ヨーロッパ越境ECとは?市場規模やポイント、注意点を解説!

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スマートフォンの普及により、世界中の多くの人がインターネットを経由してほしいものを検索し、購入することができるようになっています。世界のEC販売額は、インターネット利用者数の増加と消費者行動の変化により、急激に増加しています。欧州でも例外ではなく、2017年以降、右肩上がりの成長を続けています。

世界の市場と比較すると、まだまだ発展途上にあるヨーロッパEC市場ですが、新規参入をするにはどうしたらいいのか、気になる点も多いと思います。今回はヨーロッパ越境ECについて解説します。

他記事で、アメリカや中国、東南アジア、台湾などの市場についてもまとめていますので、越境ECをご検討の方はご覧ください。

ヨーロッパEC市場規模

欧州のEC市場規模は、米国や東アジアと比べるとまだ成長途上にあるといえます。

UNCTAD(国連貿易開発会議)が2021年5月に発表した世界のECに関する報告書によれば、2019年のEC(B2BとB2C)の世界市場規模は26兆6,730億ドルで、2018年より4%増加しています。これは世界のGDPの約30%に相当します。
国別にみると、米国と日本、中国、韓国が大きく、欧州は上位5カ国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)を合わせても日本の規模に及びません。

引用:JETRO 欧州のEC市場に関する調査 (総論編)【出所:European E-commerce Report 2022】

引用:JETRO 欧州のEC市場に関する調査 (総論編)【出所:UNCTAD】

ヨーロッパ越境ECを検討されている方はEUの中でも比較的市場規模が大きいイギリスやフランスから検討を始めるのがよいと考えます。

ヨーロッパで人気の日本製商品

2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、海外渡航が制限されている一方、越境ECを通して海外製品を購入する動きが活発となっています。ヨーロッパでは盆栽用具や浮世絵、武具など日本の伝統文化に関わる商品の人気が高く、おもちゃやゲーム、音楽、ファッションといった日本製品が売れて売れ筋になります。
洋楽CDやレコードなどオーディオ関連や楽器、昔のゲーム機も人気を集めています。

ヨーロッパ越境ECの始め方

自社ECサイトの構築

自社ECは、自社の越境ECサイトを構築、または既存のサイトを越境対応にして販売・運営する方法です。カスタマイズの自由度が高く、販売戦略に合わせたマーケティング手法を採用できます。

しかし、輸出入の手続きや言語・配送方法・支払い方法の対応には大きな負担が伴います。また、現地のユーザーとのコミュニケーションが発生するため、対応できる体制を整えなければなりません。状況によっては、専門業者の支援を検討する必要があります。

ECモールへの出店

ヨーロッパ越境EC市場ではAmazonとeBayがもっとも人気であり、売上ランキングでは1位と2位を占めています。ここではAmazon、eBayについて紹介します。

Amazon

Amazonは世界最大級のECプラットフォームであり、ヨーロッパではイギリスやフランス、ドイツなど計45か国に配送することが可能です。Amazonのヨーロッパ越境EC市場における売上高は、2019年に320億ユーロ(約4兆1,700億円)に達しています。
新型コロナウイルスは国境を超えたオンラインショッピングを後押ししている状況のなか、Amazonは今後もヨーロッパ越境EC市場のトップを走り続け、2025年には売上高は500億ユーロ(約6兆4,737億円)に達すると予測されています。

Amazonを通してヨーロッパで販売を行いたい場合は、Amazonヨーロッパマーケットプレイスのアカウントを取得すれば、一つのアカウントでヨーロッパ全域の出品情報や在庫、注文履歴の管理が可能です。

eBay

1995年に設立されたeBayは、世界190か国で展開するグローバルECプラットフォームです。同社の公式サイトによれば、出品数は14億点で、バイヤー数は1.85億人となり、取引高は10.9兆円を誇っています。2019年ヨーロッパ越境EC市場におけるシェアはAmazonに次ぐ2位で、170億ユーロ(約2兆2,100億円)に達しています。

eBayで出品する際に、最大190ヵ国へ一括出品することが可能であり、また日本のセラーを支援する販売サポートプログラムを提供しています。

ヨーロッパ越境ECの注意点

ヨーロッパ越境ECを検討する上で重要になるのが関税と付加価値税(VAT)です。
関税とは、その国の産業や農業などの自国の商品を守るために、海外から輸入する品目に対して課せられる税で、EU加盟国の場合、日本から越境ECでEU消費者に対して販売する(輸出する)商品には、課税(付加価値税+関税)が課せられるというのが基本です。
特に重要なのが、EUの場合では「150ユーロ以上かどうか」を基準として、課税の扱いが異なる点です。

○JETRO|越境EC販売におけるVAT:EU・英国向け輸出
https://www.jetro.go.jp/world/qa/F-220812.html

  • 商品価格が150ユーロ未満の場合:関税は免税され、付加価値税のみが課税される
  • 商品価格が150ユーロ以上の場合:関税と付加価値税が課税される

付加価値税(VAT)

付加価値税(VAT)とは、日本の消費税のような間接税になっています。この付加価値税(VAT)は、EU加盟国で統一されておらず、国によって税率が異なります。
一例としてフランスの状況は下記のようになっています。

  1. 標準税率(20%):大半の工業製品、加工製品および一般サービスに適用
  2. 軽減税率(10%):家畜用飼料の未加工の農水産品、住居の改築工事、レストラン等一部のサービスなどに適用
  3. 軽減税率(5.5%):食品および食品製造のための材料、書籍、身体障害者用機器などに適用
  4. 特別税率(2.1%):一部の医薬品などに適用

税金を考慮して売値をいくらで設定するのか、しっかり検討することが必要です。

まとめ

今回はヨーロッパ越境ECについて解説しました。
まずはECモールへの出店から入る企業が多いのが実情ですが、販売の際には税金などを考慮して進めていくことも重要です。

近年では、越境ECに参入するにあたって市場調査から物流設計、運用まで一貫してサポートできる事業者も増えてきています。もし自社だけで対応が難しいと感じた場合は、越境ECに強い事業者への委託を検討することをおすすめします。弊社でも越境EC参入をサポートしておりますので、海外進出をお考えの際はぜひご相談ください。

Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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