすべき課題について解説いたしました。
ここからは、BtoB ECサイトの構築手段と種類についてご紹介いたします。

まずBtoB ECサイトの構築手段ですが、大きく分けて4つございます。

3-1.ASPを活用して構築

ASPとはApplication Service Provider(アプリケーション サービス プロバイダー)の略で、ブラウザー上で管理画面を提供しているSaaSシステムの一つです。

■ASPを利用するメリット
最大のメリットは手軽に安くシステムを導入することが出来る点です。
初期費用も数十万円、月額も数万円~とイチからシステム開発を行うより安価で素早く構築することが出来ます。
既存業務フローをASPの予め用意された仕様にあわせることができるなら、ASPの利用がおすすめです。
またデザインについても、テンプレートが数多く用意されており、ある程度のデザインカスタマイズも可能です。
加えてSaaSサービスと言うこともあり、機能アップデートを自動で実行してくれるASPも多く、祖ステムが古くならないのもメリットです。

■ASPを利用するデメリット
デメリットは独自のカスタマイズが難しく、外部システム連携がしづらいことです。

近年では、BtoB専用のASPもサービスも増えており、予算が限られている企業や、基幹システムとの連携が不要な場合では導入を検討すべきECシステムは「ASP」となります。
各社ASPの仕様が、既存業務フローをどのくらいカバーできるのか、まずは確認してみましょう。

ProteinumではBtoB専用のASPとして以下2つをご紹介しております。
ASP選びの参考にしてみてください。

https://proteinum.co.jp/blog/uncategorized/b%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%88%e3%81%ae%e7%89%b9%e5%be%b4%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f%e6%a9%9f%e8%83%bd%e3%82%84%e6%96%99%e9%87%91%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%92%e7%b4%b9%e4%bb%8b%ef%bc%81
https://proteinum.co.jp/blog/%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96%e3%83%8e%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6/%e6%a5%bd%e6%a5%bdb2b%e6%96%99%e9%87%91%e3%83%bb%e8%a9%95%e5%88%a4%e3%83%bb%e6%a9%9f%e8%83%bd%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6-%e4%b8%ad%e5%b0%8f%e4%bc%81%e6%a5%ad%e5%90%91%e3%81%91web%e5%8f%97

3-2.パッケージECをカスタマイズして構築

ECとしての基本機能が実装済みパッケージのシステムを自社用にカスタマイズしてBtoB ECサイトを作る方法です。
カスタマイズや外部システム連携がパッケージECを導入する前提のため、費用は数百円万~数千万円が相場でASPと比較し高めとなります。

■パッケージECを活用するメリット
カスタマイズ前提と言うこともあり、既存の独自業務フローに沿った設計が可能です。
またパッケージEC提供会社の近年増え、自社のカスタマイズ要件にあった選択が可能です。

■パッケージECを活用するデメリット
ECシステムのバージョンアップのスピードに追い付くのが困難であることです。
構築開始時は最新のパッケージであったとしても、リリースを控えた1年後にはバージョンが古くなってしまっている可能性が高いです。
BtoBのEC化には複数の課題があり、要件も複雑となりどうしても工期が長くなります。
そのため、リリース後もバージョンアップ対応に追われることもあります。

パッケージECを活用する場合は自社の業務フローに沿った構築が可能かを確認することはもちろん、自社に近しい構築実績があるかどうかも選定基準になります。
またカスタマイズ前提ではありますが、カスタマイズ領域が少ない方が費用も工期も圧縮することが可能です。
自社にあったパッケージを選定するためにも、事前の情報収集が重要です。

3-3.クラウド型ECをカスタマイズして構築

ASPを活用した構築において、カスタマイズが難しい点をあげましたが、フルカスタマイズが可能なクラウドECを活用することで、システムが常に最新に保たれた状態で、独自カスタマイズが可能です。
クラウド型は「ASP」と「パッケージ」の両方の良いところを持っているのが最大の特徴です。

■クラウド型ECを活用するメリット
クラウド型とはその名の通り、システムの母体がクラウドになるためシステムが常に最新の状態に保たれています。
システムが古くならないため、手動のバージョンアップやリニューアルが不要になります。
またシステムのリニューアルには費用が発生するため、中長期的にみてコスト面でもメリットがあると言えます。

■クラウド型ECを活用するデメリット
最大のデメリットがソースコードが開示されていない点です。
開発ベンダーを切り替える際もブラックボックスとなっている部分が多く、リニューアルコストが膨大にかかる可能性もあります。
そのため、開発に関してソースコードの開示と管理がマストである企業との相性は良くないでしょう。

3-4.フルスクラッチでゼロから構築

フルスクラッチとはシステム開発会社に依頼して、ゼロからECサイトを構築する方式です。

■フルスクラッチで構築する場合のメリット
最大のメリットは、ECサイトを完全に自社用にカスタマイズできるので、予算があれば全ての要件を実現でき、システム連携などを含めて最も拡張性がある開発手法であるという点です。
またBtoBのECサイトの開発は、個社ごとの独自のフローを実現させる必要があり、フルスクラッチはBtoBのECサイト開発には相性が良いとも言えます。

■フルスクラッチで構築する場合のデメリット
費用とコストが最もかかる開発手法であることと、構築にあたりEC独自の知識はもちろん、高度なエンジニアリングが必要な点です。
ECの独自知識や、BtoB取引における独特の商慣習に対する知識が浅い開発会社がBtoB ECサイトを作ると、ユーザービリティが悪かったり、古いデザインのECサイトになったり、最新のWEB施策が行えないことになる可能性があります。

近年では、パッケージECやクラウドECがBtoBの機能を拡張し、BtoBの事例が増えてきており、フルスクラッチの柔軟性や拡張性のメリットが薄れつつあります。
ただ、取引先ごとに異なる運用フローを全てかなえるにはフルスクラッチと言う選択肢を選ぶ事業者も多いと思います。

4.BtoB ECサイト 3つのタイプ

BtoBのECサイトを構築手段として、4つご紹介いたしましたが、ECサイトの公開範囲についても構築時の要件として定めておく必要があります。
BtoB ECサイトの公開範囲は以下3つのタイプから選択しましょう。

4-1.クローズド BtoB型 ECサイト

クローズド BtoB型とは、EDIを含む契約済みの取引先のみがアクセス、利用可能なサイトです。
サイトへのアクセスが自社と契約済み取引先に限られるため、非公開のECサイトであることが求められます。
インターネットで検索してもサイトにたどり着くことはできないため、専用のログインページ経由でしかアクセスできず、URLを知っている自社と取引先のみ利用可能な仕様となっているのがクローズド BtoB型です。

BtoBのECサイトでは、同一商品でも、取引先によって販売価格が異なることがあります。
取引規模や契約期間など、各社独自のルールで取引先ごとに割引率の設定をしており、また価格だけではなく販売可能な商品も異なります。
クローズドの対応が求められる目的としては、売り手を守るためと言う側面が大きく、他社の取引状況や契約情報が知られてしまい「A社には1個あたり300円で販売しているなら、弊社も300円にしてほしい」「弊社でも、カスタマイズ商品を購入したい」といった契約範囲外の要望を避けるためです。

クローズド BtoB型でECサイトを構築する際の注意点として、決まった人しか利用できないサイトであることが前提であるため、売り手側のユーザビリティのみを優先しないことです。
取引先にとって使い勝手が悪い仕様のサイトですと、前述の通り結局従来のアナログの受発注方式に戻ってしまうこともあります。

4-2.スモール BtoB型 ECサイト

スモールBとも呼ばれるこのタイプの考え方としては通常のBtoCのECサイトと同様に、インターネットで公開しているECサイトで、ターゲットはインターネットにアクセス可能な企業すべてに広がります。
公開の目的としては、新規顧客の開拓および、売上の拡大です。

BtoBの取引を開始するには、通常オフライン営業やWEB上での販促活動がメインとなります。
オフラインでの営業活動は日本全国に支社を構えるほどの大企業であれば話は別ですが、大半の場合は会社所在地より訪問が可能な範囲に限られると思います。
また、取引規模が小さいと目した企業まで営業活動が追い付かず取りこぼしの可能性も発生します。

そこでBtoB ECサイトを公開することで、今までの営業活動では訪問がかなわなかった企業や、WEB上で会社を知ってもらったのに、取引開始にあたりEDI限定で契約締結に結びつかなかった企業への販売が可能になります。

スモールBのECサイトは、BtoCのECサイトに近いため、クローズドBtoB型のECサイトと比較すると構築の難易度は低いと言えます。
さらにECサイトを構築・公開することで、クローズド BtoBではできないWEB販促を積極的に行うことができます。

4-3.マーケットプレイス BtoB型 ECサイト

マーケットプレイス型 BtoB ECサイトは、BtoB販売を目的とした専用のプラットフォームに複数の企業が商品を出品する形態です。
すでに用意されたプラットフォームに商品を掲載するだけのため、初期費用が圧倒的に抑えられます。
またマーケットプレイス型 BtoB ECサイトプラットフォームの運営者が取引を管理しており、セキュリティや信頼性を確保するための仕組みが整っており、自ら用意する必要がありません。

ただ専用プラットフォームの仕様を変更することはできないため、既存取引先が多く、個別の独自運用に合わせると言ったことや、取引先ごとに販売価格を変えるといったことはできません。

5.BtoB ECサイト構築時の課題

5-1.費用

BtoB ECサイトの構築・運営には、当たり前ですが初期費用や月額費用、人件費など、コストがかかります。
企業間取引をECサイト化する前と後で、会社として発生する費用(固定/変動)がどの様に変わるのか、事前にシミュレーションを立てることをおすすめいたします。

またBtoB ECサイトを構築する目的を明確にし、費用をかけるべきか協議をしましょう。
既存取引先には今まで通りの運用を継続し、広く新規顧客獲得をしたいのであれば、まずはマーケットプレイス BtoB型で出品し費用を抑えると言った判断ができるでしょう。

5-2.専門知識

BtoB ECサイトの構築・運営には、ECサイトの構築知識はもちろんですが、フルスクラッチで構築する場合は高度なエンジニア知識が必要です。
構築・開発を外部業者に委託する場合は、委託先選定が最も重要と言えます。
既存の運用や、ECサイト化にあたりかなえたい要件を、どのような手段で組み込むのか、
複数社の話を聞いて、慎重に選択することをおすすめいたします。

5-3.セキュリティ

BtoB ECサイトでは、取引先情報を取り扱うため、セキュリティ対策は必須です。
SSL認証などによる暗号化はじめ、ログインも2段階認証みする、不正アクセス時の対策、セキュリティソフトの導入はもちろん、専門機関による監査なども取り入れ、常に万全な体制でECサイトの運営をしましょう。

5-4.バックエンド業務 運用の再整備

BtoB ECサイトでは、従来の受発注業務に加えて、アナログ対応していた請求書発行や入金管理などの業務フローの見直しが必要です。
構築時に既存の会計システムとBtoB ECサイトの受注情報が自動連携されるよう開発をするなど、要件定義の段階で、既存運用から変わる可能性があり業務を洗い出し、新運用の業務構築が必要です。

社内で整備が難しい場合は、業務構築も合わせて設計してくれる構築・開発会社もあるので、委託先選定の際は条件に加えてお探しいただけると良いと思います。

6.まとめ

BtoB ECサイトの構築について以下まとめです。

  • 日本国内のBtoB EC市場は成長傾向にある
  • BtoB ECサイトを構築するには以下5つの壁がある
    • 既存業務フローや商慣習からの脱却
    • 既存業務フローの属人化
    • 使い勝手が悪い 
    • 既存基幹システムとの連携
    • 導入した新システムが利用されない
  • BtoB ECサイトを構築するには大きく4つの手段と3つのタイプが存在する
  • BtoB ECサイト構築時には費用や専門知識、サイト公開後もセキュリティ対策や業務フローの再整備が必須

これからBtoB取引のECサイト化をお考えの方は以下を参考に構築を検討してみてください。
予算が少ない、早くEC化したい、外部システムとの連携は不要:ASPでECサイト構築
クローズドBtoB型、EDIからのECサイトへの移行、独自のビジネスフローの実現:クラウド型
EC化が会社全体のプロジェクト、予算も工期もある、既存取引先ごとの業務フローが大きく異なりフロー変更が不可:フルスクラッチ

BtoB ECサイトの構築はBtoC ECサイトの構築を異なり、単純に販路拡大と売上アップだけを考えれば良いのではなく、企業課題の解決も求められます。
課題の洗い出し、その課題をECサイト化でどのように解決するのか、弊社では要件定義からサポートが可能ですので、お気軽にお問合せください。

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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