Amazon広告のイベント配分で売上YoY約1.3倍に改善した事例

株式会社Proteinum ECコンサルタントマネージャー
「広告費はしっかり使っているのに、思うように売上が伸びない」——Amazon運用に携わる方なら、一度はこう感じたことがあるのではないでしょうか。実は、広告予算を“いくら使うか”だけでなく“いつ使うか”という配分の設計次第で、成果は大きく変わります。
この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、Amazon広告のイベント配分について解説します。プライムデーなどのセール期間に広告費を集中させた実際の改善事例をもとに、今日から見直せる予算設計のポイントをお伝えします。
Contents
「広告費は使っているのに売上が伸びない」原因は配分にあるかもしれません
Amazon運用の現場では、「広告費の総額は前年と変わらないのに、売上だけが落ちている」というご相談を多くいただきます。広告アカウントの管理画面を見ても、配信は止まっておらず、予算もきちんと消化されている。それなのに成果が出ない——この状態は、多くのEC担当者が一度は経験する悩みではないでしょうか。
こうしたケースでは、広告の「クリエイティブ」や「入札単価」よりも先に、予算を“どのタイミングに割り当てているか”を疑う価値があります。特にAmazonは、プライムデーやプライム感謝祭といった大型イベントの集客力が非常に大きいため、同じ広告費でも投下するタイミング次第で得られる売上が何倍も変わってきます。
本記事では、イベント日への広告費集中という一点を見直しただけで、月次売上を前年同月比で約1.3倍まで改善した事例をご紹介します。難しい新ツールの導入や大幅な予算増額は行っていません。あくまで「すでにある予算をどう配るか」の調整が軸です。
▼Amazon広告の予算設計について、動画でも詳しく解説しています▼
Amazon広告で「イベント配分」が重要になる理由
イベント日はセッションもCVRも大きく跳ね上がる
Amazonの大型セール期間は、普段よりも圧倒的に多くの買い物客がサイトを訪れます。今回の事例でも、イベント期間中のセッション数(訪問数)は平常時のおよそ2〜3倍に増え、購入率を示すCVR(コンバージョン率=訪問のうち購入に至った割合)も、平常時の5%前後に対しイベント日は8〜12%程度まで上昇していました。
つまりイベント日は、「買う気のあるお客様が、普段より多く・買いやすい状態で訪れている」タイミングです。ここに広告費を寄せれば、同じ1円でも投資対効果は大きく高まります。逆に、この“稼ぎ時”に広告の露出が薄いと、せっかくの需要を取りこぼすことになります。
「広告費の前倒し消化」という落とし穴
ところが実務では、これと正反対の状態が起きがちです。月初から平常運転で配信を続けた結果、イベントが始まる前に月の広告予算をほぼ使い切ってしまうケースです。
イベント直前は「セールに備えて何を買おうか」と情報収集する人が増えるため、クリックは集まりやすく、広告費も伸びやすくなります。そこで予算を消化しきってしまうと、実際に購買が最も活発になるイベント本番では広告の露出が落ち、最も成果が出るはずの数日間をほぼ無風で過ごしてしまうのです。次の章で紹介する事例の「改善前」が、まさにこの状態でした。
【事例】イベント日への広告費集中で売上YoY約1.3倍に
ここからは、Amazonに複数商品を展開するある店舗様の事例を、データを一部ぼかしたうえでご紹介します。
改善前の状況・課題
弊社が支援に入る前のある大型セール月のデータを見ると、広告費の日次消化額はセールが始まる「前」にピークを迎え、肝心のセール期間中はほぼ底値まで落ち込んでいました。準備期間に予算を使い切ってしまい、最も購買が活発な本番では露出を確保できていなかったのです。
この時期の状態を整理すると、次のような課題がありました。
- イベント本番の広告露出が薄く、跳ね上がった需要を取り込めていない
- 月次の売上は前年割れ(前年同月比でマイナス15〜20%程度)が続いていた
- 広告経由の売上比率は全体の2割程度にとどまっていた
「広告は止めていないのに前年を割っている」という、まさに冒頭の悩みそのものの状況でした。
実施した施策の内容
弊社が行ったのは、予算の総額を大きく増やすことではなく、配分のタイミングを需要のピークに合わせて組み替えることでした。具体的には次の3点です。
- イベント期間と非イベント期間を明確に切り分け、平常時の広告費をやや抑えて原資を確保
- 確保した原資を、先行セール初日と本セール期間に集中投下(イベント日の日次広告費を平常時のおよそ3〜4倍まで引き上げ)
- イベント前の“情報収集フェーズ”での過剰消化を抑え、本番にピークが来るよう日次の上限を調整
ポイントは、闇雲に増額したわけではないという点です。「使う総額」はほぼ据え置きのまま、「使う日」をずらしただけで、成果の出方が大きく変わりました。
改善後の成果・数値変化
配分を見直した直近のセール月では、先行セール初日と本セール最終日に売上が平常時のおよそ3〜5倍まで伸び、グラフ上でもはっきりとした山ができました。主要指標の変化は以下の通りです。
| 指標 | 改善前(あるセール月) | 改善後(直近セール月) |
|---|---|---|
| 月次売上(前年同月比) | 前年割れ(▲15〜20%程度) | 約1.3倍(+30%前後) |
| 月商水準 | — | 直近2年で2番目の高水準 |
| CVR | 5%台前半 | 7%台後半(直近1年で最高水準) |
| 月次ROAS | 300%前後 | 400%超 |
| 広告経由売上比率 | 2割程度 | 4割前後 |
| イベント本番の広告露出 | ほぼ底値 | ピークに集中 |
※実数値はクライアント保護のため、比率・レンジ・概数に加工しています。傾向は実データを反映しています。
特に注目していただきたいのは、CVRが直近1年で最高水準まで上がった点です。これは「買う気のあるお客様が多いイベント日」に広告露出を厚くしたことで、広告の費用対効果そのものが底上げされた結果だと考えられます。なお年間で見ると、支援前半は前年割れが続いていましたが、イベント配分を軸に運用を立て直した後半は前年比プラスに転換し、ある月は前年同月比で約1.5倍まで伸長しました。
事例から学べるAmazon広告のイベント配分3つのコツ
ここまでの事例を、自社の運用に応用するための具体的なポイントに落とし込みます。
コツ1:まず「いつ・いくら使っているか」を日次で可視化する
多くの場合、問題は「月の合計広告費」を見ているだけでは気づけません。日次の広告消化額と売上を並べて可視化し、イベント本番に露出のピークが来ているかを確認しましょう。前倒し消化が起きていれば、グラフの山が本番より手前にズレているはずです。
コツ2:イベント期間と非イベント期間を切り分けて考える
「月単位の平均」で見ると、イベントの効果も平常時の停滞も平均化されて見えなくなります。期間を切り分けて評価することで、どこに予算を寄せるべきか、どの施策が本当に効いたのかが正確に判断できます。これはAmazonに限らず、イベント波及の大きいモール運用全般で有効な考え方です。
コツ3:増額より先に「配分の組み替え」を検討する
成果が出ないとき、つい広告費の増額を考えがちです。しかし今回の事例のように、総額は変えずに配分を最適化するだけで成果が大きく動くこともあります。増額はその効果を見極めてからでも遅くありません。
よくある失敗パターン・注意点
イベント配分は効果が大きい一方で、いくつか注意したい落とし穴もあります。
- イベント直前に予算を使い切ってしまう:情報収集需要でクリックが伸びやすい時期のため、上限設定を怠ると本番前に消化しきってしまいます。
- イベント当日の急な増額に在庫が追いつかない:売上が伸びても在庫切れを起こせば機会損失になります。広告配分と在庫計画はセットで考える必要があります。
- イベント効果と通常施策の効果を混同する:イベント月の好調をそのまま実力と捉えると、平常月の課題を見落とします。期間を分けて冷静に評価しましょう。
- 配分変更の効果を1回で判断する:単月・単一イベントの結果には、その時々の市況やセール規模の影響も含まれます。複数回の検証を重ねて再現性を確認することをおすすめします。
まとめ
最後に、本記事の要点を整理します。
- Amazonのイベント日はセッションもCVRも大きく跳ね上がるため、広告費を寄せると費用対効果が高まりやすい
- 一方でイベント前の予算前倒し消化により、本番で露出が薄くなる失敗が起きがち
- 今回の事例では、総額をほぼ変えずに配分のタイミングを需要のピークへ組み替えた結果、月次売上が前年同月比で約1.3倍、CVRは直近1年で最高水準まで改善した
- 応用の第一歩は、日次での可視化とイベント期間/非イベント期間の切り分け
広告費の「総額」を見直す前に、まずは「いつ使っているか」を確認してみてください。配分の組み替えは、追加予算なしで取り組める改善施策です。
「広告費は使っているのに売上が伸びない」「イベントのたびに成果がブレる」「何から改善すればいいか分からない」「やりたいことはあるが手が回らず困っている」
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