【越境ECを検討の方向け】中国EC市場の概要やポイント、注意点のまとめ

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世界におけるEC市場規模はかつてアメリカが1位でしたが、現在は中国が1位となっています。中国のEC市場規模は日本の16倍以上となっており、日本国内だけではなく世界中から注目されています。

今回は中国への越境ECを検討している方のために、中国のEC市場の特徴や基礎知識について解説していきます。

中国におけるEC市場規模と特徴

中国におけるEC市場規模

まず、世界のBtoC-ECの市場規模から見ていきましょう。

※eMarketer, Dec 2022をもとに経済産業省が作成

2022年時点では5.44兆USドル、EC化率は19.3%となっており右肩上がりでの成長を続けています。
新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、EC需要が増加し、市場規模及びEC化率の増加に繋がったと見られていて、その後も市場規模の拡大とEC化率の上昇が予想されています。2026年には7.62兆USドル、EC化率は23.3%にまで上昇すると予測されています。

続いて国別のEC市場シェアを見ていきます。

※出所:eMarketer, Top 10 Countries, Ranked by Retail Ecommerce Sales, 2022をもとに経済産業省が作成

2022年の国別シェア率では中国が全世界の50.4%、続いて米国18.4%、イギリス4.5%、日本3.1%、韓国2.5%と続きます。
中国の市場規模の大きさが際立っており1国で市場の50%以上を占め、米国を加えると上位2か国で世界の68.8%のシェアとなっています。

※出所:eMarketer, June2022をもとに経済産業省が作成

2022年の中国におけるEC市場規模は2兆8,790億USドルであり、前年比で9.1%の増加であったと推計されています。今後もEC市場は拡大傾向にあるとされ、今後の予想では、2026年にはEC市場規模は3兆9,850億USドルとなると想定されていて、前年比7.0%の増加が見込まれています。

既に世界最大規模の中国EC市場ですが、今後も成長を続けていくと予想されており、越境ECを進めていくにあたっては非常に魅力的な市場となっています。

中国国内のECモール

次に、中国国内のECモールのシェアを見ていきます。

※出所:eMarketer, June2022

2022年のシェアトップはアリババグループ(Alibaba)の42.7%、続いて京東(JD.com)の19.1%、拼多多(ピンドウドウ:Pinduoduo)15.5%となっています。2022年は上位3位の事業者で全体の77.3%を占めている状況となっています。アリババグループは2017年時点で61.2%のシェアでしたが、他のEC事業者もSNSやライブコマースとの連携でシェアを拡大しています。

中国での越境ECで人気の日本の商品

中国国内で人気な日本商品については美容コスメ、衣料品/アパレル、食料品・アルコールとなっています。上位の商品は越境ECでの定番売れ筋商品となっています。

※出所:PayPal “Borderless-Commerce-Report-2022”

ライブコマースやインフルエンサー経由での購入

中国でも日本同様にECモール内のバナー広告や検索連動型広告、アフィリエイト広告などが使われていて、近年ではSNSやライブ配信アプリを活用したインフルエンサーマーケティングやライブコマースが活発です。
ライブコマースとは、ライブ配信とEコマース(電子商取引)を掛け合わせた言葉で、インフルエンサーが動画中継で商品を紹介し、視聴者が配信を見ながら商品を購入できるという新しい販売方式となっています。

キャッシュレス決済

中国における越境ECを利用する際の決済方法についてはキャッシュレス決済が主流です。

※出所:PayPal “Borderless-Commerce-Report-2022”

トップはALIPAY(アリペイ)の47%、続いてクレジットカード43%、中国銀聯(UnionPay) が29%となっています。ALIPAY は、中国の阿里巴巴集团(アリババグループ)が提供するキャッシュレス決済システムで、クレジットカードもALIPAY同様に決済方法としてよく利用されていることがわかります。

中国で越境ECを行う場合にはキャッシュレス決済の対応は不可欠です。

中国越境ECを行う際の注意点・ポイント

商品の価格設定

適正価格の目安は日本での販売価格+10〜20%です。適正価格を決める際は、販売する商品や類似商品がどういった価格で販売されているか調査することが必要です。

次に、通関手続き時にかかる関税費用を確認します。
通関手続きとは、送る商品や数量・金額・輸出先などの情報を税関に申告して許可をもらう手続きです。関税がかかることがあるため、その関税金額を考慮した上で販売価格を設定する必要があります。

以上の2点を確認したうえで、自社での販売価格を決め、その後は販売しながら定期的に価格を見直していきましょう。

顧客対応はチャットが主流

中国での顧客対応はチャットでのやり取りが主流となっています。
商品に関する対応のほかに値引き交渉をチャットで行う場合もあります。チャットの使い方を工夫すれば、新商品を紹介したり、あわせ買いをお勧めして購入を促すことも可能です。

チャットの使い方が日本と異なるため、中国越境ECを始める前に理解しておきたい内容です。

中国越境ECで注意すべき法律や規制、ルール

中国電子商取引法は必ず遵守する

越境ECで注意すべき法律には「電子商務法(電商法)」があります。ただ、電商法は中国国内の電子商取引に適用されるものであり、日本の法人が販売提供元になる場合は別の法律に注意する必要があります。中国の越境ECモールに出店する場合は「中国の法人」として登録されるため、上記の電商法が適用されます。

越境ECを行う方法が「中国の越境ECモールへの出店(=中国での法人登録を行う)」となるかどうかで判断しましょう。中国の越境ECモールへの出店はハードルが高いという場合には、日本の法人として越境ECを行う際に関係する法律を確認していく必要があります。

消費者に対しての告知義務

中国法人として越境ECを行わない場合(=販売者が日本法人の場合)では、販売者は購入者に対して

  • 商品の品質
  • 安全性
  • 環境保護
  • 衛生
  • 表示

などの基準や技術基準を満たしていることを証明する告知書が必要になります。
日本から中国への越境ECの場合、商品に関わる安全性の基準は日本の法律を守るべきか、中国の法律に従うべきか判断に迷うケースもあります。
販売者が日本法人であれば日本の基準を優先することが多いですが、過去の事例として中国側の安全基準が適用されたケースもありました。こういった事例もあったという認識を持ったうえで進めていきましょう。

関税や税金について

中国の越境ECで遵守すべきルールとして、税制が挙げられます。
越境ECでの配送方法としては以下の2種類があり税制が異なります。

  • 国際スピード郵便
  • 保税区モデル

それぞれについて具体的に解説していきます。

国際スピード郵便

「国際スピード郵便」を使えば、商品を日本から中国に直送できます。しかし宝石や高級商品、タバコやお酒といった嗜好品は税率が50%に設定されており、⾏郵税の支払いは購入した消費者が行うため、消費者にとっては割高な買い物に感じる可能性があります。その他の商品はおよそ13~20%の税率がかかります。

行郵税とは、個人が海外で買い物をした商品や、海外から輸入した商品に課せられる関税のことです。そのため、越境ECで商品が購入され、日本から直接消費者に送付した場合、行郵税が課せられます。
ただし、50元未満の行郵税であれば免税されるため、比較的小規模の越境ECであれば直送モデルを利用するとよいでしょう。

保税区モデル

「保税区モデル」とは、中国国内に設けられた保税倉庫に在庫を一旦保管し、ECサイトで注文を受けてから出荷する配送方法のことです。以下の理由から、国際スピード郵便よりも保税区モデルの利用が進んでいます。

  • 通関がスムーズに進む
  • 荷物1個あたりの送料が安価
  • 受注~配送までの日数が短くなる


保税区モデルの場合、越境EC電商税がかかります。越境EC電商税では関税が0%、増値税と消費税70%が課税されます。おもな商品の税率としては、化粧品、食品、日用品など11.2%、ワイン、貴金属など20.2%です(税率は増値税と消費税含む)。

まとめ

今回は中国での越境ECに関して解説しました。市場規模は非常に大きく魅力的な市場ですが、一方で注意が必要な点も多くあります。遵守すべきルールを十分に理解した上で、中国越境ECへの参入を検討してみてはいかがでしょうか。
この他にも当ブログでは越境ECに関する情報をまとめていますので是非参考にしてください。

https://proteinum.co.jp/blog/%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96%e3%83%8e%e3%82%a6%e3%83%8f%e3%82%a6/%e8%b6%8a%e5%a2%83ec%e3%81%ae%e5%a7%8b%e3%82%81%e6%96%b9
Writer米沢 洋平

株式会社Proteinum 代表取締役

大学卒業後、楽天株式会社に入社。 初期配属は東北エリアグループにて、牛タンやりんごなどの東北の名産品の販売支援に従事。 その他、アパレル業界を専門として、大手企業を中心に各種ECコンサルティング活動に従事 (のべ担当店舗数700以上)。楽天を卒業後、経営コンサルタントの道へ進み、小売企業を中心に様々な業界において経営コンサルティング業務に従事(事業戦略策定、実行支援、EC戦略策定等)その後、株式会社Proteinumを創業。”EC業界にとってなくてはならない存在に”をミッションに、現在は自社ブランドの立ち上げとクライアントのEC事業の支援に従事。

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