楽天の回遊バナーは効果ある?設置しても変わらなかった事例と3つの改善策【ECコンサル検証レポート】

株式会社Proteinum 代表取締役
プロテーナムでは、楽天、amazon、自社EC、Yahoo!ショッピングを中心に、データに基づく圧倒的な成果にこだわった支援を行っている。ナショナルブランドを中心に累計1,000社以上の支援と年間広告費10億円以上の運用実績を持ち、独自のEC運用支援システム「ECPRO」も提供している。
「商品ページに回遊バナーを設置したのに、数値がほとんど変わらない…」「効果があったのかよくわからない」そんな経験はありませんか?楽天市場では回遊率(PV/人)の向上が売上アップの重要な鍵とされており、回遊バナーの設置に取り組む店舗も多いですが、”置いただけ”では期待した効果が得られないケースも少なくありません。
この記事は、これまでの支援実績が1,000社以上、広告運用実績年間10億円以上の弊社(Proteinum)が、実際に回遊バナーを設置して効果検証を行った事例をもとに、楽天市場で回遊施策の効果を最大化するためのポイントを解説します。「バナーを貼ったのになぜ成果が出ないのか」のヒントが見つかるはずです。
Contents
「回遊バナーを設置したのに効果が出ない」という悩み
楽天市場で店舗運営をしていると、「アクセスはあるのに売上が伸びない」「1人あたりの閲覧ページ数が少ない」といった課題に直面することがあります。
こうした課題に対して、多くの店舗がまず取り組むのが回遊バナーの設置です。商品ページやカテゴリページにバナーを配置し、関連商品やセール情報への導線をつくることで、店舗内の回遊を促そうという施策ですね。
しかし実際には、「バナーを設置したのにPV/人(1人あたりの閲覧ページ数)がほとんど変わらなかった」という声を、弊社のご支援先からもよくいただきます。回遊バナーは設置すること自体が目的ではなく、ユーザーの行動を変えるための設計が伴ってはじめて効果を発揮するものです。
ここからは、実際に回遊バナーを設置して効果検証を行った事例を紹介しながら、なぜ効果が出なかったのか、そしてどうすれば回遊施策で成果を出せるのかを掘り下げていきます。
楽天市場における「回遊率」の基本と重要性
まずは回遊率の基本情報について振り返ります。
回遊率(PV/人)とは何か
楽天市場の店舗分析でよく使われる指標にPV/人(1人あたりのページ閲覧数)があります。これは「アクセス人数に対して、どれだけ多くのページが閲覧されたか」を示す数値で、店舗内の回遊状況を把握するための代表的な指標です。
たとえばPV/人が1.0に近い場合、ほとんどのユーザーが1ページだけ見て離脱していることを意味します。逆にこの数値が高いほど、ユーザーが店舗内の複数ページを閲覧しており、購入につながるチャンスが広がっていると考えられます。
なぜ回遊率の向上が売上につながるのか
回遊率が重要視される理由は、アクセス人数を増やさなくても売上アップにつなげられるからです。
楽天市場の売上は「アクセス人数 × 転換率(CVR) × 客単価」で構成されますが、アクセス人数を増やすには広告費やSEO対策など追加のコストや時間がかかります。一方で、すでに来店しているユーザーにより多くの商品を見てもらい、購入の選択肢を増やすことは、比較的低コストで取り組める施策です。
回遊率が高まれば、ユーザーが複数の商品を比較検討できるため、結果的にCVRや客単価の向上にもつながりやすくなります。
楽天市場のページ作成のポイントについては以下の動画でも解説していますので是非ご覧ください。
【事例紹介】回遊バナーを設置したが効果が見られなかったケース
ここからは、弊社が実際に支援した店舗での回遊バナー設置の効果検証事例をご紹介します。なお、クライアント情報保護のため、店舗名・商品名は伏せ、数値も一部加工しています。
改善前の状況と課題
今回の事例は、楽天市場でアウトドア用品を扱うA店舗です。テント・タープカテゴリの商品を中心に展開しております。
施策実施前の主要指標は以下のとおりです。
- アクセス人数: 約30,000人/月
- PV/人: 約1.07
- 転換率(CVR): 約0.7%
PV/人が1.07と、ほぼ1ページだけ見て離脱しているユーザーが大半という状況でした。「せっかくアクセスがあるのに、他の商品を見てもらえていない」という課題を抱えていたのです。
実施した施策の内容
この課題に対して、A店舗では商品ページ内に「人数別おすすめ商品」の回遊バナーを設置しました。具体的には、テント・タープの商品ページLP(商品説明部分)の最下部に、以下のようなカテゴリ分けで関連商品へ誘導するバナーを配置しています。
- 1〜2人用におすすめ → 該当する商品群への導線
- 3〜4人用におすすめ → 該当する商品群への導線
- 4〜6人用におすすめ → 該当する商品群への導線
- 6人以上におすすめ → 該当する商品群への導線
テントやタープを探しているユーザーは「何人で使うか」が主要な選定基準になるため、利用人数でカテゴリを分け、ニーズに合った商品を案内するという設計でした。バナーのビジュアルも各カテゴリの代表的な商品画像を並べ、視覚的にわかりやすくまとめられていました。
改善後の成果:PV/人はほぼ変化なし
バナー設置から約3か月後に効果を検証したところ、結果は以下のとおりでした。
| 指標 | 施策前 | 施策後 |
|---|---|---|
| アクセス人数 | 約30,000人 | 約20,000人 |
| PV/人 | 約1.07 | 約1.05 |
| 転換率(CVR) | 約0.7% | 約0.65% |
注目すべきはPV/人がほとんど変化していない点です。1.07から1.05へとわずかに低下しており、回遊バナー設置による回遊促進効果は確認できませんでした。
なお、アクセス人数の減少は季節要因(オフシーズンへの移行)による影響が大きく、バナー施策との直接的な因果関係は薄いと考えられます。一方で、PV/人は母数の変動に左右されにくい指標であるため、「バナーを設置しても回遊行動は変わらなかった」という結論が導き出せます。
なぜ回遊バナーの効果が出なかったのか?3つの要因分析
では、なぜこの回遊バナーは効果を発揮しなかったのでしょうか。弊社の分析では、主に3つの要因が考えられます。
要因①:設置位置が「商品LP最下部」だった
最も大きな要因と考えられるのが、バナーの設置位置です。
楽天市場の商品ページは、商品画像・価格情報・レビューに加え、商品説明のLP(ランディングページ)部分が非常に長くなりがちです。今回のケースでは、そのLPの最下部に回遊バナーが設置されていました。
そもそもユーザーが商品ページの最下部までスクロールする割合は限られています。多くのユーザーは上部の商品画像や価格、レビューを確認した段階で「買うか・買わないか」を判断し、ページを離れてしまいます。つまり、バナーの存在自体がユーザーの目に触れていなかった可能性が高いのです。
要因②:バナーの訴求がユーザーの行動文脈に合っていなかった
2つ目の要因は、バナーの内容とユーザーの閲覧タイミングのミスマッチです。
ユーザーがテントの商品ページを見ているとき、すでに「何人用のテントが欲しいか」はある程度決まっていることが多いです。たとえば、4人用テントのページを見ているユーザーに「1〜2人用はこちら」「6人以上はこちら」と案内しても、クリックする動機が生まれにくいでしょう。
回遊バナーが効果を発揮するためには、ユーザーが「次に知りたいこと」「追加で欲しくなるもの」を提示する必要があります。今回のケースでは、ユーザーの検討段階で求められている情報と、バナーが案内する情報にズレがあったと考えられます。
要因③:「設置すれば効果が出る」という前提の落とし穴
3つ目は、施策設計の考え方に関する問題です。
回遊バナーに限らず、EC運営では「施策を実行すること」がゴールになってしまうケースが少なくありません。しかし重要なのは、「どんなユーザーに」「どのタイミングで」「何を見せるか」という設計の部分です。
今回の事例は、バナーのデザイン自体は整っており、カテゴリ分けの考え方も論理的でした。しかし、ユーザーの行動導線の中でバナーがどう機能するかというシミュレーションが十分ではなかったことが、効果が出なかった根本的な原因だといえます。
回遊バナーで効果を出すための改善ポイント
今回の事例をもとに、回遊バナーで成果を出すために意識したい改善ポイントを3つご紹介します。
ポイント①:バナーの設置位置を「ユーザーの目に入る場所」に変える
最も即効性のある改善策は、バナーの設置位置を見直すことです。
商品LP最下部ではなく、以下のような位置への配置を検討してみてください。
- 商品画像の直下やカート周辺: 最もユーザーの視線が集まるエリア
- 商品説明LPの中盤(スペック紹介の後など): 商品理解が進んだタイミングで関連提案ができる
- レビューセクションの近く: 購入を迷っているユーザーに別の選択肢を提示できる
楽天市場ではヒートマップツールの導入が難しい場合もありますが、まずは「自分がユーザーならどこまでスクロールするか」を実際にスマホで確認してみることをおすすめします。スマホ表示での見え方は、PCとは大きく異なることが多いです。
ポイント②:ユーザーの行動文脈に合った「次の提案」を設計する
回遊バナーの内容は、ユーザーが「今見ている商品の次に気になること」を起点に設計しましょう。
たとえばテント・タープの商品ページであれば、同じカテゴリの人数違いを案内するよりも、以下のような関連商品やクロスセル提案のほうがクリックされやすい傾向があります。
- 「このテントに合うおすすめタープはこちら」(セット利用の提案)
- 「一緒に買われているアウトドアチェア・テーブル」(併売商品の提案)
- 「この商品を見た方はこちらも見ています」(閲覧履歴ベースの提案)
ポイントは、ユーザーの購入検討を”広げる”のではなく、”深める”方向で回遊を設計することです。人数別のカテゴリ案内は選択肢を広げるアプローチですが、すでに人数を絞り込んでいるユーザーにとっては不要な情報になりかねません。
ポイント③:小さく試して効果を検証する仕組みをつくる
回遊バナーの施策は、一度の設置で完璧を目指すのではなく、小さく試して改善を繰り返すことが大切です。
具体的には、以下のようなステップで進めることをおすすめします。
- まずは1〜2商品で試す: 全商品に一斉展開するのではなく、アクセス数の多い主力商品に絞ってテスト的に設置する
- 2〜4週間単位で効果を計測する: PV/人の変化だけでなく、バナー経由の遷移先ページのアクセス数やCVRもあわせて確認する
- 設置位置・バナー内容を変えてABテスト的に比較する: 同じバナーでも設置位置を変えるだけで効果が大きく異なることがある
なお、楽天市場ではGoogleアナリティクスのような詳細なクリック計測が難しい場合がありますが、RMS(店舗管理システム)のアクセス分析で遷移先ページのアクセス推移を確認すれば、おおまかな効果検証は可能です。
RMSを使ったECの分析手順については以下の動画も参考にご覧ください。
回遊バナー施策でよくある失敗パターン
回遊バナーで効果が出ないケースには、今回の事例以外にもいくつかの共通パターンがあります。自社の施策に当てはまっていないか、チェックしてみてください。
バナーを作り込みすぎて更新が止まる デザインに凝りすぎた結果、内容の更新やシーズン対応が追いつかなくなるケースです。まずはシンプルなバナーで効果を検証し、成果が出た導線から順にデザインをブラッシュアップするのが効率的です。
すべての商品ページに同じバナーを一律設置する 商品カテゴリや価格帯が異なるのに、同じ回遊バナーを全商品ページに配置してしまうパターンです。ユーザーの興味関心は閲覧している商品によって異なるため、最低限カテゴリごとにバナーの内容を出し分けることが重要です。
PCでの見た目だけで判断してしまう 楽天市場のアクセスの多くはスマホ経由です。PC画面では目立つ位置にバナーが配置されていても、スマホ表示では大幅にスクロールしないと見えない位置になっていることがあります。必ずスマホ実機で表示を確認しましょう。
効果検証の期間が短すぎる バナー設置から1〜2週間で「効果なし」と判断してしまうケースも見られます。楽天市場ではスーパーSALEやお買い物マラソンなどのイベントによってアクセス数が大きく変動するため、最低でも1イベントサイクル(約1か月)以上のデータで判断することが望ましいです。
まとめ
この記事では、楽天市場で回遊バナーを設置したにもかかわらず効果が見られなかった事例をもとに、回遊施策の効果を左右するポイントを解説しました。
今回の事例から得られるポイントを整理します。
- 回遊バナーは設置するだけでは効果が出ない。設置位置・内容・ユーザーの行動文脈を考慮した設計が必要
- 商品LP最下部への設置は、そもそもユーザーの目に届いていない可能性がある
- 「人数別カテゴリ案内」のように選択肢を広げるアプローチよりも、ユーザーの検討を深めるクロスセル提案のほうが効果的な場合がある
- 回遊施策は小さく試して検証→改善を繰り返すことが成功の鍵
回遊率の改善は、広告費をかけずに売上アップを実現できる有効なアプローチです。しかし、やみくもにバナーを設置するのではなく、ユーザー視点に立った丁寧な設計が求められます。今回の事例が、皆さまの店舗運営のヒントになれば幸いです。
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