Amazon広告のROAS改善事例|予算配分と日予算管理3つのポイント

Writer樋口 智紀

株式会社Proteinum ECコンサルタントマネージャー

戦略コンサルティングファームおよびECコンサルファーム(NE株式会社)を経て現職。現在はECコンサルタントとして、多数のAmazonセラーの売上拡大を支援。電子機器やアパレルから日用品、食品まで多岐にわたる商材を担当し、緻密なデータ分析に基づいた施策立案で月商を10倍以上に引き上げた実績を多数持つ。Amazon特有の購買行動を数値化し、広告費の最適化とCVR改善を同時に実現する手法を得意とする。コンサルタントの視点から、リピート商材の分析を通じた継続的な収益構造の構築を強みとしている。

「Amazon広告に予算を投下しているのに、ROAS(広告費用対効果)が思うように伸びない」「広告メニューが3種類あるけれど、どこに予算を寄せるべきか判断できない。

Amazon運営に携わる方なら、一度は感じたことのある悩みではないでしょうか。

この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が広告メニュー別の予算配分の見直しと、イベント日に向けた日予算管理の最適化によって、月間ROAS約420%・売上前年比約30%増を達成した実際の運用事例をご紹介します。

読み終える頃には、自社の広告予算をどう再配分すべきか、具体的な方向性が見えるはずです。

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Amazon広告で「思うように成果が出ない」と感じていませんか

Amazon広告は店舗の売上拡大に欠かせない施策ですが、運用が複雑化しやすい領域でもあります。実際にご相談いただくEC担当者の方からは、以下のような声をよく耳にします。

  • 広告費は増えているのに、ROASが伸び悩んでいる
  • スポンサープロダクト・スポンサーブランド・スポンサーディスプレイの3種類をなんとなく回しているが、どこに予算を寄せるべきか判断できない
  • キャンペーン数が増えすぎて、どれが効いているのか分析しきれない
  • プライムデーなどのイベント日に、十分な広告費を投下できていない気がする

これらの課題に共通するのは、「広告費を“どこに・いつ・どれだけ”使うか」の戦略設計が曖昧になっていることです。本記事では、この設計を整理することで成果が大きく変わった事例をもとに、改善のヒントをお伝えします。

▼Amazon広告運用のノウハウを動画でも発信しています

Amazon広告の基本構造を整理|3種類の使い分けがROAS改善のカギ

事例をご紹介する前に、前提となるAmazon広告(スポンサー広告)の3種類について簡単に整理します。すでにご存じの方は、次のセクションへ進んでいただいて構いません。

スポンサープロダクト広告(SP)

商品の検索結果や商品詳細ページに表示される広告です。Amazon広告のなかでもっとも汎用的に使われており、購入意欲の高いユーザーへ直接リーチできるのが特徴です。

スポンサーブランド広告(SB)

検索結果の上部に、ブランドロゴと複数商品を並べて表示できる広告です。ブランド認知の向上や、指名キーワードでの取り逃し防止に効果を発揮します。

スポンサーディスプレイ広告(SD)

商品閲覧履歴や購入履歴をもとに、Amazon内外でリターゲティング配信ができる広告です。リマーケティング性が高く、購入直前のユーザーに再アプローチできるため、ROASを高めやすい広告メニューです。

3種類はそれぞれ役割が異なるため、「どの広告にどれだけ予算を配分するか」は店舗ごとに最適解が変わります。ここを定期的に検証することが、ROAS改善のスタート地点になります。

以下の記事では楽天市場とAmazonの広告それぞれの特徴や同一商品で配信した際の費用対効果を比較した結果を紹介しておりますので、こちらもぜひ参考に御覧ください。

事例紹介|健康志向の食品ECブランド(A社)のAmazon広告改善

ここからは、実際のクライアント事例を匿名化してご紹介します。

改善前の状況・課題

  • 業種: 健康志向の冷凍食品を展開する食品ECブランド
  • 規模: Amazonにおける月商1,500万〜2,700万円規模
  • 主な課題:
    • 3種類の広告のうち、ROASが圧倒的に高いスポンサーディスプレイ広告(SD)の予算比率が低い状態
    • 効果が芳しくないスポンサーブランド広告(SB)に、全体予算の20%以上を消化していた
    • スポンサープロダクト広告(SP)のキャンペーン数が40件以上、SBも17件と肥大化しており、精緻な分析が困難な状態
    • イベント日(プライムデーなど)の前に予算を消化しきってしまい、本来稼ぐべきタイミングで配信を絞らざるを得ない

整理すると、「予算が高ROAS領域に寄っていない」「キャンペーン構造が複雑すぎて分析できない」「イベント日に向けた予算配分ができていない」の3点が、収益機会を逃す要因になっていました。

実施した施策の内容

施策は大きく3つに分けて進めました。

施策1: 広告メニュー別の予算比率を再設計

直近実績を分析した結果、SDのROASがほかの広告よりも圧倒的に高いことが判明しました。そこで、以下の方針で予算を再配分しています。

  • SD: 予算比率を引き上げ、売上の最大化を狙う
  • SB: 獲得効率が悪いため、予算を最小限に抑制
  • SP: 主力チャネルとして安定運用

「ROASが高い領域に予算を寄せる」というシンプルな考え方ですが、運用が長期化するほど現状維持に流されやすいため、定期的なリバランスが欠かせません。

施策2: キャンペーン構造の整理・統合

肥大化していたキャンペーンを大幅にスリム化しました。

広告種別改善前改善後
スポンサープロダクト広告(SP)45キャンペーン8キャンペーン
スポンサーブランド広告(SB)17キャンペーン4キャンペーン

具体的な整理方針は以下の通りです。

  • 商品別にキャンペーンを分け、予算管理をしやすくする
  • 広告グループを「指名/非指名/競合」「商品単価別」「訴求別」など意思決定に直結する単位で区切り、費用対効果を算出しやすくする
  • オート配信で成果の高かったキーワードやASINを、非指名キャンペーンに移管して運用効率を高める

施策3: 日予算管理でイベント日に広告費を寄せる

ここがもっとも成果に直結したポイントです。Amazonにはプライムデーや感謝祭など、年に数回大型イベントがあり、この期間はCVRが大きく上昇します。にもかかわらず、改善前はイベント前に予算を使い切ってしまい、肝心な日に出稿を絞らざるを得ない状態でした。

そこで、日次レベルで予算にメリハリをつける運用に切り替えました。

  • 通常日: 標準予算で運用
  • 独自タイムセール日: 通常日の約2倍の日予算を確保
  • モールイベント日(プライムデー本セールなど): 通常日の約5倍の日予算を確保

「年間予算をどの月に・どの日に・どれだけ寄せるか」を事前に設計しておくことで、機会損失を防ぐ運用が可能になります。

改善後の成果・数値変化

施策実施後の月次データは、以下のように改善しました。

指標改善後の状況
月商前年同月比 約30%増(直近24カ月で2番目に高い水準)
月次ROAS約420%で着地
広告経由売上比率約40%
CVR約7%台後半(直近12カ月の最高値)
スポンサーディスプレイ広告(SD)ROAS約970%(リマーケティング中心に運用)

特筆すべきは、イベント日への予算集中による効果です。プライムデーの先行セール初日と本セール最終日に売上が大きく伸び、月全体の売上を牽引する結果となりました。

事例から学べる3つのポイント|自社のAmazon広告運用にどう活かすか

この事例から、自社の運用に応用できる学びを3つに整理しました。

ポイント1: 広告メニュー別のROASを定期的に比較する

「SP・SB・SDに、なんとなく予算を分けている」という状態は意外と多いものです。月次でメニュー別のROASを比較し、もっとも効率の良い広告に予算を寄せていくだけでも、全体ROASは改善します。

とくにSDは、リマーケティング性が高く購入直前のユーザーに再アプローチできるため、購入リマケ・閲覧リマケのキャンペーンを設計すると効果を発揮しやすい広告です。優先的に検証してみることをおすすめします。

ポイント2: キャンペーン構造を「分析できる単位」に整理する

キャンペーン数が増えすぎると、データが分散して意味のある分析ができなくなります。本事例では45→8、17→4と大幅に統合しましたが、目的は数を減らすこと自体ではなく、「商品別」「訴求別」「指名/非指名」など、意思決定に直結する単位で切り分けることです。

整理後は、どのキャンペーンを伸ばすか・抑えるかが一目で判断できる状態を目指しましょう。

ポイント3: イベント日に向けた日予算設計を年間で組む

Amazonには年間を通じて大型イベントが複数あります。プライムデー、ブラックフライデー、サイバーマンデー、年末年始セールなど、CVRが大きく上昇する日が事前に分かっているため、年間カレンダーをベースに「いつ・どれだけ寄せるか」を事前設計しておくことが重要です。

とくに「イベント前に予算を消化しすぎないよう、通常日の予算を意図的に抑える」発想は見落とされがちなので、注意したいポイントです。

よくある失敗パターン|Amazon広告運用で陥りやすい3つの落とし穴

最後に、本事例の裏返しで起こりやすい失敗パターンを整理しておきます。

失敗1: 「とりあえず3種類全部配信」で予算を均等配分してしまう

広告メニューには得意領域があります。店舗・商品によって最適な比率は異なるため、データを見ずに均等配分するとROASは伸び悩みます。「自社の場合はどの広告が効いているのか」を、まず数値で確認することがスタートです。

失敗2: キャンペーンを増やし続けて管理不能になる

新商品や新キーワードのたびにキャンペーンを増やしていくと、分析できないボリュームになります。定期的な棚卸し(統廃合)が、運用効率を保つカギになります。半年〜1年に一度はキャンペーン構成を見直す機会を設けると良いでしょう。

失敗3: イベント前に予算を使い切ってしまう

Amazonの自動入札や売上見込みに任せて運用していると、イベント直前の数日で予算を消化し尽くしてしまうことがあります。月間予算を日次でどう配分するか、という視点が欠かせません。

まとめ|Amazon広告のROAS改善は「予算配分」と「日予算設計」が起点

本記事では、Amazon広告のROAS改善事例として、

  • 広告メニュー別の予算配分の見直し
  • キャンペーン構造の整理
  • 日予算管理によるイベント日への予算集中

の3つの施策をご紹介しました。結果として、月商は前年同月比で約30%増、月次ROASは約420%、広告経由売上比率は約40%という成果に到達しています。

Amazon広告は、施策の組み合わせ次第で成果が大きく変わる領域です。まずは「自社の3種類の広告メニュー別ROASを比較してみる」「年間イベントカレンダーをもとに日予算を再設計してみる」ところから着手してみてはいかがでしょうか。

「広告予算をどこに寄せれば良いか分からない」「キャンペーンが増えすぎて分析しきれない」「何から改善すればいいか分からない」「やりたいことはあるが手が回らず困っている」

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