商品リニューアルでCVR約2倍を実現|楽天サプリ店舗の成分強化事例

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

慶応義塾大学を卒業後、楽天グループ株式会社に入社。ECコンサルタントとして、ショップオブザイヤー受賞店舗を含むのべ700店舗以上を支援。その後、小売業を中心に経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、EC戦略策定・実行支援など)し、株式会社Proteinum(プロテーナム)を創業。
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。

「商品をリニューアルしてもCVR(コンバージョン率)は本当に上がるのか?」
「リニューアル投資に見合うリターンが得られるのか不安」
――こうした悩みを抱える楽天市場のEC担当者は多いのではないでしょうか。

本記事では、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、楽天市場で展開するサプリメント店舗において成分強化リニューアルを実施し、5と0のつく日(5/0倍数日)の売上が約+17%、主力商品のCVRが前年同月比で約2倍に伸びた事例を取り上げます。

商品リニューアルがCVRに与えるインパクトと、その効果を正しく検証するための分析手法について解説しますので、読み終える頃には、自社の商品リニューアル施策をどう設計し、どう評価すれば良いかの判断軸が手に入るはずです。

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商品リニューアルでCVRは本当に上がるのか?担当者が抱える悩み

楽天市場で店舗運営をしていると、売上が一定水準で頭打ちになる場面に必ず直面します。アクセス数を増やすために広告予算を投入しても、CVRが伸びなければ費用対効果(ROAS)は改善しません。そこで多くの店舗が検討するのが「商品そのもののリニューアル」です。

ただ、商品リニューアルには成分の見直しや原材料の変更、パッケージ刷新、商品ページの全面リライトなど、相応のコストと工数がかかります。「投資した分のリターンが本当に得られるのか」「リニューアル後の数値変化は本当にリニューアルの効果なのか」――こうした疑問を抱えながら、なかなか踏み切れない担当者も少なくないはずです。

実際、商品リニューアルの効果検証は意外と難しく、単純な前後比較では見えない落とし穴がいくつもあります。本記事では、実際の楽天店舗事例をもとに、リニューアルがCVRに与えるインパクトと、その効果を正しく切り分けるための分析手法を解説していきます。

商品リニューアル(成分強化)がCVRに影響を与える主な理由

まず前提として、なぜ商品リニューアル、特にサプリメントなどヘルスケア商品における「成分強化」がCVRに影響を与えやすいのかを整理しておきましょう。

商品ページの訴求軸が刷新される

成分追加や処方変更を行うと、商品ページの訴求ポイントが新しくなります。「○○成分を新配合」「従来比△倍の含有量」といった具体的な訴求は、購入を迷っている検討層に対して強い後押しとなります。特にサプリメントのような「効果実感が見えにくい商材」では、成分の充実度がそのまま商品の価値訴求につながります。

競合との差別化要素が増える

楽天市場のサプリメントカテゴリは競合が多く、価格や送料、ポイント還元だけでは差別化が難しい領域です。成分や処方面での優位性は、価格競争に巻き込まれにくい強い差別化要素となり、検索結果や比較検討段階でユーザーに選ばれる確率を引き上げます。

新規顧客への訴求力強化

既存ユーザーだけでなく、新たに商品を検討するユーザーに対しても、リニューアルは「新しい商品」として認知されるきっかけになります。後ほど紹介する事例でも、リニューアル後に新規購入者数が約+39%増加するなど、新規獲得への波及効果が確認されています。

【事例】楽天サプリメント店舗での商品リニューアル効果検証

ここからは、実際に弊社が支援した楽天市場のサプリメント店舗(仮にC店舗とします)での商品リニューアル事例を、匿名化したうえで詳しくご紹介します。社内では成分強化プロジェクトを呼称しており、対象は同店舗の主力サプリメント商品群(30日分・60日分・90日分の単品およびセット商品)です。

改善前の状況・抱えていた課題

C店舗は楽天市場でサプリメントを展開する月商数千万円規模の店舗で、主力商品のシリーズ展開を行っていました。アクセス数は安定していたものの、以下の課題を抱えていました。

  • 同カテゴリの競合商品が成分面で強化された商品を投入してきており、相対的な訴求力が低下
  • 商品ページの訴求軸が古く、特に新規ユーザーのCVRが伸び悩み
  • 5/0倍数日(楽天市場で5と0のつく日はポイント還元が増えるイベント日)の売上は確保できているが、伸びしろは限定的

そこで、商品自体の成分強化と、それに合わせた商品ページの訴求刷新を一体で実施する方針を決定しました。

実施した施策の内容

施策は大きく以下の3つを軸に進めました。

  1. 主力商品群の成分強化:従来処方に新たな成分を追加し、商品としての価値を底上げ
  2. 商品ページの訴求刷新:追加成分の効能や配合量を、ユーザーが直感的に理解できるビジュアル設計に変更。比較表やQ&Aの再構成も実施
  3. 3月24日にリニューアル版を切り替え:リニューアル前後の比較がしやすいタイミングを選定

ポイントは、「成分強化」という商品自体の改善と、「ページ訴求」という見せ方の改善をセットで行ったことです。どちらか片方だけでは、CVRに与えるインパクトは限定的だったと考えられます。

改善後の成果(同月内Before/After比較)

3月24日のリニューアル前後で、同月内・同条件で売上とCVRを比較しました。楽天市場では5/0倍数日のような「イベント日」と「通常日」で購買行動が大きく異なるため、両者を分けて分析しているのがポイントです。

区分期間売上/日(平均)CVR(平均)差分
5/0倍数日リニューアル前(3月の該当2日間)約235万円約20.5%
5/0倍数日リニューアル後(3月の該当2日間)約275万円約24.8%売上+約17% / CVR+約4pt
非イベント通常日リニューアル前(13日間)約116万円
非イベント通常日リニューアル後(6日間)約125万円売上+約8%

イベント日・通常日のいずれもリニューアル後の売上が向上しており、特に5/0倍数日のCVRが約+4pt改善した点は大きな成果と言えます。ただし3月は前半にスーパーセール(SS)期間があり、SS期間前後はCVRや売上が下がりやすい傾向があるため、その期間は除外して比較しています。

前年同月比で見た主力商品のCVR変化

同月内比較だけでは、季節要因や直前のイベント影響を完全には排除できません。そこで、リニューアル翌月(4月)の数値を前年同月(前年4月)と比較しました。

商品区分売上YoYアクセスYoYCVR(前年)→(当年)
主力単品A(30日分)約+35%約▲35%約6% → 約12%
主力単品B(60日分)約+19%約▲21%約19% → 約29%
主力単品C(90日分)約▲12%約▲48%約13% → 約21%
主力単品合計(1〜6個セット)約+24%約▲32%約8% → 約15%

特筆すべきポイントは以下の通りです。

  • 30日分商品のCVRは約6%から約12%へとほぼ倍増
  • 主力商品合計のCVRも約8%から約15%へとほぼ倍増
  • アクセスが約▲35%減少していても、売上は約+35%増加
  • 新規購入者数も約600名から約850名へ、約+39%増加

アクセス減でも売上が伸びているということは、商品ページの「転換力」そのものが大幅に向上したことを意味します。広告費を増やさずに売上を伸ばせる構造が作れた、と表現してもよいでしょう。

商品リニューアル効果を正しく検証するための分析手法

この事例から学べる重要なポイントは、単に「リニューアルしたら売れた」で終わらせず、複数の角度から効果を検証している点です。商品リニューアルの効果検証は、以下の3つの視点を組み合わせると精度が高まります。

▼CVR改善の分析手法については、こちらの動画でも解説しています

同月内Before/After比較の活用

最も基本的かつ重要なのが、リニューアル実施月の月内で前後を比較する手法です。月をまたいで比較すると、月初・月末の購買行動の違いや、月によるイベント構成の差が影響してしまいます。同月内であれば、こうした要因を最小化できます。

ただし、楽天市場の場合は注意点があります。

  • スーパーセール(SS)期間中は通常日と購買行動が大きく異なる
  • 5/0倍数日(イベント日)と通常日も購買特性が異なる
  • ポイント還元キャンペーンの有無も影響する

したがって、「同条件の日同士で比較する」ことが大原則です。今回の事例でも、5/0倍数日と非イベント通常日を分けて比較しているのはこのためです。

前年同月比でのトレンド確認

同月内比較だけでは、たまたまその月の市場環境が良かった可能性を排除できません。そこで前年同月比を確認することで、「季節要因」を取り除いた純粋な変化を確認できます。

前年同月比で見るとアクセスが減っていても売上やCVRが向上していれば、それは「ページの転換力が上がった」明確な証拠と言えます。逆にアクセスも売上も両方伸びている場合は、リニューアル効果と外部要因(広告強化や検索流入増など)が混在している可能性があるため、要因分解が必要です。

店舗全体トレンドとの切り分け

最も見落とされがちなのが、店舗全体のトレンドとリニューアル単独の効果を切り分ける視点です。

今回の事例でも、実は店舗全体のCVRが1月頃から構造的に上振れする傾向が見られていました。つまり、リニューアル対象商品のCVR向上には「店舗全体の追い風」も影響している可能性があるということです。

したがって、結論としては「リニューアル効果はポジティブと判断できる」としつつも、「リニューアル単独の純効果切り分けは引き続き要モニタリング」という慎重なスタンスを取っています。

このように、リニューアルの効果を過大評価しないバランス感覚が、施策の継続判断や次の打ち手の設計には欠かせません。

商品リニューアル施策でよくある失敗パターンと注意点

最後に、商品リニューアルでつまずきやすいポイントをいくつか共有します。

①リニューアルの「中身」と「見せ方」が連動していない 成分を強化しても、商品ページの訴求が古いままだとユーザーには伝わりません。商品本体の改善とページの訴求刷新は必ずセットで設計しましょう。

②効果検証の比較条件が揃っていない イベント日と通常日、SS期間中と期間外を混ぜて比較してしまうと、リニューアル効果が見えなくなったり、逆に過大評価されたりします。比較は「同条件」を徹底することが重要です。

③単月の数値だけで成否を判断する 新商品は発売直後に話題性で売れることがあります。1ヶ月だけで判断せず、2〜3ヶ月のトレンドで継続的にモニタリングすることをおすすめします。

④店舗全体トレンドを無視してしまう 店舗全体のCVRが上振れしている時期にリニューアルを実施すると、効果が大きく見えがちです。全体トレンドと対象商品の変化を比較する視点を必ず持ちましょう。

まとめ|商品リニューアルはCVR改善の有力施策、ただし正しい検証設計が前提

本記事のポイントを整理します。

  • 商品リニューアル(成分強化+ページ訴求刷新)は、CVR改善・売上向上の有力な施策である
  • 今回の楽天サプリ店舗事例では、5/0倍数日のCVR約+4pt・売上約+17%、前年同月比では主力商品のCVRがほぼ倍増する結果に
  • アクセスが減少しても売上が伸びる「転換力の高い商品ページ」を作れたことが最大の成果
  • ただし、効果検証は「同月内Before/After」「前年同月比」「店舗全体トレンドとの切り分け」の3視点で行うことが重要
  • 単月の数値だけで判断せず、継続的なモニタリングと要因分解で「純効果」を見極める

商品リニューアルは投資が大きい施策ですが、正しく設計・検証すれば、CVRや売上に大きなインパクトを与えられます。自社で取り組む際は、ぜひ本記事の分析視点を参考にしてみてください。

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