楽天で商品別ポイント倍率を引き上げる効果は?事例で見る転換率と利益のリアル


株式会社Proteinum 代表取締役
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。
楽天市場のお買い物マラソン期間中、ポイント倍率をどこまで上げるべきか悩んだ経験はありませんか。全品一律で倍率を上げるべきか、それとも売れ筋商品だけに絞って高い倍率を設定すべきか、判断に迷う場面は多いはずです。本記事では、実際にマラソン期間中に「全品ポイント2倍」と「特定商品のみポイント5倍」を比較検証したデータをもとに、ポイント倍率設定の効果と利益面の影響を解説します。この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、楽天市場でのポイント倍率施策の費用対効果について解説します。読み終える頃には、自店舗でポイント倍率をどう設計すべきか、具体的な判断軸が手に入ります。
Contents
楽天市場でポイント倍率施策に悩む店舗が抱える共通課題
楽天市場で運営をされている方であれば、お買い物マラソンやスーパーセール期間中のポイント倍率設定は、避けて通れないテーマだと思います。しかし、いざ施策を組もうとすると、以下のような悩みに直面する方が多いのではないでしょうか。
- マラソン期間中、ポイント倍率を上げると本当に売上は伸びるのか
- 全品一律で倍率を上げるべきか、特定商品に絞るべきか
- 高倍率を設定したときの利益面への影響をどう見るべきか
- 競合店舗もポイント倍率を上げてくる中で、どこまで戦えばいいのか
ポイント倍率は、楽天市場における代表的な販促施策の一つです。ただし、倍率を上げれば上げるほど自店舗の負担するポイント費用も増えるため、闇雲に高倍率を設定すれば良いというものではありません。重要なのは、「どの商品に、どのタイミングで、どの倍率を設定するか」を、データに基づいて判断することです。
楽天市場におけるポイント倍率施策の前提知識

事例の前に、楽天市場のポイント倍率施策の基本を整理します。
ポイント倍率施策の種類
楽天市場でショップが設定できるポイント施策には、主に以下のようなものがあります。
- 全品ポイント倍率アップ:店舗内の全商品を対象に、ポイント倍率を引き上げる
- 商品別ポイント倍率アップ:特定の商品を絞ってポイント倍率を引き上げる
- 期間限定ポイント設定:特定の期間中だけ倍率を変更する
これらは組み合わせて運用することも可能で、たとえば「マラソン期間中は全品2倍、その中でも特定の主力商品だけ5倍」といった重ねがけの設計もできます。
ポイント費用は誰が負担しているのか
ショップが設定する追加のポイント分は、原則としてショップ側が負担する仕組みです。つまり、ポイント倍率を上げれば上げるほど、ショップ側のポイント費用負担も増えていきます。
ポイント倍率を上げると何が起きるのか(仮説)
一般的に、ポイント倍率を上げると以下のような効果が期待されます。
- 転換率の改善:実質的な値引きと同等の効果があり、購入の後押しになる
- クリック率の改善:検索結果や広告枠でのポイント表示により、商品が目立つ
- 客単価の上昇:高倍率商品が選ばれやすくなり、まとめ買いを誘発する
ただし、これらは「仮説」であり、実際にどれくらいの効果が出るかは、商品ジャンル・価格帯・競合状況によって大きく変わります。だからこそ、自店舗での検証が重要になります。
【事例】全品ポイント2倍と商品別ポイント5倍の効果を比較検証

ここからは、弊社が実際に支援している楽天市場店舗での検証事例をご紹介します。なお、店舗名・商品名は伏せ、数値は実態を損なわない範囲で調整しています。
検証の前提条件
検証を実施した店舗は、健康食品ジャンルで複数の商品を取り扱う中規模の楽天市場店舗です。今回の検証では、お買い物マラソン前半期間中に以下のような施策を実施しました。
- 施策内容:店舗全品に対するポイント倍率2倍設定に加え、特定商品(主力スムージー商品)のみ、特定日にポイント倍率5倍へ引き上げ
- 施策期間:マラソン前半期間中の約8日間
- 比較対象日:
- 10日(全品ポイント2倍のみ)
- 15日(全品2倍 + 主力商品のみポイント5倍)
主力商品の売上・転換率・RPPのCTRを、A日とB日で比較しました。
検証結果①:売上・転換率・CTRの変化

主力商品の販売実績を比較したところ、以下のような結果になりました。
| 指標 | 10日(全品2倍) | 15日(主力商品5倍) | 差分 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 約50,000円 | 約45,000円 | 約-6,000円 |
| 転換率 | 約3.1% | 約3.8% | +約0.6pt |
| RPPのCTR | 約0.9% | 約1.1% | +約0.2pt |
ポイント倍率を高く設定した15日のほうが、売上は減少しました。一方で、転換率は約0.6pt、RPPのCTRは約0.2pt改善しており、購入意欲のあるユーザーに対する後押し効果は確実にあったと読み取れます。
売上が下がった要因としては、検証日の売上の立ちやすさやアクセス数自体の差、競合店舗の動きなど複数の要素が考えられます。ポイント倍率の引き上げが「単独で売上を押し上げる」とは限らない、ということが示唆される結果でした。
検証結果②:利益面(ポイント費用・RPP費用)の変化

次に、利益面の指標を見てみます。
| 指標 | A日(全品2倍) | B日(主力商品5倍) | 差分 |
|---|---|---|---|
| ポイント費用(対売上比率) | 約53% | 約75% | +約22pt |
| 商品別RPP費用(対売上比率) | 約12% | 約14% | +約2.5pt |
ここで注目していただきたいのは、ポイント費用の対売上比率が約22ptも増加している点です。ポイント倍率を5倍に引き上げると、当然ながらショップ負担のポイント費用も大きく膨らみます。さらに、RPP費用の対売上比率もわずかながら増加しており、利益面の負担はかなり重くなったと言えます。
転換率やCTRが改善した一方で、利益面の悪化幅のほうが大きく、トータルで見たときの費用対効果は決して良いとは言えない結果になりました。
検証から見えてきた示唆
今回の検証から、以下のような示唆が得られます。
- ポイント倍率の引き上げは、転換率・CTRの改善には寄与する
- ただし、売上の押し上げ効果は限定的で、状況によっては逆に減少することもある
- 利益面では、ポイント費用の負担が大幅に増加し、費用対効果は悪化しやすい
- 「とりあえず高倍率」は、利益を圧迫する危険な選択肢になりうる
事例から学べる楽天ポイント倍率施策の設計ポイント
検証結果を踏まえ、自店舗でポイント倍率施策を設計する際に押さえておきたいポイントを整理します。
1. 「売上」だけでなく「利益」で評価する
ポイント倍率施策の効果を見るとき、売上や転換率だけを追ってしまいがちです。しかし、本当に見るべきはポイント費用を差し引いた後の粗利です。高倍率設定で売上が伸びても、ポイント費用の増加分を回収できていなければ意味がありません。
施策の評価指標として、「対売上比率でのポイント費用」「ポイント費用控除後の粗利率」を必ずチェックしましょう。
2. 商品を絞り込む際は「目的」を明確にする
特定商品だけ高倍率に設定する場合、その狙いを明確にすることが重要です。
- 新商品の認知獲得:露出を増やすために短期的に高倍率を設定する
- 在庫処分:滞留在庫を動かすために集中的に倍率を上げる
- アクセス集計:マラソン期間中の集客の核として倍率を上げる
目的が曖昧なまま高倍率を設定すると、費用対効果の悪化を招きます。
3. ポイント倍率以外の打ち手も組み合わせる
ポイント倍率は強力な施策ですが、単独で運用するとコスト負担が大きくなりがちです。以下のような他の施策と組み合わせることで、ポイント費用への依存度を下げられます。
- クーポンの併用:割引額の上限が決まっているため、コストコントロールしやすい
- RPPの入札調整:マラソン期間中のCTR改善とあわせて、入札を最適化する
- 商品ページの改善:転換率を構造的に上げることで、ポイント倍率に頼らない販売を目指す
4. 検証は「同条件」で実施する
ポイント倍率の効果検証は、できる限り同じ曜日・同じ時間帯・同じイベント期間内で比較することが重要です。今回の事例でも、マラソン前半期間内の異なる日で比較していますが、それでもアクセス数や競合状況の違いはあります。
一度の検証で結論を出さず、複数回・複数パターンで検証を重ねることで、より精度の高い判断ができるようになります。
まとめ:楽天ポイント倍率施策は「効果」と「利益」の両面で判断する
楽天市場でのポイント倍率施策は、転換率やCTRの改善には寄与するものの、売上の押し上げ効果は限定的で、利益面の負担も大きくなります。今回ご紹介した事例では、ポイント倍率を5倍に引き上げたことで転換率は約0.6pt改善した一方、ポイント費用の対売上比率は約22ptも増加し、トータルでは費用対効果が悪化する結果となりました。
ポイント倍率施策を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 売上だけでなく、ポイント費用控除後の利益で評価する
- 商品を絞り込む際は、施策の目的を明確にする
- クーポン・RPP・商品ページ改善など、他の施策と組み合わせる
- 検証は同条件で複数回行い、判断精度を上げる
「とりあえず高倍率」ではなく、自店舗のデータに基づいた設計こそが、持続的な売上・利益向上につながります。
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