【アメリカ】Amazonで始める越境EC!市場規模、参入方法、注意点まとめ

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近年、アメリカ越境ECが注目を浴びています。インターネットを通じて国境を超えて商品を仕入れもしくは販売する越境ECですが、アメリカは日本の事業者からの越境EC購入額が中国に続いて世界2位でありながら、中国と比べて越境ECのハードルが低いと言われているためです。

そのため、今回は越境ECを活用してアメリカへ進出しようと検討している事業者様向けに、アメリカ越境ECの市場規模から事前準備、Amazon等を活用した参入方法、注意点をまとめました。アメリカでの越境ECを始めようとしている方はぜひ参考にしてください。

アメリカ越境ECの市場規模

アメリカを初めとした各国の越境ECの市場規模やモール別規模を以下にまとめました。

アメリカおよび各国の越境ECの市場規模

越境EC購入額伸び率
アメリカ2兆2,111億円8.3%
中国5兆68億円6.2%
日本3,954億円6.1%
日本・米国・中国3ヵ国の越境EC市場規模
引用元:経済産業省 「電子商取引に関する市場調査」

経済産業省によって2023年に発表された「電子商取引に関する市場調査」によると、令和4年においてアメリカ(米国)消費者による越境EC購入額は2兆2,111億円と、中国に続く世界2位に位置しています。日本の越境EC購入額が3,954億円なので、この数字の差からもアメリカの越境EC市場規模の大きさが伺えます。

さらに越境ECの購入額では中国に続く形となっていますが、昨年からの伸び率においてアメリカは+8.3%であり中国が+6.2%のためアメリカの越境EC市場は中国以上のスピードで成長していることがわかります。

アメリカにおけるジャンル別EC市場規模

商材ジャンルEC市場規模(億USドル)前年比EC化率
衣類・雑貨1,8084.4%13.9%
家具・建材・電子機器1,1211.3%13.3%
車・車用品6583.2%4.3%
その他7235.3%2.9%
無店舗型販売6,03210.8%65.”%
合計10,3417.7%14.6%
アメリカにおける商材別EC市場規模(2022年)
引用:Retail Indicators Branch, U.S. Census Bureau, February 17, 2023

アメリカにおける2022年度のジャンル別EC市場規模を見ると、「衣類・雑貨」が最も多く1,808億ドル、続いて「家具・建材・電子機器」で1,121億ドルとなっています。その他では、書籍やビデオ、コンピューター、家電製品のEC化率が高いのが特長です。

アメリカのEC事業者シェアランキング

順位事業者シェア率
1位Amazon.com Inc15.6%
2位Walmart Inc6.5%
3位Apple3.9%
4位eBay3.5%
5位Target2.1%
アメリカEC市場における上位シェア事業者(2022年)
引用元:経済産業省 「電子商取引に関する市場調査」

アメリカEC市場におけるシェア率はAmazon.com Incが2位以下に大きな差をつける15.6%で一位となっています。つまり、アメリカで越境ECを始める場合の出店場所としてAmazonを選んでおけばまず間違い無いと言えるでしょう。オフラインでは市場を占めているWalmart IncについてもAmazonほどではないものの近年成長が著しい事業者です。

アメリカ越境ECを始める前の事前準備

アメリカ越境ECを始める前にしておきたい事前準備について以下の通りまとめました。

  1. アメリカにおける商品の市場をリサーチする
  2. 販売をする商品の輸出条件を確認する
  3. 越境ECの事業モデルを検討する

1.)アメリカにおける商品の市場リサーチをする

アメリカの越境EC市場は日本と比較しても大きいですが、その分、競争も激しいためアメリカで越境ECをはじめる場合はまずはアメリカにおける商品の市場状況を把握した上で戦略を立てることが必要です。

アメリカのECにおける商品市場リサーチの方法としては、最もシェア率の高い
・Amazon.com(アメリカ)https://www.amazon.com/
を使って行うのが良いでしょう。

出品予定の商品が表示されるであろうキーワードで検索をして、検索結果の上位に表示される商品と自社の商品を項目別に整理して比較表を作ることから始めることをおすすめします。価格だけではなく、売れている商品や検索上位の商品はなぜ売れているのか?検索上位なのか?を具体的に把握し、自社製品の販売戦略につなげるとよいでしょう。

2.)販売をする商品の輸出条件を確認する

日本国内で製造した商品をアメリカなどの海外へ輸出をする場合は、まず輸出先において輸入規制や輸入禁止にされていないかを確認する必要があります。特に食品や飲料に関しては細かく輸出条件が決められているパターンが多いので注意をしてください。細かい条件については「JETORO(日本貿易振興機構)」のホームページなどで確認することができます。

3.)越境ECの事業モデルを検討する

#事業モデル説明
1日本国内自社サイト日本国内にて自社サイトを構えて国内からアメリカの消費者
に向けて商品を販売する方法
2日本国内ECモールサイト日本国内の越境ECに対応したモールサイトに出品をしてアメ
リカの消費者に向けて商品を販売する方法
3アメリカ自社サイトアメリカにて自社サイトを構えてアメリカの消費者に向けて
商品を販売する方法
4アメリカECモールサイトアメリカのモールサイトに出品をしてアメリカの消費者に向
けて商品を販売する方法
5貿易型取引アメリカ側の輸入業者に対して貿易手続きを行いながらアメ
リカのECサイトやモールサイトで販売する方法
アメリカ越境ECの事業モデル例

アメリカ向けの越境ECを始める際の事業モデルとしては上記の5パターンが考えられます。

その中でもアメリカ向け越境ECに初進出する際におすすめの事業モデルは「2. 日本国内ECモールサイト」への出店、もしくは「3. アメリカECモールサイト」への出店になるでしょう。

日本国内のECモールサイトを通じて越境ECを行う場合は、なによりも簡単に海外消費者向けに販売・配送ができる点がメリットです。配送については国際配送のサービスがモールサイトのオプションとしてついているケースがあるので活用が可能です。一方で、あくまで日本国内消費者を対象とした出店の延長線で海外の消費者向けに販売する形になるので期待できる売上規模は他の事業モデルよりも劣ります。

次に、Amazon.com(USA)等のアメリカのモールサイトに出品して越境ECを行う場合は、アメリカで利用されているプラットフォームへの出品になるため売上の期待値は高くなります。しかし、各モールサイトの現地の運営会社とのやりとりが発生するため難易度は高くなるでしょう。

アメリカ向けの越境ECをはじめる場合は、まずは日本国内の越境ECに対応したモールサイトを活用して、運用の整理や商品の認知度が進んだ段階で次にアメリカ国内のモールサイトへの出店や自社サイトの開設を検討すると良いでしょう。

アメリカ越境ECの参入方法

アメリカ越境ECの参入方法について、おすすめの出店先やAmazonを使ったアメリカ向け越境ECの方法などを以下にまとめました。

アメリカ越境ECでおすすめの出店先

アメリカ向けに越境ECをはじめる際におすすめの出店先は以下の3モールです。

  1. Amazon
  2. Walmart
  3. eBay

特におすすめはAmazonであり、アメリカにおいて最も市場シェアが高いだけでなく、出店・出品のハードルが低いのが特長です。もっとも競争率が高いというデメリットはありますが、アメリカで越境ECをはじめる際は出店先としてAmazonからはじめてみると良いでしょう。

Walmartはオフラインでは世界最大の規模のスーパーマーケット大手の会社ですが、ECサイトも展開しており近年急成長をしています。Amazonほどのシェアはありませんが、言い換えると競合との競争もAmazonほど激しくないと言えますので、Walmartのユーザーとマッチした商材を取り扱っている事業者であれば選択肢に入るでしょう。

eBayについてはAmazonに続いてアメリカにて売上が高いモールサイトになっています。eBayについては日本法人があるので越境ECに関するサポートが充実しているのが特長です。初めて越境ECをはじめる方で特に不安が強い事業者におすすめの出店先となります。

Amazonを使ったアメリカ向け越境ECのはじめ方

Amazonを使ってアメリカ向け越境ECをはじめる方法について解説をしていきます。

  1. Amazon.co.jp(日本)にてグローバルセリングで販売する
  2. Amazon.com(アメリカ)にて販売をする

まず、大前提としてAmazonを使ってアメリカ向け越境ECをはじめる方法は「1. Amazon.co.jp(日本)Amazon.co.jp(日本)にてグローバルセリングで販売する」方法と、「2. Amazon.com(アメリカ)にて販売をする」方法の2種類があります。

すでにAmazon.co.jpで日本向けのアカウントを持っている場合は、グローバルセリングを使ってアメリカ向け越境ECをはじめてみるのが良いでしょう。その上でアメリカ向け越境ECに可能性を感じたタイミングでAmazon.comでアカウントを開設して移行する流れをおすすめします。

1.)Amazon.co.jp(日本)にてグローバルセリングで販売する

Amazon.co.jpには海外販売(越境EC)向けサービスである「グローバルセリング」という機能があります。

グローバルセリングを使えば、海外のAmazon利用者に対して商品を出品することができるようになります。1つのセラーセントラルで複数の国に対する商品の出品管理ができたり、言語に関しても自動切り替え機能があったりと便利なサポートが充実しています。

グローバルセリングを始めるにはまずはAmazon.co.jpのアカウントを作成する必要があります。その上で、Amazonのグローバルセリングのサービスページから登録を行うか、以下の通り、セラーセントラル管理画面から簡単にサービスを開始することができます。

  1. セラーセントラルにログイン
  2. 在庫 > グローバルセリング をクリック
  3. 出店先を選択する
  4. 今すぐ登録もしくはアカウントを関連付けるをクリック

2.)Amazon.com(アメリカ)にて販売をする

Amazonを使ってアメリカ向け越境ECをはじめる方法として、Amazon.co.jpのグローバルセリングの活用の他に、アメリカのAmazonであるAmazon.comでアカウントを開設する方法があります。

アメリカのAmazonであるAmazon.comにて出店用アカウント(セラーアカウント)を作成する手順は以下の通りです。

  1. Amazon.comにてユーザーアカウントを作成
  2. ユーザーアカウントから販売用のセラーアカウントを作成
  3. 大口出品か小口出品かを選択
  4. 納税情報を登録する
  5. 住所登録を行う
  6. 規約に同意をする

ユーザーアカウントの作成には名前・メールアドレス・パスワードが必要です。その上でセラーアカウントを作成する際は、名前・メールアドレス・住所・クレジットカード・電話番号・ショップ名の入力が求められます。

セラーアカウントを作成する際に「大口出品(Sell as Professional)」か「小口出品(Sell as Individual)」かを選択する費用があります。大口出品の場合は月額約40ドルの費用がかかり、小口出品の場合は月額料金はかかりませんが、1点売れるごとに約1ドルの販売手数料が発生します。

納税情報についても登録が必要ですが基本的には質問に答えていけば問題はありません。

アメリカ越境ECの注意点

アメリカという大きな市場に対する越境ECは魅力的ですが、海外への輸出・販売ということでいくつかの注意点があります。アメリカ向けの越境ECをはじめる際の主な注意点は以下の通りです。

  • 連邦法や州法によって輸出できる商品に規制や禁止事項が定められている
  • 為替の変動を念頭に置きながら販売価格を設定する必要がある
  • 大量の商品を輸出する場合は関税が課税される可能性がある
  • キャッシュレス決済が浸透しているため決済方法を準備する必要がある

特に関税については注意が必要です。アメリカにおいては関税の納税額が「輸入量×輸入価格」で決定される仕組みになっています。つまり、大量に商品を輸出する場合は関税が課税される可能性があるのでAmazonのFBAなどを活用する場合は対応しなくてはいけないケースがでてきます。また、関税の納税額については販売者が計算をして納税を行う必要があるためその手間も発生することを念頭においておきましょう。

アメリカ越境ECについてのまとめ

今回はアメリカ向け越境ECについて、市場規模から必要な事前準備、Amazonをはじめとした越境EC参入方法、注意点などを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。アメリカのマーケットは日本と比較しても非常に大きく、BtoB・BtoCともに魅力的な越境ECのターゲットです。紹介してきたようにいくつかの注意点などはありますが、しっかりと準備をして望めばアメリカ向けの越境ECについては他の国よりもハードル低く越境ECをはじめることができます。

この他にも当ブログでは越境ECやAmazonに関する情報をまとめていますので是非参考にしてください。

https://proteinum.co.jp/blog/%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96%e3%83%8e%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6/%e8%b6%8a%e5%a2%83ec%e3%81%ae%e5%a7%8b%e3%82%81%e6%96%b9
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Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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