薬機法違反の広告表現違反とは?注意すべきポイントやコツを解説

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医薬品や化粧品を取り扱う広告担当者が必ず頭に入れておきたいのが「薬機法(旧:薬事法)」です。薬機法は医薬品や医療機器の製造から販売する際の表示まで、幅広く適用されます。医薬品や健康食品・サプリメントの商材の虚偽・誇大広告から消費者を守るための法律ですが、その取り締まりは年々厳しくなっています。2021年8月からは課徴金制度が始まり、処罰の対象も増えて更に違反に厳しくなりました。
この記事では、WebサイトやWeb広告で商品を販売する上で必要な知識である、薬機法の基本的な内容や気を付けるべき点について解説します。
Contents
1.薬機法(旧:薬事法)とは?
薬機法の正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言い、2014年11月にそれまでの薬事法が改正されて施行されました。
冒頭でも述べましたが、2021年8月に一部内容が改正され、違反への厳罰化が行われました。
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療用具を取り扱う事業者が従うことになっています。医薬品や医療機器は消費者の健康に直接影響を与えるので、厳しい決まりが設定されています。この法律では、広告についての規制が定められており、広告主や広告代理店はこれに合わせたマーケティングを行う必要があります。
インフルエンサーの投稿であっても、商品の名称をPRのために表示している投稿は、広告であるとみなされます。薬機法は、インフルエンサーマーケティングにも関与している法律と言えるのです。
1-1.広告、LP・商品ページにおける薬機法(旧:薬事法)の役割
薬機法には、はっきりとした目的があります。広告において適切な製造や表示がされず消費者への誤解を招いてしまえば医薬品等は、人体に悪い影響を及ぼす可能性があります。そのため、過剰な表現や虚偽の内容で広告を打ち出すことは、薬機法では禁止されており、厳しい罰が定められています。
・第10章第66〜68条「医薬品等の広告」
・第66条「誇大広告の禁止」
・第67条「特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限」
・第68条「承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止」
など広告の規制について記載されている条文があります。
1-2.薬機法(旧:薬事法)の対象となる商品
薬機法は医薬品等の質や有効性、安全性を保って、保健衛生上の危害を予防する目的があります。
薬機法の対象となるのは、直接規定されている医薬品や化粧品に加えて、健康食品、医療機器、医薬部外品、健康器具、美容器具なども「医薬品的効果効能」をうたってしまうと、薬機法の規制対象となります。
「医薬品的効能効果」とは、医薬品のように見える表現のことです。たとえば、「肝臓回復」「血糖値が気になる方に」「白髪解消」などの表現を、健康食品に使うと違反となります。広告の原稿には、より商品をアピールするために目を引くキャッチコピーを使いたいところですが、薬機法の範囲内の表現にする必要があります。
2.薬機法(旧:薬事法)で広告表現が規制される理由
なぜ薬機法で広告表現が規制されているのでしょうか?
薬機法には以下の目的があり、法律で定められています。
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
引用元:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
つまり、医薬品などは人体への影響が大きく、人の健康や生死に関わるため、誤った使われ方がされないよう薬機法が定められているということです。
薬機法は広告表現においても目的は同じで、消費者の安全を守るために、効果・効能の誤認を招かないよう規制が設けられているのです。
3.薬機法(旧:薬事法)の広告規制
薬機法が設けられている理由はここまでで説明した通りですが、具体的には以下のような内容が定められています。
虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)
医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能などに関して、明示的・暗示的を問わず、虚偽・誇大な広告を行うことは禁止されています。
承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)
承認を受けていない医薬品等について、名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を行うことは禁止されています。
たとえば、化粧品や健康食品にもかかわらず、医薬品的な効能効果を謳うことはできません。承認を受けていない効能効果を謳うと、「未承認の医薬品の広告」とみなされてしまいます。
このように、薬機法では広告表現において禁止事項が設けられています。
上記の他に、薬機法で認められている表現の範囲など、具体的な広告表現のルールに関しては「医薬品等適正広告基準」というガイドラインで定められているので確認しておくといいでしょう。
参考:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(厚生労働省)
4.薬機法(旧:薬事法)違反した場合の罰則
薬機法に違反すると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、もしくはその両者が科せられます。
また、2021年に行われた薬機法の一部改正によって、課徴金制度が導入され、違反した広告表現を使用していた期間中に対象商品が売れていたら、売上高のうち4.5%が課徴金として徴収されるようになりました。
この他、行政処分(業務停止命令など)により会社の信用が失われたり、経営に損害が及ぶなどのリスクもあるため、薬機法に違反した広告表現を使わず、適切に商品を宣伝するように注意しましょう。
5.薬機法(旧:薬事法)違反に該当する広告表現
5-1.疾病の治療、予防効果を目的とした表現
疾病の治療、予防効果があるように誤認させる表現は、医薬品的な効能効果とみなされるため使用できません。
「あせもが治る」「特定の病気が治る」などといった表現の使用はNGとなります。行政指導や禁固刑を受けるケースもあります。
5-2.身体の機能増強や増進を目的とした表現
同じ製品の使用した場合、人によって効果効能が異なる表現は消費者に誤解を招く可能性があるため、「ダイエットに効果的」「便秘予防に効果的」などの表現には注意しましょう。
6.【商品別】薬機法(旧:薬事法)における広告表現
6-1.医薬品広告の表現における薬機法(旧:薬事法)
医薬品は、その製品が承認を受けた効能効果であれば訴求内容として謳うことが可能です。
逆にいうと、医薬品であってもその製品が承認を受けていない効能効果を訴求することはできません。
例えば、薬局製剤品目の広告の場合、「よく効く」「しっかり治す」などの強調表現は、保証的な表現になってしまい使うことはできませんが、単に「治す」等の表現であれば、その製品が承認を受けた効能効果であれば使うことが可能です。
6-2.化粧品広告の表現における薬機法(旧:薬事法)
化粧品も薬機法の規制対象です。そのため、製造方法や成分、効果効能を宣伝することや、医薬関係者の推薦文を広告に使うことはできません。
例えば、洗顔料の広告の場合、「○○で赤ちゃんのようなお肌へ」などの表現は使うことはできませんが、「○○でハリ・ツヤのあるお肌へ」のような表現であれば使うことが可能です。
化粧品の広告を行う場合は、「化粧品の効能の範囲」を必ず確認しておきましょう。
また、化粧品の販売については、下記記事で詳しく解説しているので合わせて参考にしてください。
6-3.健康食品・サプリメント広告表現における薬機法(旧:薬事法)
健康食品・サプリメントは医薬品ではなく、「一般食品」に該当するため、健康を促進する、健康を維持するなどを訴求することは問題ありませんが、医薬品的な効能効果を訴求内容として使おうとすると薬機法違反となります。
具体的には、「便秘が治る」「免疫力アップ」等が挙げられます。
6-4.医療機器広告表現における薬機法(旧:薬事法)
ペースメーカーや電動マッサージ器、眼鏡などの医療機器にも薬機法の規制対象となっており、人体に与える影響によってクラス分類がされています。
医療機器は、厚生労働大臣から承認を得た効能・効果であれば表現が可能となっており、名称や製造方法、操作方法などに関する表現も承認を受けた範囲内で表現が可能です。
例えば、コンタクトレンズの広告の場合、「ドライアイでも使える目にやさしいレンズ」などの表現は使うことはできませんが、「乾燥しづらくやわらかい付け心地のレンズ」のような表現であれば使うことが可能です。
7.薬機法(旧:薬事法)違反を防ぐ広告表現のポイント
薬機法に違反しない広告表現を作るためのポイントとしては、大きく以下2点を押さえておきましょう。
薬機法だけではなく、ガイドラインも確認する
薬機法に違反しないためには、薬機法そのものだけでなく、「医薬品等適正広告基準」など、厚生労働省が公表している、薬機法の広告に関するガイドラインもしっかり理解しておくことが基本となります。
薬機法に関する最新の情報収集する
薬機法や広告のガイドラインを確認するだけでなく、薬機法に関わる最新の動きを収集しておくことも重要となります。
国や医薬品等の各業界団体などが発信している情報や、薬機法関連のニュースも細かくチェックし、常に最新の情報を持っておくと安心です。
8.薬機法(旧:薬事法)に準拠した広告表現の言い換えを習得する
これまでにも述べたように、広告表現チェックツールは簡便に利用できる反面、薬機法の最新の改正や行政の通知などに完全に対応しきれていない場合があります。そのため、ツールによって提示される代替表現も、やや一般的・形式的なものにとどまる傾向があります。
そうした背景から、薬機法に触れない表現の工夫や適切な言い換えを自ら学習したり、「言い換え表現集」といった資料を活用する方法も、有効な対策の一つとなります。
8-1.メリット
- 薬機法を理解するために一定の学習時間や費用(初期コスト)はかかるものの、「チェックツール」や「専門家による表現確認サービス」を継続的に利用する場合と比較すると、長期的にはコストを抑えられる可能性が高い。
8-2.デメリット
- 実際に薬機法のルールを学び、広告文の適否を自分で判断する必要があるため、社内リソース(人材・時間)を要する。
- 法律に精通した専門家による監修と比較すると、表現の正確性や安全性の面でやや劣ることがある。
9.薬機法(旧:薬事法)の表現チェックに使えるツール
薬機法について、自分たちの判断には不安がある場合、薬機法に特化した表現チェックツールが便利です。広告表現チェックツールを使うことで、薬機法違反となる箇所を迅速に特定、修正することができるのため、より効率的な運用が可能となるでしょう。
ただし薬機法の最新の変更が反映されていない、一般的な表現になるため訴求力が弱まるなどデメリットもあるので人の目とあわせてしようすることをおすすめします。
こちらではおすすめのツールをいくつかご紹介します。
9-1.薬事法 広告表現チェックツール

ユーザー登録など一切不要で、誰でも無料で利用できます。使いたい広告表現に対し、薬事法に抵触していないかのチェックが簡単にできる、広告表現チェックツールです。
薬機法の広告表現チェックは、化粧品(薬用化粧品を含む)と健康食品の2分野に対応。
ツールURL:http://check.yakujimarke.jp
9-2.KONOHA

コスメ・健康食品の広告文を自動でチェックでき、広告審査通過率を上げられます。これまでに蓄積した薬機法や経費品表示法に関する単語から、安定した広告チェックができます。
チャットツールも搭載されており、広告チェックツールと併用すると良いでしょう。1回のみ無料で使えます。
ツールURL:https://free.konohacheck.com/
10.専門家による「広告表現チェックサービス」の活用
広告の表現が薬機法に抵触していないかを判断するには、法令そのものだけでなく、国や行政機関が発信する通知やガイドラインなどの関連情報も把握しておく必要があります。
しかし、こうした情報を網羅的に理解するには専門的な知識が求められ、一般の担当者が対応するのは簡単ではありません。
薬機法違反を未然に防ぐための確実な対策としては、薬機法に精通した専門家が提供する「広告表現チェックサービス」の利用が有効です。
このサービスでは、広告表現が法令に適合しているかを専門家が詳細に確認し、必要があれば修正方法の提案まで行ってくれます。
10-1.利用するメリット
- 自社内で専門知識を持った人材を用意する必要がなく、リソースを抑えられる
- 薬機法だけでなく、景品表示法や健康増進法など、広告に関わる複数の法令に対応したチェックが期待できる
- 法令違反となる表現の指摘にとどまらず、訴求力を保ったままの代替表現を提案してもらえるケースもある
10-2.利用時のデメリット
- サービス利用にはコストが発生する
11.薬機法(旧:薬事法)についてマトメ
薬機法(旧:薬事法)についてお話ししてきました。薬機法で定められているルールはとても複雑で、誤った解釈のまま商品やサービスを販売すると、薬機法違反で行政指導や禁固刑などのペナルティを受けることになります。 薬事法に関係するビジネスには法律に抵触するといったリスクもあるため、薬機法チェックサービスの利用が有効です。ぜひ自社に合った薬機法チェックサービスを導入し、法律を厳守した健全な広告の取り扱いを目指しましょう。

株式会社Proteinum 代表取締役