ECサイトのブランディングとは?必要性と実践方法
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はじめに
こちらの記事では、ECサイトのブランディングについて説明していきます。
そもそもブランディングがよくわからないという方から、すでにブランディングに取り組んでいるものの、いまいち掴めていない、そんな方向けの記事です。
記事を読み終わるころには、ブランディングの定義から具体的な実施方法まで理解でき、あとは実行するだけ、というレベルにまで知識を獲得できるでしょう。
Contents [隠す]
1.ECサイトのブランディングとは?
ECサイトのブランディングとは、あなたのオンラインショップ(ECサイト)が他の競合と差別化され、顧客にとって「記憶に残る存在」になるようにイメージや体験を作り上げることを指します。ただ商品を販売するだけでなく、「このブランドだから買いたい」と感じてもらえるようにすることが目的です。
商品デザインやロゴ、プロモーション方法などはすべてブランディングの一環といえます。
通常の「ブランド」との違いは?
ほとんど同じです。通常の「ブランド」の違いは、オンラインでは商品に直接触れられないため、信頼性や視覚的な訴求力が特に重要になる点です。また、レビューや口コミがブランドイメージに大きく影響します。さらに、デザインやストーリーで顧客の感情を引きつける工夫が求められます。
選択肢が溢れるEC市場
ECサイトが成功を収めるためには、なぜブランディングが重要なのでしょうか。
その理由の一つは、選択肢が溢れる現在のEC市場の規模にあります。近年、日本のBtoC-EC市場は24.8兆円規模に達し、成長率も年々増加傾向にあります。さらに、楽天市場の国内流通総額が6兆円を超え、AmazonやYahoo!ショッピングを含む多くのモール型サイトが激しい競争を繰り広げています。この膨大な数のECサイトの中で、単に運営しているだけでは埋もれてしまい、差別化が困難です。そのため、ブランディングによって独自の価値を築くことが成功の鍵となります。
なぜブランディングが必要なのか?
ブランディングは、他社の商品やサービスとの差別化を図るための必要なマーケティング戦略ですが、その本当の価値はそれ以上にあります。競争が激しさを増し、選択肢が多様化しているEC市場では、ブランディングは単なる差別化だけでなく、価格競争から脱却し、持続可能なビジネスモデルを構築するための強力な手段でもあります。
ECサイトでユーザーが最初に注目するのは価格ですが、価格競争に巻き込まれると、利益確保が難しくなり、価格以外の魅力を伝えるチャンスを失います。「安いから買う」という理由では、顧客はすぐに他の安いサイトに流れ、リピート率や利益率が低下するリスクがあります。
そこで、ブランディングが重要になります。強いブランドは価格以外の価値を提供し、信頼や独自の魅力で顧客との関係を築きます。多少高額でも「このブランドなら信頼できる」と思わせることができれば、価格競争を避け、安定した収益を確保できます。
ブランディングのメリットは?
ECサイトでブランディングを行うことには多くのメリットがあります。まず、しっかりとしたブランドが確立されることで、顧客の信頼を得やすくなり、リピーターやファンを獲得できます。これにより、安定した売上の確保が可能になります。次に、ブランドの認知度が上がると、価格競争に巻き込まれることなく、自社の商品やサービスの価値を強調することができます。これが、価格以上の付加価値を提供する結果となり、他の競合との差別化が可能となります。また、ブランドが確立されることで、新規顧客の獲得だけでなく、社員やパートナーからの信頼も得やすくなり、企業全体の成長にも寄与します。
2.ECサイトのブランディングの注意点
ECサイトのブランディングにおいては、まず明確なブランドアイデンティティを確立することが重要です。曖昧なメッセージや方向性では消費者に伝わらず、逆に混乱を招いてしまいます。また、ブランドの価値を示すためには、サイト運営がしっかりしていることが不可欠です。デザインや操作性が優れていても、実際のショッピング体験が悪ければブランドの信頼性も損なわれます。加えて、どんなに良いブランド戦略を持っていても、サイト自体を認知してもらう努力がなければ意味がありません。SEO対策やSNS、広告などでブランドの認知度を高め、ターゲットにしっかり届けることが大切です。
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3.ECサイトで目指すべきブランドの状態
「炭酸水」と聞いたときに、あなたはどのような商品を思い浮かべますか?「コカ・コーラ」ですか?「三ツ矢サイダー」ですか?何かしらのブランドが思い浮かぶと思います。このように「ある言葉を聞いたときに自社ブランドが想起される」状態を目指すべきです。
そんなことはわかっているよ、という声が聞こえてきそうなので、具体的にどういった施策を実施すべきか、後述していきます。
4.ECサイトのブランディングの考え方
具体的な施策に入る前に、基本的な考え方について説明していきます。
ECのブランディングの考え方とは、「あらゆる顧客接点でブランドの哲学につながる顧客体験を設計し、プロモーションにより伝えること」です。
リアル店舗での購買体験がないため、ECならではの顧客体験設計が必要になります。
ECで商品を購入する際、消費者はどのようなプロセスを辿るでしょうか?
通常以下の流れが想定できるでしょう。
- 商品認知
- 商品選定
- 商品購入
- 商品到着
- 商品の開封
- 商品利用の準備
- 商品利用
- 商品の片付け
- 友人への商品紹介
- リピート購入
それぞれのプロセスで、どのような顧客体験があるでしょうか?ものすごい数のアクションがあるでしょう。
それぞれについて考えると、例えば以下があります。
- 商品認知
- TVCM、WEB広告、リアル店舗
- 商品選定
- 商品ページ、商品パッケージ、商品説明、こだわり、など
- 商品購入
- カートへの商品投入、購入手続き、決済手段
- 商品到着
- 配送の速さ、配送の丁寧さ
- 商品の開封
- 梱包資材、商品の箱の印象、箱の開封のしやすさ、オマケ
- 商品利用の準備
- 準備の簡単さ、準備の楽しみ、説明書のデザイン・わかりやすさ
- 商品利用
- 日常的な利用のしやすさ、置いたときのデザイン性、商品自体に期待される有用性
- 商品の片付け
- 片付けのしやすさ、リサイクルへの対応
- 友人への商品紹介
- 映えやすさ、話したくなる特徴、SDGs
- リピート購入
- APP制作、リピートしやすいサイト設計
上記の前提を踏まえ、商品のブランドを設計していきましょう。
5.ECサイトのブランディングの具体的な実践方法
ブランドの設計からブランドの伝達方法までを説明していきます。
読んでいただくだけだと、何となく分かった気になるだけで、身につかないので、読んだ後、ご自身ですぐに実践してみてください。
紙に書くだけでも、ずいぶん違います。
①ブランドコンセプトの設計
ブランドコンセプトは外部環境の分析と自社として発信したいメッセージの掛け合わせでつくることができます。以下の手順で検討するとよいでしょう。
- 市場分析:3C分析、PEST分析、4P分析、といったフレームワークを活用すると、抜け漏れなく分析できます
- 競合比較:競合他社がどのようなブランドの位置づけで商品販売しているか、コンセプト、価格帯、品質などを軸に比較調査しましょう
- 自社商品ラインナップの特徴:自社商品の強み、弱みを把握し、どのようなブランドにするのがよいかの参考材料としましょう
- ターゲットペルソナの設定:ターゲットとする消費者層を設定しましょう。設定しないと詳細サービス設計がぶれてきます
- 自社ブランドをどのようなポジションに位置づけたいか:高単価で高品質な商品とするか、低単価で低品質な商品とするか、低単価で高品質な商品とするか、といったポジショニングを検討します。
②競合他社と比較
競合のブランド戦略を分析することで、自サイトの強みや差別化できるポイントが明確になります。
競合他社を特定する
まず最初に、競合他社を特定しましょう。同じ業界やカテゴリーで商品を提供しているサイトをピックアップし、競争相手として意識します。直接的な競合だけでなく、間接的な競合も含めると、より広い視野で比較ができます。
競合サイトの強みと弱みを分析
競合他社のサイトを徹底的に分析します。デザインやユーザー体験、商品ページの作り、価格設定、マーケティング戦略など、あらゆる面をチェックしましょう。競合がどのように顧客を引きつけているのか、その魅力を理解することが大切です。また、競合の弱点を見つけ出すことも重要で、これらは自サイトの差別化のチャンスとなります。
競合のブランディング要素を確認
競合がどのようにブランドイメージを形成しているかを見てみましょう。ロゴやカラー、フォント、トーン・オブ・ボイス(声のトーン)など、ブランドの視覚的・言語的な要素をチェックします。これらの要素を参考にし、自サイトの個性をどう強調できるかを考えます。
競合と自サイトの差別化ポイントを明確にする
競合他社を分析した後は、どこで自サイトが差別化できるのかを考えます。競合と同じような商品やサービスを提供していても、ブランドの伝え方や顧客へのアプローチ方法を変えるだけで、印象が大きく異なります。例えば、ターゲット層を細かく設定したり、ユニークなブランドストーリーを伝えたりすることで、他のサイトとの差別化が可能です。
競合分析を反映した戦略を立てる
最後に、競合分析を元に自サイトのブランディング戦略を立てます。自サイトが持つ強みを前面に出し、競合が取り組んでいないニッチな部分に焦点を当てることが有効です。また、競合が失敗しているポイントを補強することで、より魅力的なサイトを作り上げることができます。
③ブランドアイデンティティ
ブランドアイデンティティとは、「顧客に持ってもらいたい企業イメージ」のことでブランドアイデンティティを決める際に、効果的なアプローチがあります。その一つが「STP分析」です。STP分析は、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップを通じて、ブランドアイデンティティをより具体的に定義する方法です。以下、STP分析を使ったブランドアイデンティティの決定方法を説明します。
セグメンテーション(市場の細分化)
まず、市場をさまざまな基準で細分化します。例えば、年齢層や性別、所得層、地域、ライフスタイルなどに基づいて市場を分類します。これにより、自社がターゲットにするべき具体的な顧客層を明確にすることができます。
ターゲティング(ターゲット市場の選定)
次に、細分化された市場の中から自社がターゲットにするべきセグメントを選びます。この段階で重要なのは、自社が提供する製品やサービスが、そのターゲット市場に最適であることを確認することです。ターゲット市場を選定する際には、その市場が十分に大きく、かつ競争優位を発揮できることがポイントです。
ポジショニング(ブランドの位置付け)
最後に、自社のブランドがターゲット市場内でどのように位置付けられるかを決定します。ポジショニングとは、消費者の心の中で自社のブランドをどのように位置づけたいかを明確にすることです。この段階で、競合他社との差別化ポイントを明確にし、ブランドアイデンティティを強化します。たとえば、「高品質」「お手頃価格」「エコ志向」など、顧客が自社ブランドをどのように認識するかを定義します。
④ブランドコンセプトの顧客体験設計
①で設定したブランドコンセプトに合わせて、先ほど紹介したプロセスごとにどのような顧客体験を提供すべきか考えましょう。
例えば、Appleは言わずもがなブランディングで有名ですが、製品のあらゆる部分に顧客体験の提供が意図されています。
あの箱を開けるときのスーっという感覚、iphoneユーザーなら覚えていると思います。あの感覚すらも意図して設計されたものだと考えると「すごい」の一言です。
一度にすべてを実現するのは難しいので、商品に関わる部分から徐々に周りのサービスに設計範囲を広げていきましょう。
⑤ブランドを維持するための組織づくり
様々なプロセスがあるため、色んな人がそれぞれの想いに沿った動きをしてしまうとブランドに一貫性を持たせるのは非常に難しいです。そのため、ブランドを体現する一貫性のある施策を実施し続けるための仕組みが必要です。
組織としてブランドチェックできるよう、ブランドを管理する人を置きましょう。最近の流行りとしては、CDO(Chief Design Officer)を置くといったことがあります。新たな施策を実施する際、逐一ブランドの整合性を崩さないか、チェックを入れる役割を担ってもらいましょう。
まとめ
ECにおけるブランディングについて説明してきましたが、いかがでしょうか?
最後にまとめておきます。
- ブランディングとは:「このブランドだから買いたい」と感じてもらえるようにすること
- 目指すべきブランドの状態:ある言葉を聞いたときに自社ブランドが想起される状態
- ECにおけるブランディングの考え方:あらゆる顧客接点でブランドの哲学につながる顧客体験を設計し、プロモーションにより伝える
- ECにおけるブランディングの実施方法:ブランドコンセプトの設計、プロセスごとの顧客体験設計
- ブランドを維持するための組織づくり:ブランド管理者の設置
ぜひブランディングへの取組を始めてみてください。
その他のEC売り上げアップの方法については、下記記事で詳しく解説しているので読んでみてください。